同志社大の19歳 合宿の飲酒で死亡
2019/06/12
同志社大の19歳 ダンスサークルの合宿で飲酒し死亡
再び未成年の大学生による飲酒死亡事故です。今度は同志社。約2ヶ月で京都の大学で2人の未成年が飲酒で死亡しました。
2015年12月16日夜、京都府立大学内の部室で10人前後の学生らとともに飲酒していた1回生の女子学生(19歳)が意識を失い、一緒に飲酒をしていた学生が119番通報して救急搬送されましたが、病院で死亡が確認されました。死因は急性アルコール中毒。
今回は同志社大学の1回生の男子学生(19歳)でした。2月26日午前8時15分頃、ダンスサークルの合宿で宿泊していた兵庫県豊岡市の施設で、ぐったりしているのを同じサークルの学生が気付き、
「仲間が呼吸しておらず、意識がない。」
と119番通報して、ドクターヘリで搬送されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。
宿泊していた神鍋高原 名色ホテル
25日夜からサークルメンバー達と一緒にビール、日本酒、焼酎などを飲んでいたところ、男子生徒が
気分が悪くなり嘔吐
などしたため、サークルのメンバーが布団に寝かせていました。当初はいびきをかいていたものの、26日朝に声をかけると反応が無かったそうです。
豊岡南署ではサークルのメンバーから詳しい経緯を聞き、飲酒と死亡との関連性を調べるとしています。2月27日には司法解剖を行い、詳しい死因を調べる予定です。
生かされない過去の事件・事故の反省
約2ヶ月前に京都府立大学で未成年者に飲酒をさせて死亡に至らせた事件があったばかりで、再び同じ京都の大学で死亡事故を起こしています。
確かに京都府立大学の場合は、キャンパス内での飲酒で死亡したという点では特殊でしたが、未成年者に対して成人である先輩が飲酒をさせるという点では何ら変わりはありません。
まだ自分のアルコール耐性について良く分かっていない未成年者に対して、無理に飲まざるを得ないような状況下において飲酒をさせることは非常に危険です。
未成年者に飲酒をさせることは法律に反しています
非常に危険である以前に、未成年者に飲酒をさせることは法律に反しています。
親やそれに準ずる監督代行者が未成年者の飲酒を防ぐ義務があるとされていますが、サークルのリーダーや先輩が未成年者が飲酒することを制止する義務を有するとされる監督代行者に該当するかどうかは微妙です。
ですが、
気分が悪くなり嘔吐
した男子学生が「急性アルコール中毒」になっていたことは容易に推測され、布団に寝かせるだけではなく、定期的に様子を見るなどの必要な介抱を行わない場合は、
- 中毒症状の急変による死亡
- 吐瀉物による窒息死
が予見されます。その場合は、サークルの責任者や先輩は、男子学生の死に対して何らかの責任を負うべきだと思います。
また、飲み会でどのように飲酒が行われたのかによっても、犯罪性が変わってきます。
「未成年者だから飲めません」と言って飲むのを断った男子学生に対して飲酒を強要するようなことがあれば、強要罪(3年以下の懲役)。
急性アルコール中毒や肝臓などに障害を負った場合は傷害罪(10年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)。今回の場合は死亡しているので、傷害致死罪(2年以上の有期懲役)。
そして、飲酒を強要する部員を見ながら、それを制止せずに、手拍子やコールをした場合は傷害現場助勢罪(1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料)。
人生これからという時に、夢に胸を膨らませて入学した大学の活動で命を落とすなんて、親には死ぬよりも辛いことだと思います。失った男子学生の命は戻りません。せめて、事実が闇に葬られることがないように、一緒にいたサークルのメンバーは本当のことを証言して、何があったのかを明らかにしてください。
アルコールハラスメントは酒を使った暴行です
日本はアルコールに関して寛大なところがあります。
しかし、アルコールハラスメント(アルハラ)は、ナイフや鉄パイプがアルコールに代わっただけで、暴行です。アルハラを目撃した場合は、変に介入はせず(アルコールが入っているので注意したことに逆ギレされ、本当の暴行を受ける恐れがあります)に、迷わず110番通報してください。
お酒はハタチを過ぎてからですが、ハタチを過ぎても注意が必要な人もいます
今回ダンスサークルが宿泊していたホテルは、林間学校や合宿で利用されることが多いところのようです。
ダンスサークルのメンバーが自分たちで購入して持ち込んで酒(ビール・日本酒・焼酎など)を飲んで起こした事故ですから、宿泊施設側に責任はありません。
ただ、大学生がどんちゃん騒ぎをするのは日常茶飯事だと思いますが、受付時に未成年者に飲酒をしないようにお願いをしたり、度が過ぎた飲酒が見られる場合は注意をして頂くなど、何らかの協力をしてもらえないものかと思います。
19歳と11ヶ月の学生は飲めず、20歳の誕生日当日の学生は飲める。両者には殆ど差がなく、理不尽な気もしますが、それが法律です。そんな法律に意味あるのかと疑問に思うところもありますが、法律では飲んではいけないと規定されていて、色々な人から「ダメですよ」と言われているのを聞きながら、こっそりハメを外さない程度に飲む「慣らし期間」を経てから、20歳で本格的に飲酒デビューをするというのが現実的ではないかと思います。大学生になったというだけで、自分の許容限度も知らずに一気にデビューして急性アルコール中毒で命を落とすことがないように、「飲酒はハタチを過ぎてから」と言い続けるしかありません。
それから、自分がアルコールにどの程度強いのかを予め検査しておくことも参考になります。検査は絶対ではありませんが、弱い可能性があることを知っておくことは役に立ちます。
ライフケア技研の「アルコール体質試験パッチ 3枚」は手頃で簡単ですが、ちょっと結果が分かりにくいそうです。色で判定するタイプは、日焼けの状態や元々の肌の色もありますので、あくまで参考程度として使うのがいいでしょう。
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のように、遺伝子レベルでアルコールの耐性を確認しておけば一番確実です。でも、体調や肝臓の具合によっては「酒豪(W2・W3:アルコールとアセトアルデヒドの分解がともに速いタイプ)」判定の人であっても普段は平気な量で急性アルコール中毒を起こす可能性があります。また、標高の高い場所(飛行機内も含みます)は血液中の酸素濃度が下がるため、アルコール分解能力が低下するため、注意が必要です。
気心の知れた仲間と酒を飲みながら過ごす時間は本当に楽しいものです。そんな酒の席での失敗もまた後になってみれば、いい思い出になります。ただ、それは命があってこその話です。
「学生の話」で片付けず、幾つになっても飲み過ぎには注意してください。
繰り返される悲劇 1995年5月13日には死亡事故も
特定非営利活動法人ASK(アスク:アルコール薬物問題全国市民協会)によりますと、1995年5月13日に当時同志社大学の1回生であった山口豊子さんの息子、山口倫弘さん(19)が亡くなっています。
1995年5月13日、同志社大学グリーンテニス同好会の新入生歓迎コンパで飲まされたうえ、「伝統」の川(鴨川)入りを強要されて死亡しました。死因は心不全の溺死。
嫌がる山口さんを先輩が無理矢理鴨川に連れて行き、上がろうとする彼の前に立ちはだかり、死亡させたにも関わらず、誰も逮捕はされませんでした。加害者は提訴されましたが、京都地裁において学生全員が責任を認めて謝罪し、和解が成立しています。
これほど痛ましい事故が過去に起きているにも関わらず、しかも少し前には京都府立大学でも死亡事故があったばかりなのに、どうして再び同じ過ちを起こせるのでしょうか。
同志社大学からも正式なコメントなどは出ていませんし、ウェブサイトにお知らせもありません。
サークルで起きた事故については大学は関わらないということでしょうか。
学生自身は勿論ですが、大学の姿勢にも正すべきところがあるように思います。
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