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キックスケーター 公道使用で検挙の恐れ

      2019/06/12

2月15日、愛知県春日井市出川町6丁目の市道の交差点で、それぞれキックスケーターに乗った姉弟が乗用車にはねられる事故があり、自動車を運転していた会社役員の女性が自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕されました。事故が起きた市道の交差点には信号や交差点がなく、姉弟はキックスケーターに乗って横断しているところをはねられたものとみられています。

この事故について愛知県警春日井署が「公道でキックスケーターに乗ると道路交通法に違反する可能性もある」とコメントしていますが、なぜ「可能性がある」と含みを持たせたのでしょうか?

それは道路交通法に違反するかどうかはケースバイケースだからなんです。

違法になるかも知れませんし、違法でないかも知れません。

それは乗っているキックスケーター次第。

またはキックスケーターに乗る公道次第。

そして、もしかすると警察次第。。。

怖いかも。

キックスケーターは軽車両なの? それとも遊具なの?

この点がすごく重要。

すごく重要なんですが、実は明確な規程がありません。困ったものです。

道路交通法76条に道路における禁止行為が規程されています。

第一節 道路における禁止行為等

(禁止行為)
第七十六条  何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
2  何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3  何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
4   何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一  道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
二  道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
三  交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
四  石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
五  前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
六  道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
七  前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
   (罰則 第一項及び第二項については第百十八条第一項第六号、第百二十三条 第三項については第百十九条第一項第十二号の四、第百二十三条 第四項については第百二十条第一項第九号)

出典:道路交通法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO105.html

76条に書かれている「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」「これらに類する行為」にキックスケーターが含まれているとすると、キックスケーターは

交通のひんぱんな道路において使用禁止=交通が頻繁ではない道路において使用可能

という解釈ができるため、公道において使用しても問題ないと考えられます。

でも、「キックスケーターは軽車両ではなく遊具」だと明確に規程されていないため、場合によっては道路交通法上の軽車両の扱いを受ける可能性があります。

もし軽車両とみなされた場合は、自転車と同じ扱いを受けるので、自転車で禁止されている行為(右側走行など)を見付かると道路交通法違反で検挙される恐れがあります。

どんなものが軽車両として扱われるかについては、道路交通法第二条に規程があります。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(中略)
十一  軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。

出典:道路交通法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO105.html

また、道路運送車両法にも規程があります。

(定義)
第二条  この法律で「道路運送車両」とは、自動車、原動機付自転車及び軽車両をいう。
(中略)
4  この法律で「軽車両」とは、人力若しくは畜力により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、政令で定めるものをいう。

出典:道路運送車両

形式はともかく、

  • 身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外
  • 人が乗って移動する車

を満たせば軽車両となります。

ローラースケートやスケートボードが軽車両として扱われずに、遊具として扱われる理由は、「人が乗って移動するための車ではない」と一般的に考えられているためです。

ですが、キックスケーターの中には、遊びではなく通勤や通学での使用を提案しているものもあります。

サスペンション付きで、移動が快適です。

遊びではなく、「移動」が目的で製造・販売されている製品の場合、遊具ではなく軽車両として扱われる可能性がありますので、注意が必要です。

小児用の車や三輪車であっても軽車両となる恐れがあります

道路交通法で、軽車両から除外される「小児用の車」ですが、以下の条件を満たす必要があります。

  • 小学校入学前まで(6歳未満)の者が乗車している自転車
  • 車体が6歳未満の者が乗車する程度の大きさ(車輪がおおむね16インチ以下)
  • 走行、制動操作が簡単で、速度が毎時4ないし8キロメートル程度のもの

6歳未満のこどもが乗っている自転車(少々大きめでもOKみたい)、6歳未満のこども用に設計された自転車、そして操作が簡単で最高速度が8km/h程度のものが「小児用の車」とされます。

どれも納得がいくものばかりですが、ここで注意が必要なのは速度規程です。

「走行、制動操作が簡単で、速度が毎時4ないし8キロメートル程度のもの」

と速度の規程がありますので、こども用の足こぎ車であっても自転車並に速度が出るものは「小児用の車」ではなく、軽車両とみなされる可能性があります。あくまで可能性です。

道路交通法では「6歳未満のこども向けに作られた自転車や車だったら大した速度も出ないから歩行者扱いしときますよ」ってことなんですが、速度が8km/hを超えるようなものになってくると「ちょっと待て!」ってことになります。

このことは「小児用の車」だけではなく、遊具にも当てはめられる可能性がありますので注意が必要です。

高速が出せるキックボードやスケートボードなどは遊具ではないとみなされる可能性があります

移動が目的かどうかに加えて、速度も遊具か軽車両かを分ける基準になる可能性があります。

「小児用の車」であるためには「速度が毎時4ないし8キロメートル程度のもの」でなければならないとされていることから、キックボードやスケートボードにもそれが当てはめられるかも知れません。

軽車両の扱いを受けた場合には、車両として道路交通法を遵守する必要が出ますし、保安部品が必要になる可能性も出てきます。

日本キックスケーター協会のウェブサイトには以下のようなアドバイスが記載されていますが、念のためお住いの都道府県の公安委員会または警察署に問い合わせた方が安全かも知れません。

キックスケーターは各メーカーや機種毎に構造(開発設計意図や制動装置の有無等)が異なりますので公道使用に関してはメーカー及び販売店に確認して下さい。

出典:日本キックスケーター協会のウェブサイト http://www.ksa.gr.jp/

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