広島の中3自殺 誤った進路指導が原因
2019/06/12
1年生で万引きという誤記録で進路指導した結果が自殺
2015年12月、広島県府中町立府中緑ヶ丘中学校で中学3年生の男子生徒が自殺した事件で、学校側が男子生徒がしてもいない万引きを理由に志願する私立高校に推薦をしないという進路指導をしたことが男子生徒を自殺に追い込みました。
万引きしたのは別の生徒で、自殺した生徒は非行歴などなく、私立高校の推薦の要件を満たしていました。
1年生当時の生徒指導の会議で、配布された資料に記載された生徒の万引記録が誤っていることに学校は気付いていましたが、資料を保存しているサーバーでの修正作業をしていなかったことが8日の記者会見で明らかにされました。(※サーバー内の情報の修正に関しては報道によって異なります。)
誤った万引きの記録は2年間持ち越され、その誤った記録によって生徒は殺されました。
女性担任教師の無責任な言動が自殺を招く原因に
一番責任が重いのは、
- 別の生徒の万引き記録をこの生徒の指導原簿に入力した教師
- データが誤っていることを指摘されながら、サーバーのデータを修正しなかった教師
これらの者(同一人物の可能性大)です。
ただ、担任教師も生徒のことを思えば
仮に過去に万引き歴があったとしても、何とか希望する進路に勧めるように校長に直談判する
などの努力をしていれば、誤記録が発覚し、生徒を自殺に追い込むようなことになりませんでした。
この担任教師は教室前の廊下で、
教師「万引がありますね」
生徒「えっ」
教師「3年の時ではなく、1年の時だよ」
生徒「あっ、はい」
というやり取りをしています。
恐らく普段から「説明をしても無駄」だと生徒達に思わせる態度を取っていたのでしょう。
自殺した生徒は保護者に
「どうせ言っても先生は聞いてくれない。」
と保護者に話していました。専願での高校進学を希望していましたが、担任が万引きを理由に複数校を一般受験するよう勧めていました。報告書には書かれていませんが、恐らく担任教師に「僕は万引きをしていない」と何度か言ったのではないでしょうか。それを聞いていたとしては都合が悪いので、
教師「3年の時ではなく、1年の時だよ」
生徒「あっ、はい」
というやり取りで、生徒が否定したとは思わなかったという言い訳をしているのでしょう。濡れ衣を着せられて、こんな反応しかしないはずがありません。卑劣です。
報告書には「教職員の誰にも相談することはできなかった。このような思いを抱かせる不十分な教育相談体制になっていた。」と書かれているそうですが、誰にも相談できないように、担任教師が話をしていた可能性があります。「記録が残っているから言い逃れはするな」と言っていたとしても、もう誰も反論できません。
このやり取りで絶望した生徒に対して、12月の初旬に「校長が推薦できない」旨を両親に話をしたかを生徒に確認していました。これがダメ押しになり、生徒は12月8日の三者懇談には姿を見せず、その日の5時頃、自宅で倒れているところを父親が発見し、搬送先の病院で死亡が確認されました。
府中町立緑ヶ丘中学校が2月8日夜に開いた臨時保護者会ですが、
担任教師は体調不良を理由に欠席
しました。問題の大きさを考えれば出席するべきですが、
- 担任:非難をされるのが分かっていながら出席したくない
- 学校:下手なことを喋られなくない
この両社の利益が合致し、当事者不在の説明会になったのでしょう。
学校で起きた不祥事では、当事者は「体調不良」になり、説明会を欠席するのがお決まりですが、今回の担任教師は
- 自分の生徒を信じて、希望進路に進めるような努力を怠った
- 廊下で過去の「(誤った)万引き事実」を話した
など、非常識な面をのぞかせていますので、説明会の欠席は当然のことなのかも知れません。
説明会での学校の態度に対して、保護者の皆さんは憤りと不安を感じられていて、今後こども達を通わせ続けることをストレスに感じています。
万引きなどがあった場合は校長推薦を認めないルール
府中町立緑ヶ丘中学校には、
万引きなどがあった場合は校長推薦を認めない
ルールがあるそうです。
今回自殺した生徒は、万引きの事実はなく、私立高校への推薦基準を満たしていたと言います。
- 勉強
- 部活
- 態度
が問題なかったということですが、それは万が一過去に非行歴があったとしてもしっかりと更生していることを意味しています。それでも、学校の馬鹿げたルールによって「校長推薦を認めない」というのは教育として間違っているのではないでしょうか。
勿論、過去とは言え、非行事実は消せません。全く同じ成績・態度の生徒を推薦枠を争う際には、過去であっても非行歴によって推薦されないことがあっても、それは仕方がないかも知れません。
ですが、枠が空いているかどうかに関わらず、
万引きなどがあった場合は校長推薦を認めない
と決めてしまっていることは正しいとは思えません。これが無ければ、男子生徒は自殺せずに済んだはずです。彼が万引きをしていたとしても自殺に追い込まれる必要はありませんし、ましてや万引きをしていないにも関わらず、間違ったルールによって殺されるなんて、まったくもってやりきれません。
府中町教育委員会が第三者委員会を設置して進路指導と自殺との関連を調査予定
町教委は第三者委員会を設置し、進路指導と自殺との関連を調査するとしていますが、これだけ関連性が明らかなケースであっても、
誤った進路指導と自殺との関連性は不明
であるという調査結果を出すのがオチです。その為に無駄な税金を使うべきかどうか、疑問です。
自殺した生徒のご両親は、3月9日の未明に、弁護士を通じて
ずさんなデータ管理、間違った進路指導がなければ、わが子が命を絶つということは決してなかったと、親として断言できる。
とするコメントを出されました。
本当にその通りだと思います。
自殺した事実を他の生徒に知らせることで動揺し、進路に影響してしまうことを懸念して、学校側に生徒が「急性心不全」で亡くなったと説明するように保護者が希望をされていたそうです。
恐らく学校はそのまま事実を隠蔽したまま、無かったことにしたかったのかも知れませんが、再発防止のためにも事実を調査し、反省をして頂きたいと思います。
それから、
- 別の生徒の万引き記録をこの生徒の指導原簿に入力した教師
- データが誤っていることを指摘されながら、サーバーのデータを修正しなかった教師
以上の者と
- 女性担任教師
は教職から外れるべきだと思います。
亡くなった生徒さんのご冥福をお祈りします。また、二度と同じような過ちで尊い命が奪われませんように。
推薦基準の変更を生徒の将来よりも優先させた学校
この手の事件は、後になってずるずる色々な事実がわかってくることが多いのですが、今回も同様です。
府中町立府中緑ケ丘中では、今までは推薦を出す判断基準としてきた非行歴の調査対象を「3年時のみ」とされていたものを、
年度の途中であり、しかも入試に近づいた11月20日に急遽変更
し、しかも「1年~3年まで」と拡大(厳しく)しました。(緩くするのであれば、まだマシです。)
これにともなって月末までに推薦希望者の非行歴の有無を確認するように各担任に求めました。
それを受けて、女性担任教師は「締め」に間に合わせようと、
- サーバー内の資料を確認するのを怠った
- 当時担当した教師への確認を怠った
- 保護者への確認を怠った
- 生徒への確認は、廊下での立ち話で、一方的に決めつけた
など、ずさんの極みです。
サーバーの中のデータは修正されたいましたから、データを確認するか、せめて当時を知る教師に確認すれば生徒は命を奪われずに済んだはずです。
それを「締め」という自分の都合を生徒の将来よりも優先させるとは教師の資格以前に、人としてもどうかと思います。
公立中学の教師として働くには、大きな組織の中での立ち居振る舞いを覚えて、上手く動く必要があるのは分かりますが、
受験も近い11月20日に推薦基準を変更するという蛮行
に異を唱えず、生徒のためにサーバー内のデータを確認する、他の教師に確認するというちょっとした手間すらもかけずに処理を進めようとする態度には憤りを覚えます。
こんなことがあれば、自分は絶対に学校に掛け合うという教師も多いと思います。職を賭して学校と闘うという方もいるはずです。そんな方もいるかと思えば、今回のような教師もいる現実。
つくづく運の大切さを感じるのと同時に、異常を感じたら、引っ越してでも学校を変えることも時に必要なのかも知れないと改めて思います。
孟母三遷
こどもの教育のためには環境が重要だという教えですが、孟母が近くに住んで良かったと思った「学校」ですら、こどもの安全のためには三遷しないといけない時代なのかも知れません。
2013年の万引き事案発生時の指導にも落ち度
読売新聞による情報公開請求で全文が開示された府中緑ヶ丘中学校が作成した報告書によって、
- 2013年10月6日(日)
- 広島市内のコンビニエンスストア
- 広島県府中町府中緑ヶ丘中学校の1年生男子2人が万引き
- 当日出勤の教師が店に出向き、2人の保護者を店に呼び謝罪させた
という万引き事案に対して、学校は内規で定められた指導を全て怠っていたことが発覚しました。
内規によれば、万引きの報告があった場合、
- 生徒・保護者・担任・学年主任・生徒指導主事の5者面談実施
- 別室指導
- 奉仕活動
などの指導をすると定められていますが、この学校では全てを怠っていました。
報告書によれば、万引き事案の翌日、2013年10月7日(月)に校内暴力事案が発生し、学校はこの対応に追われたため、
万引きを行ったとされる生徒本人への事実確認を実施せず
に、
- 10月7日(月)にコンビニへ生徒を迎えに行った教師が、生徒指導担当教師に口頭で報告
- 生徒指導担当教師は生徒指導ノートにメモを取ることを怠った
- 生徒指導担当教師は、口頭報告をそのままパソコンに入力を行い、うち1名の名前を誤って入力
- 後の生徒指導会議で、万引きの記録が誤っていることが指摘され、サーバー内のデータは修正されたものの、誤った万引き記録が残ってしまい、自殺した生徒への生徒指導に使用された
というお粗末な対応。
「翌日は校内暴力事案への対応に追われた為に、メモも取らずに口頭報告をそのままパソコンに入力してしまった。」
というのはダメな人の言い訳によくあるやつです。
校内暴力事案への対応はそれほど長く続くものではありません。学校は荒れていたとしても、暴力事案を鎮圧すれば、荒れたなりに平常に戻ります。
それでも、万引き事案について、再度生徒指導会議を持たず、生徒本人への確認も、生徒指導原簿への記入も行わなかったというのは、要は
教育を放棄
しているのと同じです。
文書ではなく口頭で報告したとか、メモを取らずにそのままパソコンに入力したとか、入力する生徒の名前を間違ったとかは、表面的なことです。
一番問題なのは、万引きをした生徒を指導していないこと。もしかすると万引きをした生徒と校内暴力を起こした生徒が同じなのかも知れません。
仮にそうだとしても、万引き事案についてもきちんと指導を行っていれば、生徒を誤ってデータ入力を行うという稚拙な間違いを2年も持ち越したりはしないはずです。
これでは次の犠牲者が出てもおかしくありません。学校が行った説明会の帰りに受けたインタビューで、保護者の中に
「学校へ安心してこどもを預けられない。」
と言われている方がいましたが、全くその通りだと思います。
教育委員会は、この学校を病巣をしっかりと取り切る必要があります。「分厚い報告書を出して終わり」としないように、徹底的に対処して頂きたいと心から願います。
亡くなった生徒さんのご冥福をお祈りしています。また、決して癒えることはないのかも知れませんが、ご遺族の方の気持ちが少しでも楽になりますことをお祈りします。
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