吸盤式サイドアンダーミラーでも合格　神奈川事務所

並行輸入車のうち、車高が高い車両には、死角を減らすためにサイドアンダーミラーの装着が義務付けられています。ですが、義務であるサイドアンダーミラー無しで走行している車が存在しています。

神奈川事務所が不正に車検を通していました

大阪府警が不正に車検証を取得したとして摘発した自動車販売業者は、車検の時だけ「ポン付け」と呼ばれる吸盤でミラーを取り付けて検査を通していました。取り調べに対して、「神奈川ならポン付けが通った」と供述したに加え、大阪府からわざわざ神奈川県にまで車検を出していたことから不正が発覚し、今回自動車検査独立行政法人の神奈川事務所の主席自動車検査官が3人も逮捕される事態となりました。

本来は車検を通るはずのない吸盤式のサイドアンダーミラーが神奈川事務所では検査に通ってしまっていました。このまま走行すれば、走行中に脱落する恐れがあります。恐らくサイドアンダーミラーをデザイン的に好きになれないオーナーが業者に依頼していたと思われますので、車検後はサイドアンダーミラーを取り外して走行し、次回車検時に再び取り付けるという行為が横行しているようです。

自動車検査独立行政法人法

自動車検査独立行政法人法に基づいた「審査事務規程」では、

保安基準を満たさないサイドアンダーミラーの装着状況として

• 粘着テープ類で取り付けられたもの
• 針金類で取り付けられたもの

と例示されています。吸盤式のサイドアンダーミラーに関しては明確な記載がありませんが、禁止されている「粘着テープ」による装着状況に準じると考えられますので、保安基準を満たしていないと判断するのが妥当です。その場合、この状態で車検を通した検査官は内規違反で罪を問われます。

恐らく今回見付かった不正車検は氷山の一角で、今後の捜査・検査で多くの不正が発覚すると思います。

神奈川事務所以外でも不正車検はあるのでしょうか？

あります。間違いなく。

神奈川県や東京都があまいというのは昔から言われていたことです。ハーレー乗りなら誰もが知っている有名カスタムショップも、ヤバいカスタムは東京まで持ち込んで車検を通していました。リジットフレームへの乗せ換え、オープンプライマリー化、鋭利なレバーやシシーバー、極小方向指示器などなど。

四輪でもこれで車検を通るのだろうかという車が街を走っています。民間の指定工場が検査をしているケースも多いと思いますし、自動車検査独立行政法人の地方事務所が不正に関わっている可能性もあります。不正も、

• 単にゆるい・あまいだけ
• 一部の職員が賄賂を受け取って不正を行っている
• 組織ぐるみで不正をしている

と様々なパターンがあると思いますが、不正が存在していることだけは間違いありません。

車検を通す場合は評判の良いところを選びましょう

大阪府警交通捜査課によると、自動車検査独立行政法人の傘下にある検査事務所には、2004年～2014年までの10年間に約115,000台の並行輸入車について車検の申し込みがあったそうですが、そのうち約38,000台が神奈川事務所で検査を受けたものでした。これは全体の約33％にも当たり、勿論全国最多です。

こんな状態であれば、業界内でも必ず評判になっていたはずです。「困ったら神奈川へ行け」と。

こんな話は個人レベルでもあります。車検に通るかどうか悩んでいると、「○○オートに行けば車検を通してくれる」とか「そこのディーラーが一番ゆるい」とか。

こんな情報は不正改造をしている人には役立つ情報かも知れませんが、不正改造をしていない人がそこで車検を通した場合、後でその車検が無効になる恐れがあります。また、適正な整備をして、正しく検査が行われていない場合は、乗員だけではなく、周囲の人の命を危険に晒す恐れもあります。

「評判がいい」ショップの場合は、なぜ評判がいいのかについて調べてみる方が安全です。安全に自動車を乗り続けたい人は、そのようなディーラーやショップに車検を依頼することは避けましょう。