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母乳神話の落とし穴 増える「くる病」に要注意

      2019/06/13

戦後の栄養状態が悪かった頃、くる病は珍しい病気ではありませんでしたが、最近また増えつつあります。若いママやパパには聞き慣れない病気かも知れませんが、ビタミンD欠乏による乳幼児の骨の成長異常の病気です。背骨や手足の骨が変形してしまいます。適切な処置をすれば変形は治りますので、早期発見が重要です。また、くる病は乳幼児の病気ですが、大人はビタミンDの不足で骨軟化症を起こし、骨粗鬆症の原因になる恐れがありますので、おとなも注意が必要です。(特に女性)

母乳にはビタミンDが含まれていません

ショッキングな話ですが、万能と思われている母乳にビタミンDが含まれていません。母乳以外で補給が出来なければくる病を起こします。紫外線UV-Bを浴びることで体内でビタミンDを生成して補給をする仕組みになっていますが、紫外線を極度に避ける生活をしていると十分なビタミンDが生成できず、欠乏症としてくる病を起こしてしまいます。

くる病は早期に発見して治療をすれば治る病気ですが、最近は乳児期の一過性の潜在性ビタミンD欠乏症が

  • 将来の1型糖尿病のリスクを3倍に上昇させる
  • 9歳時点で測定した骨量が明らかに低い

などの研究結果が発表されていて、一時的な問題では済まない恐れが出ていますので、尚更に注意が必要です。

その一方、粉ミルクにはビタミンDが含まれているため、粉ミルクで育てられている乳児はビタミンD不足、すなわちくる病の心配が要りません。母乳にいいところも多いですが、粉ミルクにもいいところがあります。

生まれた時から骨量が少ない赤ちゃんが増えています

紫外線UV-Bは確かに有害ですが、それを過度に避けると母体がビタミンD欠乏症を起こし、その結果として胎児もビタミンDが欠乏し、骨量が少なく生まれてしまいます。また、産後のスタイルの良くしようと野菜などカロリーの低い食品を多く摂り過ぎたことによるビタミンD摂取量の低下が事態を更に悪化させています。

ですから、赤ちゃんがお腹にいる時からビタミンDが不足しないようにママは注意しなければなりません。

ビタミンDは体内で生成できます

人間は紫外線UV-Bを浴びることでビタミンDを体内で生成することができるようになっています。今の食生活では必要なビタミンBの半分しか摂取できないため、残りの半分は紫外線を浴びることで体内生成する必要があります。

ですが、皮膚癌などを起こす恐れがある紫外線UV-Bでもありますので、やみくもに日光浴する時間を増やせば良いというものでもありません。

参考までに環境省が「紫外線環境保健マニュアル2015」で挙げている例を書くと

「何分ぐらい日光浴すれば足りるの?」というのは、皆さんが良くされる質問ですが、地域(住所)や季節、時刻、天候、服装、皮膚色(スキンタイプ)など多くの要因で左右されるため、一律に「○○分」と表現することはできません。「○○分」はあくまでも目安で、地域や季節、時刻などで判断することが必要です。これらを踏まえた上で、400単位(10μg)のビタミンDを産生するのに必要な時間を計算してみると、標準的な日本人(スキンタイプⅢ)が、

皮膚の25%(概ね、両腕と顔に相当)を日焼け止めをせずに露出して、

東京都心で8月1日の昼ごろ、雲が少しある晴れた日に外出するとして3分間

同様に1月1日の昼ごろに12%(顔と手程度に相当)を露出して外出すると約50分

などと計算されます。

環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」より抜粋

となっています。

食品と日光浴とサプリメントの組み合わせ

ビタミンDの摂取を日光浴だけに頼るのは紫外線の害もあり良くありません。妊娠期から乳幼児期に掛けて、かかりつけの医師に相談し、自分(達)のライフスタイルに合った方法を選びましょう。

完全母乳栄養で育児をしている場合やアレルギー対策に除去食をしている場合はビタミンD不足を起こし易いため、必ず医師に相談しましょう。

サプリメントも出ていますので、紫外線を浴びることに抵抗があるひとも安心です。

 - 健康, 生活, 育児

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