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やはり「墜落」だった 米海軍はオスプレイ事故をクラスAに分類

      2019/06/12

12月13日、沖縄県名護市安部の海岸にオスプレイが「不時着」して大破した事故について、米海軍「Naval Safety Center」による「FY17 CLASS A FLIGHT MISHAPS (FMs) 」において「クラスA(最重大飛行事故)」に分類されていることが分かりました。

個人的な感覚では、航空機が大破していれば「墜落」と呼びそうなものですが、

  • 不時着:ある程度の操縦可能な状態を保った状態で着陸を試みた
  • 墜落:機体の制御を失い、操縦不能に陥り、着陸を試みずに地上へ落下する

的な区分があるようです。米海軍側が「墜落」と呼ばない理由は、事実の隠蔽や捻じ曲げではなく、インシデントの定義にあるようです。

  • 途中で着陸を諦め、機体を放棄して脱出するのか
  • それとも被害を最小限に食い止めようと機体の制御と着陸に努めるのか

この違いは大きく、悪天候時の訓練において不具合が生じたにも関わらず、最後までリスク覚悟で機体の制御に務めた訓練生の努力を感謝して欲しいとニコルソン四軍調整官が興奮してしまったのも少し分かる気がします。(※オスプレイから脱出可能であったかどうかは不明です)

「FY17 CLASS A FLIGHT MISHAPS (FMs) 」では、2017会計年度に発生したクラスAに分類される飛行事故が挙げられています。

FY17 CLASS A FLIGHT MISHAPS (FMs)

最下段、最新のクラスAの飛行事故が沖縄県名護市安部の海岸にオスプレイが「墜落」した事故です。左隣に記載されているのが、12月7日に高知市沖で起きた米軍岩国基地所属FA18戦闘攻撃機の墜落事故になります。

FY17 CLASS A FLIGHT MISHAPS (FMs)1

今回の事故を受けて、安慶田副知事が抗議を行い、当初米軍が主張した「不時着水」ではなく「墜落」であるとして

オスプレイの即時飛行停止・配備撤回

を求めた時、ニコルソン四軍調整官が抗議に対して

  • 「県民や住宅に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ。」
  • 「政治問題にするのか。」
  • 「抗議書にパイロットへの気遣いがあってもいいのではないか。」

と声を荒げ、机を叩くなどしながら、強い口調で反発しました。

また、その後に行われた記者会見でもニコルソン四軍調整官は

  • 「彼の行動は沖縄を守った。」
  • 「あれだけの損傷で着陸を試みられたのはオスプレイの丈夫さを物語る。」
  • 「事故はシステムに関係ないことをもう一度申し上げる。」

などと述べるに留まり、記者による「謝罪はないのか」という質問に対して漸く「誠に遺憾で、申し訳ない思いだ。」という謝罪の言葉が出たものの、オスプレイの即時飛行停止・配備撤回に関して一切触れられませんでした。

記者会見の最後には、

「配備から約4年、オスプレイは価値ある機体であり、防衛に役立つ機体だと理解してもらえている。」

という発言がありましたが、V-22_Osprey_refuelingオスプレイ配備に何ら変更をするつもりはなさそうに思えます。

コメントした「ニコルソン四軍調整官」とはどんな人?

在日米海兵隊司令官 – 在日米国海兵隊ホームページで確認すると、階級は「中将」で、第三海兵遠征軍司令官および在日米軍沖縄地域調整官となっています。

報道では「ニコルソン四軍調整官」と「四軍調整官」って書かれていて、パッとしない肩書きに見えますが、在日米軍海兵隊の司令官です。(参照:第三海兵遠征軍・米海兵隊太平洋基地 指揮系統

「四軍調整官」と言われると発言に重みを感じませんが、「第三海兵遠征軍司令官」と言われると今回の発言が深刻であることが分かります。

ニコルソン氏が司令官を務める「第三海兵遠征軍」とは

アジア・中東での有事に備える防衛の要であり、アメリカ国外に司令部を置く唯一の海兵遠征軍

と非常に重要なポジションにあります。そこで司令官を務めるニコルソン氏はエリートではありますが、前線での経験も豊富な軍人のようです。

そうなると、今回のような事故に際して、まずは部下(兵士)を労い、士気を高める発言をするのはやむを得ないことと思いますし、語気を強めてしまったのも理解できます。

また、ニコルソン氏は「中将」であり「第三海兵遠征軍司令官」でもありますが、士官の中では将官で上から3番めに当たります。

将官 元帥
大将
中将
少将(上級)
少将(下級)

出典:Wikipedia アメリカ海軍

日本の基地がアジア・中東の防衛上の要であり、「第三海兵遠征軍」がいかに重要なポジションであったとしても、言い方と変えると一司令官に過ぎず、しかも階級は「中将」な訳ですから、

オスプレイの即時飛行停止・配備撤回

を自身の権限で決定することなど到底できませんし、それに繋がる恐れがある発言も控えなければならない立場なのでしょう。

軍人として、司令官として、配備が決定されたオスプレイを不備なく運用し、基地のある日本の理解を求めていくというのが役割でしょうから、ニコルソン氏の発言で一喜一憂しても仕方がありません。

ただ、安慶田副知事もその当たりのことは理解した上で、沖縄県として、住民の代表として、全ての機会になし崩し的に配備が決まったオスプレイの即時飛行停止・配備撤回を求めていく姿勢と言うのは間違っていませんし、必要なことだと思います。

オスプレイの即時飛行停止・配備撤回、または安全性の向上

沖縄県民の気持ちを考えると

オスプレイの即時飛行停止・配備撤回

しかありませんが、それが実現するまでに時間がかかるのであれば、その間もずっと危険物が頭上を飛び続けることになってしまう訳ですから、飛行機自体の安全性の向上に最大限の努力をして欲しいです。米軍だけではなく、ベルとボーンングもしっかりしろ!!(国内での整備は富士重工が行っているようですので、安全性向上に繋がる提言は是非行って欲しいと願っています。)

 

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