あんしん あんぜん はりねずみ

毎日を安心して安全に過ごしたい。そんな想いに役立つ情報をお届けします。

*

チョコレートもアクネ菌もニキビの原因ではありません

      2019/06/12

バレンタインデーに友チョコをいっぱいもらった知人の子が「チョコレートたくさん食べたらニキビになる」と心配していました。

僕達がこどもの頃から「チョコレートをたくさん食べるとニキビになる」と言われてきました。チョコレートをたくさん食べると鼻血が出るという迷信が間違いであることは漸く認知度が上がりましたが、ニキビについては今も信じられているようです。

でも、本当のところチョコレートはニキビの原因ではありません。

そして、もっと言うなら、アクネ菌もニキビの原因ではありません。

アメリカFDAも「Facing Facts About Acne」で、チョコレートがニキビの原因ではないと説明しています。FDAによれば、チョコレートに限らず、揚げ物やピザなどそれ以外の食べ物についても、ニキビを起こすものではないとしています。

Beware of Myths(神話にご注意を)

“There are many misconceptions out there about how acne forms, as well as on how to treat the condition,” says Liedtka.
Here are some facts about acne:

  • There is no known way to prevent the development of acne.
  • Acne is not caused by poor hygiene, sweating, or not washing. “These factors do not cause the clogged pores that contribute to acne development,” says Liedtka. While medicated washes containing benzoyl peroxide, resorcinol, salicylic acid, and sulfur are one form of treatment for acne, simple soap and water does not treat the condition, she adds.
  • Acne is not caused by diet. No scientific connection has been found between diet and acne. No food—not chocolate, fries, pizza, or any other food—has been shown to cause acne.
  • Acne does not need to be allowed to run its course. “The condition can be treated,” says Liedtka. “There are prescription and over-the-counter (OTC) products for it. If products you have tried haven’t worked, consider seeing a dermatologist.”

出典:FDA “Beware of Myths”

https://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm174521.htm

“Acne is not caused by diet. No scientific connection has been found between diet and acne. No food—not chocolate, fries, pizza, or any other food—has been shown to cause acne.”

「ニキビは食べ物によって引き起こされることはありません。 食べ物とニキビの間に科学的な関連性は見出されていません。 チョコレート、フライドポテト、ピザ、およびその他の食品がニキビの原因となる事実は示されていません。」

FDAのお墨付きがあれば、安心してチョコレート食べられますね!

チョコレートを食べ過ぎるとニキビを悪化させる恐れがあります

チョコレートはニキビの原因にはなりません。ただ、食べ過ぎるとニキビを悪化させる恐れはあります。

そもそもニキビは、毛穴に皮脂や角質が詰まってできる炎症性皮膚疾患です。

ニキビは青春のシンボルなんて言われますが、思春期に特有の炎症性皮膚疾患ではなく、何歳になっても発生する可能性があります。ただ、思春期にできるものを「ニキビ」と呼び、それ以降にできるものを「吹き出物」と呼ぶ分けているため、ニキビは青春のシンボルと言って間違いではありません。

何歳でも皮脂は皮脂腺から常に分泌されていますし、それが詰まればニキビや吹き出物になる可能性があります。

ただ、思春期は

  • ホルモン変化によって急激に皮脂分泌量が増えるものの、毛穴は大人よりも小さく詰まりやすい
  • 新陳代謝が活発で、古くなった角質で毛穴が詰まりやすい
  • 部活や体育など、運動量が多く、また屋外での活動も多いため、毛穴を詰まらせやすい

などの条件が揃ってしまうために、ニキビがたくさん出来てしまうことになる訳です。

そんなただでさえニキビが出来やすい時期に、更に皮脂を増やしてしまう脂質と糖質を多く含んだ食品を摂ることで皮脂の分泌が亢進することでニキビを悪化させる恐れがあります。

チョコレートは脂質と糖質を多く含む食品なので、たくさん食べると皮脂分泌を亢進させて、その結果ニキビが悪化する恐れはあります。

ポテトチップスやラーメンには負けますが、チョコレートは量の割に脂質と糖質が多い食品なので、食べ過ぎると皮脂を増やすことでニキビを悪化させる恐れがあります。

食べ物 脂質 炭水化物(糖質)
ガーナミルクチョコレート(1枚55g) 18.5 30.9
こだわりの本格肉まん(1個) 9.8 30.8
カルビーピザポテトスパイシーチキン(1袋63g) 22.2 34.6
天下一品こってり(1杯) 66.2 53.6

※単位:g(グラム)  ※ガーナミルクは現在50gになっています

チョコレートを食べることでニキビが出来る訳ではありませんが、食べ過ぎると皮脂量を増やして、その結果、ニキビを悪化させる恐れがありますので、既にニキビができている子は食べ過ぎに注意した方が安全です。

アクネ菌がニキビを起こす訳ではありません

悪化したニキビの中からアクネ菌(プロピオニバクテリウム・アクネス:Propionibacterium acnes)が見付かったため、長い間アクネ菌はニキビの原因だと考えられていました。

ですが、現在アクネ菌は皮膚の常在菌の一つであって、アクネ菌がニキビを引き起こす訳ではないことと考えられています。それどころか、アクネ菌は皮膚表面に常在し、皮脂を分解してプロピオン酸や脂肪酸を作り出すことで皮膚の表面を弱酸性に保ち、人間にとって有害な菌が定着することを防いでくれています。

でも、このアクネ菌は通性嫌気性菌であるために、皮膚の表面や毛穴の中では適度に存在していますが、毛穴が詰まってニキビや吹き出物になってしまうと、酸素の供給が絶たれ酸素を嫌うアクネ菌にとって都合が良い環境となり、過剰に増殖してしまい、炎症を引き起こすことに繋がります。

ですから、常に皮膚を清潔に保ち、毛穴を詰まらせない状態を維持することが大切です。

チョコレートにニキビを作る特別な成分が入っている訳ではありませんので、思春期でも安心してチョコレートを食べてください。

でも、もし既にニキビが出来ている場合は、他の脂質や糖質が多く含まれる食べ物と同じようにニキビを悪化させる可能性がありますので、食べ過ぎだけに注意すれば、チョコレートを少し食べたからと言ってもニキビが増えたり、急激に悪化するようなことはありません。

ニキビ予防はアクネ菌を殺すことでも無ければ、チョコレートなどの食べ物を避けることでもありません

アクネ菌を皮膚から追い出してしまうと、他の雑菌や悪い菌が増殖するチャンスを与えてしまうことになります。

前からあるクレアラシル、そして最近躍進目覚ましいプロアクティブなどニキビ治療剤は、

  • サリチル酸:角質軟化効果・溶解作用効果と少しの抗菌効果
  • グリコール酸:ケミカルピーリング効果(表皮上層と反応して、死んだ皮膚細胞の脂質の結合力を弱める)

を使用していますが、アクネ菌を撲滅するためではなくて、毛穴周囲に溜まった皮脂を取り除いて「毛穴の栓を抜く」ことが目的です。

悪化して膿疱ができたようなニキビにはアクネ菌などを抗菌剤で殺すことが必要になる場合もありますが、それよりも前にアクネ菌を殺菌してもニキビ予防にはなりません。

あくまでニキビ予防は皮脂が詰まることを防ぐことが重要で、チョコレートやピザなどを食べることを避けても、アクネ菌を殺菌してもニキビは出来てしまいます。

迷信に惑わされることなしに、正しくニキビ対策してくださいね。

 - 食品

  関連記事

野菜
花粉症の人は生果物・生野菜による交叉反応にご注意ください

特定の果物や生野菜を食べると、喉がイガイガしたり、唇がかゆくなったりしませんか? …

鶏卵
離乳期の早期に卵を摂取すると卵アレルギー発症を予防

国立研究開発法人国立成育医療研究センターが本日プレスリリースした内容がこれから出 …

紫陽花
アジサイ(紫陽花)の葉には毒があります

アジサイ(紫陽花)は花はもちろん葉も美しい植物です。梅雨の時期はジメジメして好き …

アニサキス
刺し身を食べる時はアニサキスにご注意ください

アニサキスが刺し身の中に入っている可能性 昔はアニサキスと言えば食通で有名だった …

おにぎり
コンビニのおにぎりでケガするリスク

過去記事「おにぎりは黄色ブドウ球菌に要注意」や「BBQに持って行く「おにぎり」は …

モロヘイヤ
シマツナソ(モロヘイヤ)の種と茎は有毒です

シマツナソ(縞綱麻)の種と茎にはストロファンチジン という毒があります。このシマ …

コーヒー
カフェイン中毒 あなたは大丈夫ですか?

若い頃から特発性過眠症には苦しめられてきたので、カフェイン錠剤やカフェインドリン …

ボツリヌス菌
ボツリヌス菌の芽胞入りハチミツは煮ても焼いても乳児には与えないで

ハチミツは栄養があるので赤ちゃんに与えたいって思うママが多いと思いますが、1歳を …

イモリ
イモリの黒焼き

イモリの黒焼きは「千と千尋の神隠し」で釜爺からリンがもらっていたあれです。元は中 …

ヒスチジン
ヒスタミンの元のヒスチジンにはダイエット効果があります

先日「さんまを食べてブツブツ これってアレルギー?」に書きましたが、サンマやサバ …