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食べ物によるこどもの窒息事故を防ぎましょう

      2015/09/29

大阪市教育委員会によると、9月11日に大阪市立の小学校で、小学1年生の女の子が給食のおかずに出た「鶏肉と野菜のうま煮」を食べて、意識不明の重体になっています。原因は入っていたうずらの卵がのどに詰まったことによる窒息です。

市教委によると、女児は11日午後0時40分ごろ、おかずの「鶏肉と野菜のうま煮」を食べていたときにのどを詰まらせ、呼吸困難に陥った。異変に気づいた担任教師が背中をたたいたりしたが回復せず、同45分に119番。駆けつけた救急隊員が女児を病院へ搬送している途中の救急車内で、のどからウズラの卵を取り出した。

出典:「給食をのどに詰まらせ、小1女児が意識不明の重体 大阪市教委」産経新聞  9月17日(木)10時56分配信

 

想像以上に怖い食べ物による窒息事故

こどもの食品による事故と言えば「こんにゃくゼリー」が有名ですが、こんにゃくゼリー以外でも窒息が起こる可能性がありますので、常に注意が必要です。

今回はうずらの卵でしたが、平成20年には学校給食のパンによる窒息事故も発生しています。

平成20年の人口動態調査によると「気道閉塞を生じた食物の誤えん」による死亡者数は、以下のように年間で5000名近くになります。

年代 死者数
0歳 19
1~4歳 11
5~9歳 1
10~14歳 2
15~29歳 10
30~44歳 66
45~64歳 535
65~79歳 1418
80歳~ 2664
不詳 1
合計 4727

※最新データはこちら「最新結果一覧 人口動態調査」

食べ物が詰まった時の応急処置

救命講習を受けたことがある人は、

  • 背部叩打法(はいぶこうだほう)
  • ハイムリック法(腹部突き上げ法)※内臓破裂の恐れがあるため、乳児には使用してはいけません

の2種類があることを知っていると思います。大阪市立の小学校でうずらの卵をのどに詰まらせた事案では、

担任教師が背中をたたいたりした

と書かれていますので、担任の先生は背部叩打法を選ばれたのだと思います。

「なぜ強力そうに思えるハイムリック法を選ばないのだろう」と不思議に思われる方もいると思いますが、ハイムリック法は、

  • 胃破裂の恐れがある
  • 気管内の圧力が上がることで気管のどこかに穴が開く恐れがある
  • 胃の中のものが逆流して気道に入る恐れがある(特に意識のない場合)

以上のリスクもあります。慣れた人には効果的な方法ですが、不慣れな人が安全に、かつ効果的に行うのは難しいかも知れません。

小学1年生位の体格の場合は、抱きかかえるか、太ももの上に乗せて、背部叩打法を実施するのが効果的です。

いずれの方法を選択するにしても、異物が気道から抜ける保証はありません。のどに詰まった時点で救急車を呼び、それから背部叩打法、またはハイムリック法を実施するべきです。

今回の事案では、

  • 12:35 給食開始
  • 12:40 うずらの卵が女児の気道に詰まり、担任教師が応急処置
  • 12:45 119番通報
  • 搬送中の救急車内でのどからうずらの卵を除去

気道にうずらの卵が詰まってから119番通報するまでに5分時間が経過しています。異常を発見したら、即119番通報するべきでした。

 応急処置の修練よりも予防の徹底に注力したいです

応急処置を誰かで試すことができません。救命講習を何度受けても、どれだけ勉強しても、十分な実地経験を積むことはほぼ不可能です。

そこで、応急処置の技術を上げることよりも、食べ物をのどに詰まらせるのを防ぐ方に力を入れる方が効果が上がると思います。

のどに詰まらせるような行動を止めさせましょう

  • ピーナッツなどの豆類は3歳まで食べさせないようにしましょう
  • 余り噛まずに、大きな状態で丸のみする癖は止めさせましょう
  • 「ながら食べ(テレビを見ながら・歩きながら・喋りながら・遊びながら・寝ながら)」を止めさせましょう
  • 外遊び中にアメやガムを食べるのを止めさせましょう
  • 走行中の自動車内で食べるのは止めさせましょう

    食事中に驚かせることがないように注意しましょう

  • お菓子(マシュマロ・ポップコーンなど)を上に投げて口でキャッチするのは止めさせましょう
  • 乳幼児の場合は、年長の兄弟が危険なものを与えないかも注意しましょう

のどに詰まらせやすい食べ物に注意しましょう

のどに詰まらせやすい食べ物ランキングは以下の通りです。(平成20年4月 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 「食品による窒息の現状把握と原因分析に関する研究」より)

  1. パン
  2. ごはん
  3. 果物
  4. 寿司
  5. お菓子
  6. アメ
  7. 団子
  8. おかゆ
  9. 流動食
  10. こんにゃく・しらたき
  11. カップ入りゼリー
  12. ゼリー

食べ物をのどに詰まらせて亡くなるのは大多数が高齢者であるため、高齢者が食べるたべものが多くなっています。

こども、特に乳幼児が詰まらせやすいものは、

  • ナッツ
  • アメ
  • こんにゃくゼリー・こんにゃく
  • ポップコーン
  • ぶどう
  • 練り物(ちくわ・はんぺん)

などです。

身近な危険として、ハチやマムシが頭に浮かびますが、共に20名前後が命を失うに留まっています。

そう考えると、年間5000名近くが命を落とす食べ物による窒息死が如何に怖いかが分かります。昔は1万名を超えていた交通事故の死者数が5000名を下回っている現在、食べ物をのどに詰まらせて窒息する事故は日常生活における最も大きな脅威の一つです。

交通事故はどれだけ気を付けても防ぎきれない部分もありますが、食べ物による窒息死は少し気を付けることで防ぐことが可能です。大切な人が食べ物を詰まらせて命を落とすことがないように、またあなた自身も命を落とさないように、食べる時には今までよりも少し注意するようにしましょう。

意識不明だった大阪市の小1女児は9月24日に亡くなってしまいました

助けることが可能な命だっただけに残念です。ご冥福をお祈りします。

第二、第三の犠牲者を出さないために、児童生徒への注意喚起と教師への応急処置方法の再確認をしっかりと行って頂きたいです。大阪市教育委員会は「各学校に事故が起きた場合の対処法などをまとめた注意喚起の通知を出す」予定とのことですが、ただ紙を数枚出せば解決する問題ではありませんので、家庭とうまく連携しながら、

  • 喉に詰まり易い行為を止めさせる
  • 喉に詰まり易い食べ物を食べる時には特に注意する

ように常々から教育して行って頂きたいと思います。

救急車到着までの応急処置に掃除機を使うかどうかについて

餅が詰まった時に掃除機を使うという方法が紹介されています。効果的な場合がある反面、口腔内や喉を傷付ける恐れがありますので、安易な選択は危険です。

状況に応じて、

  • 背部叩打法
  • ハイムリック法

を試みて、それでもダメな時で、救急車の到着が遅れそうな時、遅れている時の最終手段として実施を検討する方法です。ただ、掃除機のノズルは大きく、また細菌も多く付着していますので、以下のような製品の配備も検討する価値があるかも知れません。(リスクもありますので、あくまで他に方法がない場合の救急避難措置として検討ください)

IMG吸引ノズル

吸引平ノズル/ M0048

 - 保育園・幼稚園, 学校等, 安全, 小中高, 生活, 育児

Comment

  1. ぶんぶん より:

    子どもたちの噛む力を伸ばす仕事や調査をしている者です。現在の過剰な衛生重視の育児のままでは、窒息事故は増えていくように感じます。窒息事故は偶発的なことでも起こりますが、噛んだりのみこんだりする機能が育っていないこととも大いに関係しています。大阪教育委員会のことばに、「余り噛まずに、大きな状態で丸のみする癖は止めさせましょう」とありますが、噛まない、丸のみする、は「癖」ではなく、咀嚼機能が十分育っていない、ととらえる必要があります。噛む力は本能ではなく、学習して身に着けていく能力です。赤ちゃんがおもちゃをかじったり、べたべたしたおかずを手づかみで食べたり、詰め込んだり口から出したり、口の周りに付いたものを舌でなめてとたり、親の食べ物を噛んだり出したりしながらできるようになっていきます。

    • bengals より:

      専門家としての貴重な情報をありがとうございます。

      本当にその通りだと思います。過剰な衛生管理に加え、食べ物は僕がこどもの頃と比べても更に柔らかく、食べ易いものになっていると思いますので、赤ちゃんやこども達が咀嚼機能を高めていく機会がますます減ってしまっています。

      僕自身咀嚼力が弱く、顎関節炎も患っています。歯科医でこどもの顎の幅が狭過ぎるので良く噛む食品を選ぶように指導された時、何とか僕と同じ道を歩ませたくないと色々噛みごたえのある食品を考えましたが、本当に難しかったです。するめ、煮干し、ナッツ程度しか思い付きませんでした。

      子ども達が窒息事故を起こさないためだけではなく、将来の健康のために噛む力を伸ばす活動を是非広めてください。

    • かずドン より:

      私も咀嚼の啓発が大切であると思い子どもたちに啓発活動行っています。今後どのように啓発活動をしていったらよいか常に考えています。連携できるといいです。

      • bengals より:

        コメント頂き、ありがとうございます。

        食べ物によるこどもの窒息事故が起きると、その食べ物を避けたり、細かく加工して食べさせることが先に検討されががちですが、咀嚼の大切さ、また食べる時の忌避事項を理解することの重要さがもっと注目されるべきだと思います。

        咀嚼の啓発の動きが広がっていくことを期待しています。

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