オートバイに乗るなら胸部プロテクターも必須
2019/06/13
オートバイでの死亡事故を防ぐにはヘルメットが重要なことは誰もが知っていると思います。
警視庁がまとめた資料によりますと、オートバイ走行中の事故における死因は頭部損傷が最も多いのですが、実は次に多いのが胸部損傷なんです。オートバイの死亡事故を防ぐには、ヘルメットだけではなく、胸部を守るプロテクターを装着することが効果的なんですが、認知度は余り高くなっていません。
胸部プロテクターで防げるかも知れない死亡事故は全体の約3割
警視庁がまとめた東京都内におけるオートバイでの死亡事故を死因となった損傷部位別にまとめた資料は以下の通りです。
部位 | 死者数 | 割合(%) |
頭部 | 127 | 47.4 |
胸部 | 76 | 28.4 |
腹部 | 19 | 7.1 |
顔部 | 4 | 1.5 |
頸部 | 22 | 8.2 |
背部 | 0 | 0 |
腰部 | 8 | 3.0 |
腕部 | 0 | 0 |
脚部 | 3 | 1.1 |
全損 | 8 | 3.0 |
その他 | 1 | 0.4 |
合計 | 268 | 100 |
頭部への損傷は全体の約5割。そして胸部への損傷は約3割です。思った以上に胸部への損傷が多いです。
ですが、考えてみると頭はヘルメットで保護されているにも関わらず、頭部への損傷が原因で死亡しているとことは、仮に胸部を保護するプロテクターを装着したところで効果は期待できるのでしょうか?
ヘルメットは法律で被る義務がありますので、被っていないことが原因で頭部の損傷が大きくなったケースは稀だと思います。ですが、
- ヘルメットを正しく被っていない(あご紐を締めていないなど)
- 正しいヘルメットを被っていない(サイズ・規格が正しくないなど)
などで死亡率を上げている可能性があります。正しいヘルメットを、正しい方法で着用すれば死亡率を下げることができるはずです。
それと違って、胸部は殆どの場合対策がされていません。胸部プロテクターを装着せずに、胸部に強い衝撃を受け、心臓振とうや骨折などで死亡しているとすると、心臓プロテクターを着用することで死亡を免れる可能性が大いにあります。
胸部プロテクターの推進が始まっています
警視庁は、2年前に官民共同で「プロテクター普及推進隊」を結成しました。現在は、6団体23事業所が推進隊を委嘱されています。
その中の「アクサ損害保険会社」と「ハーレーダビッドソン・ジャパン」が今新たな試みをしています。アクサ損害保険会社は、10月1日からの新たに「HARLEYモーターサイクル保険」へ加入した人を対象に胸部プロテクターを無料で配布することを決めました。共に囲い込みが目的だと思いますが、このような囲い込み用の保険を販売している各社が追従する可能性があり、今後胸部プロテクターの普及の起爆剤になってくれるかも知れません。
認知度の低さと着け心地の悪さが今後の課題
警視庁の担当者による「大型バイクのオーナーで胸部プロテクターの存在を知らない人はいない」というコメントを読みましたが、それはどうかと思います。
モトクロスやオフロード走行をするひとは殆どが知っていると思いますが、大型バイクに乗るひとの殆どが知っているというほどの認知度はありません。スーパースポーツバイクや大型ツアラーのオーナーなどの場合は、胸部よりも脊椎・腰椎プロテクターの重要性を強く認識していると思います。保護用ウェアの中には、初めから脊椎パッドが入っているものもあります。僕もそう思っていました。
しかし、警視庁の統計を見ると、
部位 | 死者数 | 割合(%) |
頭部 | 127 | 47.4 |
胸部 | 76 | 28.4 |
頸部 | 22 | 8.2 |
背部 | 0 | 0 |
腰部 | 8 | 3.0 |
胸部を保護することの重要性が分かります。ただ、背部・腰部は死亡数が少ないだけで、半身不随に繋がる大怪我を負う可能性がありますので、胸部同様に保護する必要があります。
このような事実に触れる機会が余りないために、認知度が低いままなのだと思います。十分な認知度がないままで胸部プロテクターを配ったところで、着用されずにヤフオク行きになるのが関の山です。(シートベルトの着用率を上げるには、結局は法律で縛るしかなかった訳ですし、その法律があってもシートベルトの着用率はある程度で止まっています)
また、認知度が上がったところで、今のような形態のままでは着心地が悪過ぎて、着用率は上がり難いと思います。冬場はともかく、夏場が厳しいです。もっとも走行する機会が増える夏場に着用できるものを作らなければ装着率は上がらないでしょう。
- 胸部損傷による死亡事故が約3割であることの知名度を上げる
- 胸部プロテクターの着け心地を改善する
- 装着した場合としていない場合で保険料・保険金に違いをつける
などが必要ではないかと思います。
僕が着けるならエアバッグ式ベストで胸部も頸椎・脊椎も同時に保護できるものを選ぶと思います。もっと価格が下がってくれると導入が一気に進むと思うんですが。待ちます。
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