軽井沢バス転落事故 食い違う業者のコメント
2019/06/12
旅行会社「キースツアー」とバスを運行していた「イーエスピー」とが責任の押し付け合い。「キースツアー」は「イーエスピー」に、そして「イーエスピー」はドライバーに。ここまでの事故を起こしてしまった以上、事故の原因究明に全面的に協力すべきだと思いますが、なかなかそうはいかないようです。
バス運行会社「イーエスピー」の責任は重大
「イーエスピー」の担当者は取材に対して、
「方向がだいたい同じなら、ルートを変更してもバスの運転手は運行管理者に伝えないことが過去にもあったようだ。」
と運転士が勝手にルート変更をしたというニュアンスのコメントをしていますが、実態は異なるようです。
1月15日から16日にかけて国土交通省が実施している特別監査において、
- 運行指示書には出発地と到着地の記載しかなく、経路の記載が一切無い
- 運行が終了していないのに、すでに終了点呼が行われたとして点呼簿に押印されている
- 他の運転士の乗務記録を確認したところ、基準を超える過労状態に陥っていることが判明
などの法令違反が見付かり、この会社のずさんな管理体制が明らかになってきています。
そのずさんな管理体制をどの程度旅行会社「キースツアー」が認識していたのかが今後の争点になってくると思いますが、両社共に被害者のご遺族のところに謝罪に訪れないなど、誠意が見られないため、責任の所在は裁判で明らかにすることになりそうな予感がします。
旅行会社・バス運行会社にはこのようなレベルの会社が存在しています
全て会社が悪い訳では勿論ありません。安全対策に万全を期している会社もありますが、全てがそうではないのは事実です。
事故を起こした「イーエスピー」は恐らく営業を続けていくことはできなくなり、清算か破産することになると思いますが、それで問題が解決する訳ではありません。今走っているバスの中に同じようなずさんな管理をしている会社のものがあるかも知れません。
私達がバスツアーに申し込む際、旅行会社に申し込みますが、その旅行会社はバスを運行する訳ではないことが多いです(バス会社が募集するツアーであれば同じです)。旅行会社がバスを運行する訳ではないため、申し込み時点ではバスを運行する会社のレベルを想像することはできません。旅行会社の営業担当は巧みな営業トークで安全性を謳うでしょうが、その営業担当はバス運行会社の実態を全く知らない可能性だってあります。また、逆に無理な要求をバス運行会社に押し付け、バス運行会社を疲弊させている可能性もあります。
しっかりした管理をしているかどうかが分からないバスツアーは今後避けた方が安全です。
食の安全には非常に敏感で、
- 農薬の有無
- 輸入食材の使用
- 食中毒事故の履歴
- 消費期限問題
など、様々なことが関心の対象になりますが、バスツアーなどでは、
- 価格
- 日程
- 宿泊するホテル・旅館のレベル
- 昼食の内容
などは気にしても、途中で使用するバス運行会社のレベルについて気にされる方は余りいないのではないでしょうか。
過去にも大きなバス事故はありました。1985年1月28日に25名の命が奪われた犀川スキーバス転落事故、そして2012年4月29日に7名の命が奪われた関越自動車道高速バス居眠り運転事故。そして今回は14名の命が奪われました。
これからは、バスツアーを選ぶ際には、価格や昼食のレベルだけで選ぶのではなく、安全性にも注意をするようにしなければなりません。
今回の事故で亡くなった大学生の父親のコメントが胸に刺さります。
- ツアー会社とバス会社は、軽井沢の安置所にも来ずに、私たちの控室にも来ない。
- これ以上、まだ何も言うことができないので、事実としてこういう会社のツアーに参加させてしまったということは、非常に無念。
自分のため、愛する人のため、これからバスツアーを選ぶ際には安全性を検討項目に必ず入れてください。
しかし、どれほど安全に配慮しても、事故を100%防ぐことは不可能です
バスツアーを選ぶ時に、安全にしっかり配慮したバス運行会社を選んだとしても、それでも事故は起きてしまいます。確率は減ると思いますが、ゼロにはできません。
バスに乗る側も、事故に備える必要があります。
バスの運転士が、シートベルト着用を促す促さないに関わらず、座席にシートベルトが装備されている場合は、常にシートベルトを装着してください。
乗るなら締めろ、締めないなら乗るな
また単に締めるだけではなく、バスの衝突事故で発生が危惧される
- ジャックナイフ現象(事故の衝撃でシートベルトの上からすり抜けて天井に衝突する現象)
- サブマリン現象(事故の衝撃でシートベルトの下からすり抜けて床などに衝突する現象)
を防止するために、走行中はシートを余り倒さないようにしてください。夜行バスの際はできればシートを倒して眠りたいと思ってしまいますが、シートを立てた状態で仮眠を取る程度にして、いざという時に衝撃防御姿勢が取れるように備えましょう。
乗車中に異変を感じたら、運転士の指示を待たずに、
- 床に足を付ける
- 体を折って手で足首を掴む、または前かがみになって、前のシートに頭を付ける
などの衝突防御姿勢を取るようにしましょう。
今は任意になっていますが、今後はバス運行前に飛行機の離陸前の安全確認のような説明を行うことが義務付けられるかも知れません。そうなって欲しいと思いますが、そうなってもそれを怠る運転士が出る恐れはあります。言われても、言われなくても、座席にシートベルトが装備されている場合は、常にシートベルトを装着し、異変を感じたら、
- 床に足付ける
- 体を折って手で足首を掴む、または前かがみになって、前のシートに頭を付ける
などの衝突防御姿勢を取ってください。
シートにシートベルトが付いていない、または壊れている場合
時速60kmを超える高速自動車道や自動車専用道路を走行するバスは、必ず全座席にシートベルトを装着しなければなりません。
もし、
- 座席にシートベルトが装備されていない
- シートベルトが破損していて、装着ができない
場合は、別の席に移動させてもらうか、そのバスへの乗車を拒否してください。
「シートベルト、めんどくせー」
って思っている方もいるかも知れませんが、ジェットコースターのロールバーと同じで、あなたの安全を守るためのものです。
発進前には必ずシートベルトを確認し、装着し、問題がある場合は運転士に申し出てください。
シートベルトの有無が事故で生死を分けます。
乗るなら締めろ、締めないなら乗るな
を徹底してください。お願いします。
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