小学生の列に軽自動車が突っ込む事故 横浜市南区大久保1丁目の市道
2019/06/12
またもや通学路を登校中の小学生の列に自動車が突っ込む事故。いつになったらこの手の事故がなくなるのでしょうか。
事故が起きたのは神奈川県横浜市南区大久保1丁目の市道。
この市道は京急とブルーラインの上大岡駅の西にある一方通行の道路です。スクールゾーンに指定され、道路の両側にグリーンに塗られた歩道が設けられ、そこが通学路に使われていました。(※この道路は交通量が多く、以前から危険性が指摘されていたそうです。2010年度に文部科学省から安全対策を取るように通達があり、路側帯をグリーンに塗った経緯があります。)
今日もこども達がいつも通り通学路を通って学校に行くところでした。
今朝(10月28日)午前8時5分頃、一方通行に従って南から北に走行していた87歳の男性が運転する軽トラックが、前方を走る軽乗用車に衝突。その勢いで電柱に衝突、横転し、通学路を歩いていた小学生の列に突っ込みました。追突された乗用車は前を走っていた路線バスに追突し、多重衝突(玉突き)事故になりました。
恐らくバス停(上大岡駅)で停止したバスの後ろで待っていた軽乗用車の存在に直前になって気付いた87歳の男性は、急ブレーキだけではなくハンドルを左に切って回避行動を取ったため、軽自動車に衝突した後に電柱に衝突、横転を起こしたものと考えられます。
この際に、児童9人が巻き込まれ、小学1年生の男児(6)が横転した軽自動車の下敷きになり死亡、児童8人が怪我をして病院などで手当てを受けています。
軽トラックの運転者を含む男女3人も怪我をして手当を受けているそうです。
繰り返される高齢者の重大事故
今回の事故は87歳の男性が運転する軽トラックが前を走る軽乗用車に衝突することで発生しました。
この道路はスクールゾーンに指定され、路面にも表示がされていますし、両側に緑色の帯で歩道が強調されています。しかし、ガードレールはなく(一方通行に入る直前のコーナーにのみガードレールがあります)、今回のような事故を防ぐことはできません。
今回の事故を起こしたのは、87歳の男性。事故の模様を目撃した近所の人によると、事故直後に87際の男性は外に出て救助活動などを行う訳でもなく、車内でただ呆然としていたと言います。
このガードレールがない一方通行の通学路がどれほど危険かは、交通量や利用する車両のマナーなどによっても変りますので、一概に言えませんが、ただ高齢者の運転が危険だということは間違いなく言えることです。
全員が事故を起こす訳では勿論ありませんが、加齢に伴い
- 動体視力の低下
- 視野の変化
- コントラスト感度の低下
- 暗順応の低下
- 眩惑の増大(白内障の進行度合いに大きく左右)
- 聴力の低下
- 反射的反応動作の鈍化
- 判断の速さと正確さの低下
- 複雑な情報を同時に処理すること(マルチタスク)が困難になる
- 注意力の配分や集中力の低下
- 意識と行動のミスマッチ
※出典:防災基礎講座「高齢ドライバー事故の実態と対策」
などが起きてきます。これは他人事ではなく、僕の中でも少しずつ進行しています。
50歳よりも60歳、60歳よりも70歳の方が総じて低下・進行しますし、70歳よりも80歳は更に大きく低下・進行します。
今回事故を起こした87歳の男性がどんな状態であるかは分かりませんが、若い頃よりも各種の能力が大きく低下していることは間違いありません。
荷台に大量のゴミを乗せて重心が上がった状態で軽トラック(そもそも軽トラックは乗用車よりも重心が高い)を走行させ、恐らくは停止した路線バスの後ろで停止していた軽乗用車の存在に直前まで気付かなかったのだと思います。
そして、急ブレーキをかけたのかどうかは分かりませんが、左にハンドルを切って回避行動をしたために、軽乗用車に衝突した後に電柱に衝突、そして横転し、通学中の小学生の列に突っ込む形になりました。
一昨日、愛知県一宮市で小学4年生の男子児童が横断歩道で、運転中にポケモンGOをしていた男が運転するトラックにはねられて死亡する事故がありました。今回事故を起こした87歳の男性が、運転中に別のことをしていたという情報はありませんが、高齢になると別のことをしていなくても、前方の状況が把握できていない場合があります。
特に動体視力の弱まり、処理速度の低下、反射的反応動作の鈍化、そして意識と行動のミスマッチが起きている場合は、しっかり前を向いていたとしても、このような事故を起こす恐れがあります。
そして、衝突する直前や衝突時に二次災害を回避するために少しでも被害の少ない方向にハンドルを切ることが出来る可能性はゼロに近くなるでしょう。(若い人でも必ずできる訳ではありません)
ですから、今回のタイプの事故は防ぐことは難しく、今後は更に増えてくる恐れがあり、歩行者も運転者も注意と覚悟が必要です。
今回の小学生は横浜市立桜岡小学校に通うところだったと思いますが、一本西にある別の道路を使ってもガードレールに守られた歩道がある訳ではなく、今回のような事故を防ぐことはできません。
大切なこども達を守るために、再発防止策を考える上で、保護者、学校、市や県による対応の限界を感じます。
高齢者ドライバーについて真剣に考えていく必要があります
高齢者ドライバーによる重大事故が増えています。
運転者自身が負傷・死亡する単独事故はやむを得ない部分もありますが、他者を巻き込む事故が深刻です。
高齢者に免許を返納させることに成功している地域もあるようですが、自動車が無ければ
- 仕事ができない
- 病院へ行けない
- 買い物ができない
場合があることも事実で、核家族が当たり前になった現在、家族の誰かが送ってあげることもできない老夫婦にとって自動車は生命線でもあります。
法整備によって、新しい交通手段(乗り合いタクシーとバスの中間のような存在)が生まれ、高齢者が便利に使えるようになれば変わってくるかも知れませんが、路線バスが次々に廃止され、近所の商店が無くなり郊外の大型ショッピングセンターやスーパーマケットに統合され、それによって街の機能全体が郊外の一部にシフトしてしまっている中堅地方都市では自動車に乗れないことは命に関わると言っても過言ではありません。
僕の義母のその一人です。膝を人工関節に替え、腰も酷い椎間板ヘルニアを何度か手術しているため、現在身体障害者の認定を受けています。市から支援も受けられますが、病院への送迎などは非常に限定されていて、バスが通っていないため、タクシーで行くか、自分で運転するしかありません。病院位は何とかタクシー代を出せたとしても、買い物、役所、銀行、美容院、イヌの病院、冠婚葬祭(主に葬祭)などを全てタクシーで行くことは出来ません。できる限り僕達家族が頻繁に帰省して、その時にまとめて遠方の用事は済ませる(遠くの病院、イヌの美容院と病院、買い物など)ようにしていますが、片道6時間かかる帰省はそれほど頻繁に行うこともできず、せいぜい1.5~2ヶ月に一回ですので、時々は自分で運転をしなければなりません。
人工関節に替えた左足は麻痺が酷くほぼ動かないんですが、それでもATは何とかアクセルとブレーキの操作は可能ですが、聴力の低下と判断力・判断速度の低下、および空間認識能力の低下は著しく、スーパーの駐車場で何度も車をぶつけて、その度に保険を使うために、任意保険は1等級を維持しています。
未だ人身事故を起こしてはいないのがせめてもの救いですが、いつ人身事故を起こしてしまうか分からないため、義母の自動車の使用には厳しいルールを設定してあります。
- 川とバイパスで囲まれた範囲でしか運転をしてはならない(恐らく4~5平方キロ程度)
- 日没後・雨や雪の日の運転は禁止
- 保育園・幼稚園・小学校の近くは走行禁止(ピンポイントで指定、中学・高校は近くにありません)
- こども達が通学する、午前7時半~9時、午後3時~4時の時間帯は運転禁止
などになります。
万が一ルールを破った場合は、自動車を取り上げることにしています。医者からもう一方の膝もダメになるからと「金のミルク」を止めるように言われても、一向に止める気のない頑固な義母ですが、文句を言いながらもこのルールは守ってくれています。
奥さんとも話をしますが、義母も高齢ですし、もし自分で選んで運転して事故で亡くなったとしてもそれは仕方がないことだと思っています。悲しくないはずはありませんが、もう70歳を超えていますし、いつ何があるかは分からない年齢です。それだけに、絶対に他の人を怪我させたり、命を奪ったりすることがないようにだけはしたいと思っています。なので、親戚の一部には僕達が決めたルールを「厳しすぎる」「こどものくせに生意気だ」と言われる方もいますが、僕たちは必要なことだと思っています。そして、自分がその年齢になった時は、同じルールに従おうと思っています。
この方法が完璧だとも思いませんし、他にもいい方法も色々あると思います。
ただ、何らかの対策をしなければ、事故の危険性は飛躍的に上がりますし、高齢者・超高齢者の割合が更に増えるこれからの時代、更に件数が増えていくことは予想されます。
衝突被害軽減ブレーキなど、高齢者による事故も減らす効果がある装備が開発されていますが、高齢者がその車に乗らなければ意味がありません。いずれは全ての車に装備される時代も来るものと思いますが、それまでの間、何もせずに起こる事故に嘆き続けるのは止めて、事故を減らせるような努力をして行かなければなりません。
今回の事故を受けて、
- 通学路の見直し
- ガードレールやポールの設置
- 小学生に交通安全講習
- 高齢者ドライバーに安全講習
をしても、今回のような事故を防ぐことはできません。
「高齢者から免許を取り上げろ」「高齢者に車を運転させるな」と言ったところで何の問題の解決にもなりません。高齢者も車を運転することを前提にして、いかに事故を減らすかを社会全体で考えて行かなければならないと思います。
87才の男性は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)で逮捕されました
軽トラックを運転していた87才の男性は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)で逮捕されました。
逮捕前の事情聴取では
「どうやって現場まで行ったのか、よく覚えていない。」
などと話していたそうです。
現場付近の事務所に設置された防犯カメラには猛スピードで現場の方向に向かって走る容疑者のものと見られる軽トラックが映っています。衝突現場付近の路面にはブレーキ痕がなく、蛇行したような形跡があったとも言われていますので、ブレーキをかけずに停止した軽乗用車に突っ込み、直前で本能的にハンドルを左に切って電柱に激突・横転した可能性が濃厚です。
2013年11月に認知症の検査を受け、異常が見られなかったことから、2013年12月に免許を更新したという容疑者ですが、こどもが通学する一方通行の細い道路を猛スピードで走るのは正気の沙汰とは思えません。家族の責任も問われるべきです。
事故の詳しい経緯は今後の警察の取り調べや裁判で明らかになると思いますが、高齢者の自動車の運転について改めて考えさせられました。
亡くなった優君のご冥福を心からお祈り致します。
そして怪我をされた皆さんの一日も早い快復もお祈り致します。
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