こどもの頭の白い点がフケではなくてシラミでした
2019/06/13
フケと思った白い点はシラミでした
とある夜、我が家に激震が走りました。ソファーでこどもとくつろぐ妻に「昼間、髪に白いものが付いていて、シラミかと思って焦ったよ」と何気なく話をしました。学校で糊でも付いたのだろうと。妻もそんなことだろうとこどもの頭を見た時に「なんか虫がいる!」と叫び声。慌ててティッシュでつかんだ虫をもらって見ると、図鑑で見たことがある姿。信じたくはなかったのですが、それは紛れもなくシラミでした。しかも特大。その日から我が家での戦いが始まりました。 まずは敵(シラミ)を知る必要があります 妻が叫んだ時、シラミだとは思っていなくて、そもそも虫嫌いなので、叫んだだけでした。シラミと知り、嫌悪感は倍増。知っていたら、卒倒していたかも。こどもは「シラミ」が何かは知らないものの、親の尋常ではない様子に恐怖を感じて、泣いていました。僕も最近虫が苦手になったので、できれば関わりたくなかったのですが、こどもの頭から駆除をしなければならないので、シラミについて調べることにしました。
- 名前は「アタマジラミ(Pediculus capitis)」
- 吸血するシラミの唾液に感作されて激しいかゆみを感じるまでに1か月ほどかかる(言い換えれば、かゆみを感じた時には、すでにシラミが爆発的に増殖してしまっている可能性があります)
- 卵は1週間で孵化
- 孵化すると直ぐに吸血を開始
- 寿命は32~35日
- 孵化すると7~16日で成虫になる
- 成虫のメスは生涯で200個ほど産卵する
- 人の頭にしか住むことができず、頭から離れてしまうと2日程度しか生きられない
- 頭皮近くに産卵し、体温で孵化させるため、頭皮から離れたところにある卵は抜け殻か死んでいるもの(注:例外もありそうなので、全て取ってしまうのが安全でしょう)
- 梳き櫛で髪から外された卵は死んでしまい、孵化できない
- 水には強く、普通のシャンプーでも死なないが、生命力はそれほど強くはなく、頭から落ちた背もたれなどに落ちた成虫が再び這い上がることはほとんどなく、そこで産卵することもないらしい
- 53.5°C以上の温度に5分以上さらされると、卵も幼虫も成虫も死滅
- マヨネーズ・オリーブオイル・マーガリンなどでは駆除はできません(ただ、生物である以上、長時間付着すれば窒息死はします)
- 直接髪と髪が触れたり、帽子の貸し借りで間接的に髪が触れた場合にのみうつる
- 頭髪が短い、または少ない(生えていない)頭では生息できない
- カラーリングやパーマに弱い
- 他の動物の血も吸えるが、生育はできない
- 病原体の媒介はしない(注:ザンゴウ熱の媒介に関与している可能性が最近疑われています)
- 保健所によると、学校への報告義務や登校制限はないそうです(注:国立感染症研究所 感染症情報センターのサイトに「アタマジラミ症は、学校保健安全法施行規則第18条に規定されている、学校において予防すべき感染症の第三種である「その他の感染症」に該当する。アタマジラミ症は、通常出席停止の措置は必要ないと考えられる感染症であるが、病状や発生・流行の態様等を考慮の上、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症として「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」出席停止の措置をとることもできる。」とありますので、学校の判断が必要かも知れません)
- 戦後に大発生したがDDTで壊滅
- 1980年代より再び増加傾向にあり、薬剤耐性が心配されている
- 駆除用の梳き櫛やシャンプーが販売されており、薬局で普通に入手可能
- 英語で「lice」(卵は「nit」)
こどもへのケア なによりも先ずはこどものこころのケアが必要です。大人でも頭にシラミがいると知ると恥ずかしい気持ちになり、「不潔にしていたのだろうか」と思ってしまったりもします。ですから、こどもにも相当なショックなはずです。 こどもには、シラミは蚊と同じで、誰にでもうつる可能性があると説明すると分かり易いかも知れません。蚊と同じなので、うつされた子になんの落ち度もないですし、うつした子にも落ち度はありません。そのことを良く理解させる必要があります。 ただ、誰にも落ち度がないと教えたことで、軽くとらえて友だちに「頭にシラミがいたよ」としゃべってしないようにかん口令をしくことを忘れてはいけません。いじめのきっかけになってしまう恐れがあります。 こどものメンタルのケアをしながらも、かん口令をしくのは難しいのですが、親としての頑張りどころです。自分にもうつってしまった場合、ため息をついたり、愚痴のひとつも言いたくなりますが、頑張って、飲み込んでおきましょう。
シラミ戦における戦略と戦術
戦略 学校でシラミが蔓延している場合、こどもの頭から全てのシラミを駆除できたとしても、すぐに学校から新しいシラミを連れてくる可能性があります。なので、学校において対シラミ共同戦線を組む必要があります。既に学校が動き始めている場合はいいのですが、自分が初めて見付けてしまった場合は、対応に苦慮します。ストレートに「シラミがいました」と学校へ報告し、学校が適切に動いてくれたらいいのですが、「○○さんにシラミがいました。みなさんも気を付けてくださいね。」と言わない保証はありません。かと言って、自分のこどもだけ対応するのもはばかられる。 そこで、僕は先ずは保健所に報告しました。それで、学校へも報告したいものの、いじめが心配で躊躇している旨を伝えると、教育委員会経由で学校へ報告して頂けることになりました。氏名はもちろん、学年も伏せて、完全な匿名でも受け付けてもらえました。これは学校保健安全法施行規則の第18条で第三種「その他の感染症」に指定されているためだと思われますので、他の保健所でも同じ対応になると思います。学校以外で感染したことが明らかな場合も、他のこどもへの感染防止に役立ちますし、道義的責任も果たせてすっきりしますので、是非保健所経由での報告がおすすめです。 学校での対応も重要ですが、家庭内での対応も重要です。親はこどもの頭にばかり集中してしまいがちですが、その瞬間も親の頭にシラミがいない保証はありません。かゆみを感じるまでに1か月かかることを忘れてはいけません。白髪交じりになる年齢だと卵を見つけるのもかなり難しいですし、そもそもこどもによるチェックも怪しいので、親も既に「飼っている」ことを覚悟する必要があります。こどもの頭で駆除しているうちに、親の頭で増殖して、こどもの頭に感染返しをして、無限ループに入らないように、家族全員の頭で駆除を始める必要があります。 戦術 洗濯物の扱い 「洗濯物は分けて保管して、感染者が着ていた衣類は熱湯をかけてシラミを殺してください」と書かれているのを見ましたが、53.5℃以上のお湯または温風で死滅しますので、給湯器から熱めのお湯を出すか、衣類乾燥機、または布団乾燥機を使えば、幼虫・成虫だけではなく、卵も死滅します。 水洗いできないものは、ドライクリーニングに出すことも効果がありますし、ぬいぐるみやクッションなどは大きなナイロン袋に入れて、2週間密封したままでおいておけば安心です。最後に掃除機で表面を吸い取れば完了です。櫛やブラシ、女の子の場合は髪を縛るゴムなんかも同じ処理をします。 布団の扱い 先ずは掃除機を使って、布団の表面と周囲を掃除します。その上で布団乾燥機のダニ退治モードを1回かけて、最後に布団の表面と周囲を掃除機をかければ完了です。布団乾燥機がない場合は、掃除機+天日干し+掃除機でもいいと思います。布団を黒い布で覆って干せたら完璧です。 頭髪の扱い 衣類と布団は普段の掃除と余り変わりがない方法で駆除ができますが、頭髪は一手間が必要になります。 我が家ではシラミに気付いたのが夜だったので、専用シャンプーも梳き櫛も準備ができませんでした。なので、超念入りに普通のシャンプー(TSUBAKI)で洗髪しました。するとおびただしい数のシラミが洗面器に浮いていて、頭を拭いた後のタオルにもシラミが多数付いていました。(因みにマイクロファイバーのバスタオルを使うとより多くのシラミが取れるみたいです。弱ったシラミを頭髪から引きはがすにはマイクロファイバーのバスタオルがおすすめです。 翌日には薬局で専用シャンプーを買いました。アースと金鳥のシャンプーがありますが、コスパでアースを選びました。でも、「シラミと言えばスミスリン(金鳥)」という位にスミスリンシャンプーの知名度は高いようです。スミスリンはパウダーもありますが、臭いらしいのでシャンプーがおすすめです。シャンプーにはプラスチックの梳き櫛がついてきますが、余り期待はできません。なので、梳き櫛も買わなければなりません。梳き櫛と言えば、ソルドジャパン株式会社の「ニットフリー」です。送料無料でネットで購入できますので、シラミが見付かった瞬間にオーダーするのをおすすめします。専用シャンプーで洗髪後、髪が乾く前にニットフリーで髪を梳く。これがベストの対応です。髪が乾いた状態では、こどもの細い髪でも引っ張られて痛い場合がありますし、シラミも元気なので梳き櫛から逃げてしまう恐れがあります。でも、髪が濡れていれば、櫛の通りもいいですし、シラミの足を止めることもできますので一石二鳥ですよ。 専用シャンプーは2日おきに3~4回繰り返すように注意書きがありますので、それに従います。そんなに繰り返す必要があるのかと思われるかも知れませんが、シャンプー後に梳き櫛で取れたシラミに動いているものがありますし、卵の中にも死なずにシャンプー後に孵化するものもあると思われますので、注意書きに従ったシャンプーの実施が望ましいと思います。 これを行うと直ぐに幼虫と成虫がいなくなります。我が家の場合は2回目のシャンプー後に幼虫と成虫が取れなくなりました。喜ばしいことなのですが、ちょっぴり残念に思ったり。その後は、ひたすら梳き櫛で卵取りです。幼虫と成虫がいなくなってから、1週間、または卵が1つも見つからなくなるまで続けましょう。卵は1週間で孵化しますから、最後に成虫が見られた時から1週間は孵化の心配がありますが、その時点で孵化していない卵は死んでいますから、心配は要りません。ただ、見た目が気持ち悪いですし、万が一のこともありますので、洗髪後の梳き櫛を続け、卵が取れなくなったら終了です。
対シラミ戦の武器
専用シャンプー アースシラミとりシャンプー 匂いは食器用洗剤でありそうな感じで、臭くはありません。他の製品の匂いが気になる人はアースがおすすめです。プラスチックの梳き櫛付きです。 スミスリンL シャンプータイプ 我が家では使わなかったので匂いは分かりません。ただ、臭いというコメントが見られますので、ちょっと臭いのかも知れません。プラスチックの梳き櫛付きです。 パウダータイプ スミスリンパウダー こちらも使用しませんでした。こちらは注意書きに「スミスリンパウダーは白色の粉末でわずかに特異なにおいがあります。」とありますので、臭い可能性が高いです。 シャンプーとの違いは、衣類、寝具、床、畳にも使用できる点ですが、他の方法で対応が可能ですので、シャンプーでいいと思います。 梳き櫛 ニットフリーコーム ニット(nit)はシラミの卵で、コーム(comb)は櫛です。シラミの卵を取る梳き櫛になります。これが送料込2680円で買える上に、シラミ駆除に役立つ資料と永久保証付き。シラミ駆除のプロ「ニットピッカー」による無料相談や無料のシラミ検査といったサービスも充実しています。類似品を購入して失敗するよりも、最初からこちらを購入するのが絶対おすすめです。我が家もこれを買い、大満足です。 ソルドジャパン株式会社はニットフリーコームの正規代理店になります。正規品はアルゼンチン製でしたが、アルゼンチン製であるから同じ製品である保証はありません。中国製も広く出回っていますので、ソルドジャパン株式会社のサイトで購入するのが安心です。楽天またはamazonからの購入も可能です。
ペット用のノミとりコーム ペット用のコームも流用できるようです。単純な機能ですのでペットも人も違いはないと思いますが、ニットフリーコームのらせん状の溝がやってくれそうな感じがしますので、卵の除去はニットフリーコームの方がいいかも知れません。 ペット用のコームだと、岡野製作所のコームが人気がありますし、つくりも良さそうです。ペティオのコームは安くて良いのですが、長く使うのなら少し値が張ってもしっかりしたものがいいと思います。後処理
梳き櫛の使用はいつまで続けるの? 最後の卵が取れたら、一旦は髪を梳くのは終了です。でも、こどもの周囲で駆除ができていない場合は、再び連れ帰ってくる可能性があります。そこで、当分は5日間隔で髪を梳いて、成虫がいないかチェックすると安心です。産卵直前の成虫(メス)がうつった場合、速攻で産卵されて、それが1週間で孵化してしまいます。ベストは成虫が産卵する前に駆除してしまう、次に良いのは孵化する前に卵と成虫を駆除してしまうことです。長い間隔を置くと、孵化した第二世代が産卵を始めてしまい、爆発的に増加してしまいます。そうすると最初と同じ駆除作業を繰り返さなければならなくなりますので、手間にはなりますが、5日間隔で髪を梳くのがいいと思いますし、我が家では今実際に行っています。慣れればそれ程の苦にはなりません。面倒に感じた時は、初めてこどもの頭で成虫を見た時の気持ちを思い出すといいかも。 ふたたびシラミに感染しないようにするには? こどもはいろいろなところで他のこどもと接触しています。頭と頭がいつ触れるか、分かりません。あれもダメこれもダメとやたらに制限するのはこどもによくないと思いますので、気になりますが我慢しましょう。ただ、特に危険度の高い行為は止めるように注意した方がいいでしょう。
- 帽子の貸し借り
- タオルの貸し借り(特にプールの季節)
- くし・ブラシ・髪留めの貸し借り
クラブ活動や習い事で、ヘッドギヤや防具など頭にかぶるものを共用する場合は、管理者に対応をお願いすると安心でしょう。レスリング・柔道・ラグビーなど、頭が触れ合うスポーツの場合は、管理者が全員に対して注意喚起してもらえるようにお願いすると安心です。
最後に
こどもにシラミが出たことを戦前世代に話すと「昔はいたよねー」と懐かしむ感じでした。犬や猫にノミやダニがいるように、人にもシラミやノミ、ギョウ虫などの寄生虫がいるのが普通の時代もありました。それがいつの間にか、人には寄生虫がいないのが普通で、それどころか犬や猫にもノミやダニがいない時代になっていました。確かに、寄生虫は恐ろしい病原菌を媒介する恐れがあり、また痒みも酷く、決して快いものではないのですが、余りに過敏になってしまうのはどうなんだろうとも思いました。 それでも、この先再びシラミを見つけた時に「駆除しない」という選択肢は絶対にありませんが、今回初めてシラミを見つけて駆除を始めた時の頭(脳)の中がシラミでいっぱいの状態には陥らないように気を付けたいと思っています。人類と長い付き合いのある寄生虫の中でも害が大きくない上に生命力も弱いことを思い出し、髪をシャンプーで洗うのと同じ位の感覚で落ち着いて対応したいものです。
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