水筒が起こすかも知れない心臓震盪
2019/06/13
それほど強くない衝撃で起こります
心臓震盪とはまだ胸郭が軟らかい18歳までのこどもが胸にボールなどを受けた衝撃で、心臓が心室細動を起こし、十分な血流が送られないようになってしまい、やがて心臓が停止してしまうことを言います。
野球で死亡するケースはこの心臓震盪が多いため、今は胸部にプレートを入れて保護しています。野球が有名ですが、アメフトや柔道など、胸に衝撃を受けるスポーツや行為で発生します。
硬式球を胸に受ける衝撃というと非常に強い衝撃を想像してしまいますが、実際にはこどもがゆるく投げる程度の衝撃でも当たり所が悪い(心臓の真上)と心臓震盪を起こします。
心臓震盪を起こした場合は、心室細動を伴いますので、AEDを使って除細動を行う必要があります。至急蘇生術を施しながら、救急車を要請し、近くにAEDがある場合はそれを使って除細動を行ってください。
スポーツ以外でも心臓震盪は発生します
2002年:14歳の男児の胸を兄が手で突いたことにより気を失い、その後死亡。死因は心臓震盪と判断されました。
2002年:19歳の女性が、両親の夫婦喧嘩を止めに割って入った際、母親の肘が胸部に当たり、直後に失神し、心停止が確認されました。この事例では、父親が CPRを実施して、到着した救急隊が除細動を実施して心拍再開しました。この女性は社会復帰しました。
その他にも「失神ゲーム」や「気絶遊び」と言われる行為がこども達の間で行われています。これも失神だけではなく、心室細動を起こせば死に至る恐れがあります。
どこの家庭や学校でもあり得るような事例でゾッとします。
東京都のヒヤリ・ハット事例から
水筒を首から掛けていた女児が転んだ拍子に水筒で胸を打って失神したケースが東京都で報告されています。水筒を首に掛けたり、たすき掛けをしているこどもを良く見かけますが、転んだ際に水筒で胸を強く打ち、心臓震盪を起こす恐れがあります。
こどもに水筒を持たせる時は、肩から掛けるか、リュックなどの中に入れて持たせましょう。「過保護過ぎるだろうか?」と悩む必要はありません。転んで膝を擦りむくのと違って、一度の転倒で命を落とす恐れのある恐ろしい事故に至る恐れがあります。十分に注意してあげてください。
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