アトピー性皮膚炎はワセリンで予防
2019/06/12
理研と言うと「わかめスープ」よりも「STAP細胞はありまぁす!」の方が有名になってしまった感がありますが、今回の研究発表は多くの人に希望を与えるかも知れません。
理研がアメリカの雑誌「Journal of Clinical Investigation」(オンライン版)で発表したところによりますと、理研はアトピー性皮膚炎のモデルマウスと開発し、そのマウスにおいてアトピー性皮膚炎発症のメカニズムを解明したということです。このミュータントマウスの系統は、Spade (stepwise, progressive atopic dermatitis)と命名されたそうです。
ワセリン塗布でアトピー性皮膚炎の発症を遅延
理研によれば、
- アトピー性皮膚炎を引き起こす原因は免疫系にはなく皮膚側にある
- 皮膚バリア機能の低下がアトピー性皮膚炎を引き起こす
- ワセリンの塗布によって皮膚バリア機能が改善し、真皮に炎症細胞が集まることを防ぐ
のだそうです。
ただ、これはミュータントマウス「Spade (stepwise, progressive atopic dermatitis)」において確認がされたに過ぎず、人においては研究が始まったばかりです。
この研究が更に進み、人の細胞レベル、分子レベルでアトピー性皮膚炎発症のメカニズムが解明されれば、予防法や治療法の確立に繋がる可能性が大いにあります。
アトピー性皮膚炎の予防法や治療法が確立されれば、アトピックマーチ(atopic march)と呼ばれる恐ろしいアレルギー疾患の連鎖を断ち切ることも可能になります。
今後の理研の研究には大いに期待しています。
人もワセリンでアトピー性皮膚炎の発症を回避できる可能性があります
実は、うちの子が乳児だった頃、ものすごく酷い乳児湿疹に悩まされていました。
顔も体も全て乳児湿疹で覆われ、掻き破らないように常にミトンをはめていましたが、それでも掻破ってしまい、湿潤液が黄色く固まっていました。
当時通っていた皮膚科では
「確実にアトピー性皮膚炎になるから覚悟をするように。」
と言われ、覚悟をしていました。
そんな時、たまたま別の皮膚科へ行かざるを得なくなった際(かかりつけが休診)に、そこの先生から
「乳児湿疹にはとにかく保湿と保護が大切。」
「保湿と保護がしっかりできればアトピー性皮膚炎にせずに済む望みがあります。」
と言って頂き、それからはひたすら処方してもらったワセリン(薬局で買うワセリンも同じですが、場合によっては処方されるワセリンよりも高純度だったりもします)を塗りました。
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その頃のうちの子は常にヌラヌラ・テカテカしてました。
風呂あがりに欠かさずワセリンを塗り、朝起きてワセリンを塗り、おむつを替えるとワセリンを塗り、昼寝から起きるとワセリンを塗り、一日中ワセリンを塗ってました。
そのおかげで、酷いアレルギー体質ではありましたが、アトピー性皮膚炎に進行させずに現在に至っています。
しかも、その酷かったアレルギー体質も今では
- 犬
- 猫
- ハウスダスト
- 花粉
にまで減りました。
乳児湿疹は皮膚に傷があるのと同じ状態です
その傷から色々な物質が侵入し、感作を起こすことで、色々な物質にアレルギー反応を起こすようになると思います。
それをワセリンの薄い皮膜で覆うことで、色々な物質との感作を起こすのを回避することで、アレルギーやアトピー性皮膚炎を起こすことを防ぐのではないかと思います。
前からこのことをブログで書きたかったのですが、「民間療法」的なものだと言われれば否定もできませんので、避けてきました。
ですが、今回の理研の研究成果からすると、ワセリンで皮膚を塗ることでバリア層を作ることは意味があるのは間違いなさそうですので、書くことにしました。
アトピー性皮膚炎の治療方法については今後の研究を待つ必要があります。
また、予防方法についても、ワセリンを塗るのがいいのか、JAK阻害剤などの薬品を塗るのがいいのかなど、正確なことは未だ分かっていません。
ですが、昔から皮膚疾患の治療で使われてきてワセリンを塗ることでアトピー性皮膚炎を回避できる可能性は十分ありそうです。
アトピー性皮膚炎を防ぐ・治すのに効果があるとされる製品は数多く販売されています。
ですが、本当に効果があるのか、副作用はないのかなど、不安を感じるものもあります。
民間療法も色々あって、中にはかなり怪しいものもあります。
うちの子が乳児湿疹で苦しんでいる時に、アトピー性皮膚炎には番茶で体を拭くのがいいと勧めてきた人もいました。
なぜ番茶?
その中で、ワセリンは皮膚科でも出されますし、化粧品などにも使用されていて、安心して使えます。
しかも、手頃な価格も魅力です。
毎日たっぷり使うには手頃な価格も重要です。
ワセリンの使用にも注意は必要です
ワセリンは
石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製したもの(by Wikipepia)
パラフィンというとモロ石油という感じがしますが、ワセリンはパラフィンと同じです。
石油由来=有害
というイメージがありますが、それは必ずしも正しくはありません。
ワセリンも純度が低いものは避けた方がいいですが、純度が高ければ非常に安全です。
現在販売されているワセリンの中では、白色ワセリンから更に精製して不純物を取り除いた
サンホワイトP-1
が最も純度が高く、安全だと言われています。
でも、ごく微量の不純物に反応して炎症を起こしてしまう恐れがありますので、使用に際しては小さな部分でテストしてから、顔や全身に使用されることをお勧めします。
使用上の注意
- 傷、はれもの、湿疹等の異常がある時は使用しないでください。また、赤み、はれ、かゆみ、刺激等の異常があらわれた時は使用を中止し、皮フ科専門医等にご相談ください。
- 乳幼児の手の届かないところに保管してください。
- 高温、多湿や直射日光のあたる場所での保管は避けてください。
- サンホワイトP-1は日焼け止めではありません。
一部では副作用として日光に当たった際の「油焼け」による日焼けやシミが指摘されています。
これは本当に副作用なのかどうかは不明ですが、強く日光を浴びる際には使用を避けるか、日焼け止めクリームを併用するようにした方が安全です。
「アトピー性皮膚炎予防」というと、薬品やプロバイオティクス的な製品を期待してしまう部分がありますが、皮膚のバリア機能を補うには
不純物が極力少ない高純度ワセリン
が大きな効果を発揮しますので、色々高価な製品や民間療法を試す前に、皮膚科に相談し、ワセリンが処方された場合はより純度の高いワセリンに置き換えて、とにかく保湿につとめてください。
特に乳児湿疹が酷い場合は少しでも早く皮膚のバリア機能を補ってあげる必要があります。
今日の午後にでも皮膚科に行き、今日からワセリンによる保湿を始めてみてください。
アトピー性皮膚炎に苦しむ人が一人でも減ることを祈っています。
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