胃透視検査よりも胃カメラが安心です
2019/06/12
両親の同僚で、僕も昔から知っている人ががんに侵されていることが分かりました。
がんが発生した部位は胃。
しかも手術ができないほど進行してしまっていました。
調子が悪いからと受診した内科で胃カメラによる検査をしたところ、末期がんであることが判明。
若い頃から毎年胃透視検査を必ず受けて来たにも関わらずです。
胃透視検査よりも胃カメラの方が断然安心です
胃カメラで「おえっ」となったという体験談を聞いて、多くの人が胃透視検査を選んでいると思います。
胃透視検査も無駄ではありませんが、胃カメラでは分かるものが胃透視検査では分からないことがあります。
胃透視 | 胃カメラ | |
コスト | 約5000円※ | 約6000円※ |
確定診断 | 不可 | 可能 |
デメリット | 便秘 | 咽頭反射 |
X線被爆量 | 20~30mSy | なし |
発見できるがん | 隆起型・潰瘍型 | 隆起型・潰瘍型・平坦型 |
※3割負担・病理検査なし
また、胃透視検査では確定診断ができないため、異変があった場合は改めて胃カメラで検査を受ける必要があります。
胃透視検査でも、隆起型・潰瘍型の胃がんは発見が可能ですが、平坦型の胃がんは発見することができません。しかも、胃の形状が複雑なため、できた場所によっては隆起型・潰瘍型の胃がんも見落とす恐れがあります。
早期で胃がんを発見することも胃カメラにはできますが、胃透視検査ではほぼ不可能です。
胃がんを内視鏡で切除する手術法がありますが、これは胃カメラによる検査で初期の胃がんが見付かった場合のみで、胃透視検査で発見されたような胃がんでは内視鏡手術が不可能な場合も多くなります。
胃透視検査の最大の問題点はX線被爆量の大きさ
胃カメラが嫌いな人が多いせいか、胃透視検査の問題点については余り伝わってきません。
伝わってくるのは、胃カメラで「おえっ」となるということばかり。
ですが、胃透視検査には無視できない問題点が存在しています。
それは放射線被曝量の大きさ。
職場で行う健康診断では検診車を使った胃透視検査が行われると思いますが、あの検診車による胃透視は被曝量が高くなってしまい、その被曝量は
20~30mSv(ミリシーベルト)
と言われています。(因みに胸部X線写真の被曝量は0.1mSv!!段違いです。)
普通に生活している人が年間に浴びる視線放射線は、
2.4mSv
ですから、如何に大きいかが分かります。
被爆によって細胞内のDNAが傷つくとがんが発生するリスクが上がります。
傷ついたDNAが原因で発がんするには、1回の被曝量が
50~200mSv
であると言われています。
胃透視検査の被曝量20~30mSvはすぐにがんを発生させるレベルではありませんが、何十年にも渡って胃透視検査を受け続けると胃がんを引き起こす恐れがあると考えられています。
胃透視検査でがんになる
という冗談のような話も、実はかなり深刻な問題なんです。
胃カメラによる検査が受けられない環境(へき地医療など)では胃透視検査を受けるのもやむを得ない場合もありますが、胃カメラを実施できる環境下では、胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
胃カメラ検査の「おえっ」となる問題は回避可能です
胃カメラで「おえおえっ」「ゲーゲー」するというのは、もう昔の話になりつつあります。
「おえおえっ」「ゲーゲー」の原因は、胃カメラによる咽頭反射ですが、その咽頭反射を抑える麻酔をしっかりとしてもらえば、悶え苦しむこともありません。
ただ、咽頭が過敏な方や余りに不安な方は、点滴で麻酔薬を注入することで、ぼんやりしているうちに胃カメラ検査が終わっているという方法もあります。(検査後暫く動けませんので、仕事の合間に検査を受けるといった忙しい方にはお勧めできません。)
それでもやっぱり「おえおえっ」「ゲーゲー」が怖いという方には、鼻から胃カメラを入れる方法をお勧めします。
経鼻内視鏡検査
僕も受けましたが、先生と話しながら検査を受けることができます。
鼻の違和感はありますが、不快感や痛みはありません。
デメリットは、検査後に鼻水とキシロカインゼリーがダラダラと鼻から出てくるので、暫くはティッシュやハンカチで押さえておかないといけないということくらいです。(※鼻をかんで一気に出してしまいたいところですが、鼻血が出る恐れがあるので、ダラダラ出るに任せるしかありません。)
経鼻内視鏡スコープは、オリンパスと富士フィルムメディカルが製造していて、富士フィルムメディカルのサイトに詳しい情報がありますので、ぜひ一度見てください。
胃がんは初期で発見できれば完治できる病気です。
被曝量がゼロで、胃の表面を詳しく観察できる胃カメラによる検査をぜひ受けてください。
身内に胃がんやピロリ菌感染者がいる人は除菌と胃カメラ検査が必須です
身内に胃がんになった人がいる場合は、遺伝性であっても、ピロリ菌が原因であっても、要注意です。
身内にピロリ菌が見付かった場合、自分も感染している可能性があります。
時々胃炎を起こしているような場合は、消化器内科を受診して、ピロリ菌検査を行い、ピロリ菌がある場合は除菌を行い、医師の勧めにしたがって胃カメラで定期的な検査を受けましょう。
その場合、経鼻内視鏡検査だと
- 病理検査が行えない
- 詳細な画像診断は口からの内視鏡に劣る
ため、鼻からではなく、口から飲む内視鏡で検査を受けた方が安心です。
- 身内に胃がん患者がいない
- 身内にピロリ菌感染者がいない
- 胃炎などの症状がない
場合は、経鼻内視鏡検査で問題ないと思います。
でも、一件でも該当する場合は、口から飲む従来の内視鏡で検査を受けることをお勧めします。
内視鏡による検査も日々内視鏡も技術も進化しています。
昔嫌な思いをされた方も、「おえっ」となるって話を聞かされて怖くなってしまった方も、ぜひ内視鏡による検査を受けることを検討してみてください。
早期発見できた胃がんは完治可能です
関連記事
-
「ありえへん∞世界」で紹介されたMoustafa Ismail氏
最近は殆どテレビは視ない(※ひかりTVは視まくり)のですが、偶然電源を入れた時に …
-
高齢者が熱中症になり易い理由
熱中症で亡くなるひとに占める高齢者の割合が高く、高齢者は特に熱中症に注意が必要で …
-
こどものメガネはJINSで予備を作っておきましょう
2050年には世界人口の半分が近視になるというショッキングな記事を読みました。屋 …
-
殺人カビ胞子飛散機能付きの除湿器あります
除湿器は「乾燥器」とも呼ばれるため、カビとは無縁のイメージがありますが、実際は全 …
-
実家が土石流危険地域のど真ん中
酷い雨でしたが、ようやく少し雲が薄くなってきました。 これ以上の被害が出ないこと …
-
綺麗そうに見えて結構汚いもの
すごく汚そうに見えて実は綺麗なものは大きな害はないんですけど、綺麗そうに見えて実 …
-
川や滝への飛び込みは死ぬほど危険
猛暑が続き、水の事故も続いています。東京都青梅市の多摩川で、男性が高さ約5メート …
-
冤罪事件「イボガエルを触ってイボができた」
イボガエルは無罪です。イボガエルはイボイボしていますが、イボガエルのイボはいわゆ …
-
マーガリンは体にいいのか悪いのか
バターは値上がりしただけではなく、未だにスーパーの棚には少ししか置いてありません …
-
どれだけ寝ても寝ても死にそうに眠くて仕方がない病気
僕は特発性過眠症です。「特発性」は特別な原因が不明と言うことなんですが、内科の先 …