のぞきや盗撮を繰り返すひとは病気です
2019/06/13
タレント田代まさしさんがスカート内を盗撮して書類送検というニュースがありました。薬物で服役し、今は自分と他の薬物依存症患者の回復に努めている最中のニュースだけに驚きましたが、最近はガセも多いので注意しようと思っているところです。ですが、何度も逮捕されているだけに「あぁ、やっぱりまた」と思われてしまうのも事実です。信頼を回復するまでには時間が掛かりますが、シャネルズやマーシーとしての活躍をリアルタイムで知っている世代としては頑張って欲しいです。
やめられないのぞきや盗撮は病気です
今回のニュースの真偽は不明ですが、過去にはのぞきや盗撮で逮捕されています。他にも著名人で手鏡でのぞきをしたとして逮捕されたひともいましたし、大学教授、警察官、プロレスラー、神主など、様々な職業やポジションのひとが逮捕されています。「なんでそんなことしちゃうかなー」って女性は勿論、男性でも不思議に思います。
人生に行き詰って、むしゃくしゃしてついやってしまったとかではなく、僕から見れば羨ましいような立場や活躍度合いのひとがやってしまい、全てを失うことになってしまう。ちょっと考えればダメなこと位は分かると思うんですが、それでもやってしまうのはこれが窃視症(せっししょう)という病気だからです。
窃視症(せっししょう)という病気について
日本では瞠視症(どうししょう)とも呼び、英語でもscopophilia(スコポフィリア)という単語があり、日本だけの病気ではありません。昭和の時代なら、山本監督が「ほとんどビョウキですね」なんて言いそうですが、ほとんどじゃなくて本当に病気です。
正常な衝動と病気との境界線が難しいと思いますが、臨床医学では、
- 6カ月間を超えて強い衝動や行動が続いているか
- 強い衝動や行動によって苦痛や対人関係上の問題を生じているか
が基準になっているそうです。
自分の地位や財産が失われるリスクがあるにも関わらず、長い期間窃視が止められない状態は病気に違いありません。
病気は治療しましょう
逮捕された著名人を見ていると、余程強い衝動があって耐えられなかったのだろうと思います。逮捕されるひとはそれが自分の病気を知る機会にもなりますが、それで自分の人生を犠牲にしてしまいます。また罪のない女性に不快な思いをさせることにもなります。また行動には起こさないように努力をしているものの、耐えがたい衝動と日々戦って憔悴しているひともいるかも知れません。そんなひとは一度医師に相談してはいかがでしょうか。
病気だから窃視しても仕方がないと許されることはありませんが、その衝動を持ってしまうこと自体は病気であって当人に罪はありません。病気を放置して犯罪者になるか、病気を治して心穏やかに日々を過ごすか、その選択であれば答は決まってくるのではないでしょうか。
僕自身は正常な範囲だと思っていますが、衝動に負けそうな時が来たら病院へ行きます。心身共に苦しむのは苦手ですから。
窃視症の治療を開始するにあたり不安なこと
窃視症の治療は心療内科ではなく、精神科に行くことになります。心療内科でも精神科を兼ねているとこもありますので、事前に電話で確認をしてください。
窃視症で苦しまれている方の中には、現在盗撮や覗きをしていたり、過去にしたことがある人もいると思います。その場合、病院から警察に通報されるのではないかと不安になるかも知れません。
医師は法律によって守秘義務が課せられていますので、原則診察に際して患者から聞いた内容を元に医師が警察に通報する心配は要りません。しかし、「原則」と書いた理由は、通報することを違法ではないとする最高裁による判例ができてしまったためです。平成17年7月19日に「覚せい剤取締法違反被告事件」に対する最高裁判決が、医師が通報することは違法ではないとするものであったため、医師の中でも「自ら治療を求めた患者を通報するべきではない」派と「通報も止む無し」派に分かれている感があります。
麻薬患者の場合は証拠として尿が存在するため、医師は確信を持って通報することが可能です。また、こどもの体に不自然なあざや傷がある場合も、そこに証拠があるから通報することが可能になっています。しかし、患者から聞いた話だけを頼りに通報を行うことは考えにくいですし、それを受けた警察が証拠もなく、被害者もいない状態(盗撮や覗きは親告罪ではありませんが、被害者がいない状態では警察も動きにくいようです)で、逮捕に動くことも考えにくいです。
ですから、診察を受ける精神科で全てを包み隠さずに話してしまっても警察に通報されたり、逮捕されたりする可能性は非常に低いです。全ての罪は法律(条例)で裁かれるべきという意見もあるかも知れませんが、被害者が存在せず(被害を認識していない)、これからは過ちを繰り返さないように自ら病院で診察を受けようとしているひとの行動は尊重されてもいいと思います。事実、麻薬中毒患者であっても、他人や中毒患者自身に危害を加える恐れがないと医師が判断した場合は警察へ通報しない場合もあります。
警察に逮捕されることで、法律でも社会的にも制裁を受けたとしても、窃視症が治る訳ではありません。病院で治したいという人が安心して治療を受けられて、完治するのを助けるためであれば、被害者のない窃視事案に関しては情報は伏せて医師の診察を受けることも止む無しであると思います。
診察を受ける際には、実際に窃視を行っていることは話さず、その衝動がどれほど強いかを医師に説明して治療方針を決めてもらいましょう。
病院の門を叩く際に気を付けるべき点をまとめると、
- 知人に会う可能性が低い、少し離れたところで病院を探してください
- 窃視症の治療が可能かどうかは事前に電話で確認してください
- 実際に盗撮をしている(いた)かどうかには触れず、窃視の衝動の強さを医師に伝えてください
窃視をしてしまう強い衝動はあなた自身ではなく、病気があなたはそう駆り立てています。そして、窃視症の治療は可能です。窃視を繰り返してしまい、それで自己嫌悪に陥っているあなた、是非一度病院へ行くことを検討してみてください。病気で大切な人生を壊してしまう前に。
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