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ブドウ球菌死すともエンテロトキシンは死せず

      2019/06/13

ブドウ球菌は食中毒の原因菌ですが、加熱処理で死滅します。しかし、ブドウ球菌が排出するエンテロトキシン(腸管毒)は100℃で1時間加熱しても毒素は消えずに残っています。高圧殺菌(120℃で20分)でも毒は完全に不活性化することがないほどです。

一般に「十分に加熱すれば食中毒は防げる」と考えられていますし、概ね間違いではありませんが、エンテロトキシンのような毒がありますので注意が必要です。

雪印乳業の集団食中毒

2000年に発生した雪印乳業の脱脂粉乳から製造された乳製品を食べた消費者が集団食中毒を起こした事件は、有症者数14780名という世界でも稀に見る大規模なものでした。その原因は工場関係者の

「十分に加熱すれば食中毒は防げる」

という素人のような認識によるものでした。

おおまかな経緯

脱脂粉乳を加工中に停電が発生し、必要以上に長く温められた脱脂粉乳や冷却されるべきところが常温で放置された脱脂粉乳中に黄色ブドウ球菌が増殖しました。本来であれば廃棄されるべきでしたが、加熱処理をすれば問題なしと考えた担当者が加熱処理を施し、乳製品に加工したところ、黄色ブドウ球菌は加熱によって死滅していましたが、その毒素であるエンテロトキシンがそのまま製品に含まれることで大量食中毒を引き起こしました。

ブドウ球菌死すともエンテロトキシンは死せず

という本来ならば担当者が知っていて当然のことを知らなかったことが原因で起きた人災です。

雪印乳業の反省を日常生活に活かしましょう

雪印乳業の反省は、私たちの日常生活にも十分に活かせるものです。おばあちゃんが「傷んでも焼いたら大丈夫」と言って食べさせようとしてきたら、勇気を持って断りましょう。

サルモネラ菌、ウェルシュ菌、セレウス菌などが産生する易熱性のエンテロトキシンは熱で不活性化しますし、自然界最強の毒素であるボツリヌス菌が排出するボツリヌストキシンでさえも沸騰したお湯に数分つければ毒性を失います。殆どの細菌と毒素は熱で消えますが、黄色ブドウ球菌が作る無味無臭の耐熱性のエンテロトキシン(A型)が含まれている可能性が否定できません。そのようなリスクを冒してまで食べる必要があるかどうか考えてみてくださいね。

 - 健康, 家事, 生活, 病原菌, 食中毒, 食品

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