朝霞市中学生女子拉致監禁事件について思うこと
2019/06/12
拉致監禁先の塩住ビルは千葉大学の隣
朝霞市中学生女子拉致監禁事件では、犯人が女子中学生を拉致監禁したアパートは千葉大学の隣にありました。
千葉県千葉市稲毛区轟町2丁目4-25 塩住ビル3階
拉致監禁されていた部屋は3階の向かって左。
このアパートで一番広い部屋です。
※上の写真はGoogleマップからですが、撮影日は2015年6月とされています。
しかも、近くには千葉大学、千葉経済大学、千葉市立轟町中学校、千葉市立轟町小学校、千葉市立第二養護学校など学校も多く、また千葉市営轟町団地があるなど、人が多い場所です。
そこに住む人が通うことも多いコンビニエンスストア「サンクス」の上で拉致監禁がされていたとは誰も思わなかったのではないでしょうか。
2015年6月に撮影されたとするGoogleマップの写真からは、拉致監禁されていた部屋に異様な感じはなく、ごく普通のアパートの部屋に見えます。
目張りがされたりしている感じもありません。
人が多いことが却って盲点だったのかも知れません
人が多い場所は他人への関心が薄れる場合があります。
特に大学周辺は奇行に走る若者(※自戒の念も込めてます)もいますので、少しくらいの違和感があっても見過ごしてしまうかも知れません。
それでも、中学生が2年間、緩いとは言え拉致監禁をされていても誰も気付かないということには問題を感じます。
宅配便を受け取ったり、ひとりでコンビニへ買い物に行く機会もあったと報じられていますが、もしそれが本当だとすると、「人目が多いからきっと大丈夫」という漠然とした安心感は意味のないものになってしまう可能性があります。
拉致監禁していた2年間の犯行の実態が明らかになるにつれて、「なぜ気付けなかったのだろう」と思えることが数多く出てくると思います。
ワイドショーの切り口は意味がありません
容疑者の異常性や心理を読み解いたところで、犯罪心理学などの学問には役立つところがあっても、次に同じような犯罪を起こす人間を
- 予知する
- 防止する
ことは残念ながらできません。
色々とワイドショーでは取り上げられていて、関心は引く内容なのだとは思いますが、今後の防犯という意味では価値がないと思います。
それと同じか、それ以上に意味が無いのは「なぜ逃げられなかったのだろう」という勘ぐり。
彼女は被害者です。
未成年者であれば、どんなことがあっても被害者です。
そこについては、色々と詮索することが意味がありません。
それよりも、
- なぜ周囲は気付けなかったのだろうか
- どうすれば、周囲が気付くことができたのだろうか
をもっと深く掘り下げて欲しいと思います。
それについて、多くの人が問題意識を持つことで、拉致を未然に防いだり、監禁が通報されたりすることに繋がると思います。
ぜひ「人目の多い場所での監禁が2年間も気付かれなかったのか」についてもっと議論して欲しいと思います。
被害者の「忘れられる権利」を尊重してあげてください
拉致された時点で、被害者の写真・氏名が公表されてしまっています。
家族によるチラシ配りも続けられました。
今回事件は2年ぶりに解決した訳ですが、この時点で被害者の名前を伏せたところで、ネット上には無数の
- 顔写真
- 氏名
などの個人情報が散らばってしまっています。
犯人にも「忘れられる権利」はあるのかも知れませんが、犯罪を犯した以上は声高に要求することはできにくいかも知れません。一般の人の「知り権利」との間で揺れ動くと思います。
でも、事件が解決した後の被害者の「忘れられる権利」は十分に尊重されなければなりません。
メディアや司法などがどれだけ配慮したところで、ネット上に散らばってしまった個人情報を何とかしなければ被害者は事件が解決した後も延々と苦しめられることになってしまいます。
多くの方は、下衆の勘繰りなどではなく、純粋に被害者が心配で、「どうしたのだろう?大丈夫だろうか?」と思う訳ですが、それを狙ってハゲタカマスコミと一部の無責任な個人が色々と書き続けてしまうことに繋がってしまう部分があります。
被害者の「忘れられる権利」を尊重するには、私達ひとりひとりが被害者のことを忘れてあげることが非常に大切だと思います。
それに合わせて、Googleなどが動いてくれることで、被害者の方も安心して生活を送ることができるようになると思います。
同様の事件を起こさせないために
まずは拉致されないことが重要です。
犯罪者は色々な手で連れて行こうとしますが、こちらも色々な手で騙されないように常に努力をする必要があります。
また、拉致をされたとしても、周囲の監視の眼で早い段階で異常に気付けるようになる必要があります。
異常に気付いたとしても、
- 面倒くさい
- もし間違っていたら
- 誰かがもうしているかも
などという思いが頭を過るかも知れません。
間違っていても問題ありません。
重複しても悪いことはありません。
面倒くさいのはなんともなりませんが、せめて警察に一本電話を入れてみましょう。
Nシステムのような顔認識可能な防犯カメラを日本中に設置することができればこの手の犯罪を減らすことができるかも知れませんが、そんな予算は日本にありませんし、何も悪いことをしていない人のプライバシー権が大いに侵害されてしまいます。
そうなると頼りになるのは、私達ひとりひとりの眼による監視です。
身の回りで何か異変に気付いたら、躊躇せずに警察へ相談、通報するようにしたいですね。
あとがき
今回事件を起こし逮捕された容疑者は、e防犯.comを経営する男性の息子であると報道されています。
実際、e防犯.comのサイト「防犯グッズ通販専門店 スピード出荷 【e防犯.com】」を見ると、
弊社近親者に関する報道についてのお詫び
2016/03/28、弊社近親者に逮捕状が出され身柄が確保されたという報道がございました。
お客様、お取引先様をはじめとする関係者の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。
事件の詳細につきましては、警察にて捜査中でございますが、弊社では、このような事態を招いた責任を重く受け止め、当面の営業を自粛させていただきますとともに、今後、事実関係を調査し、厳正に対処してまいりたいと考えております。
社会の防犯に努める立場にある組織として、関係者の皆様に対しましては、大変申し訳なく深くお詫びを申し上げる次第でございます。
関係各位の皆様には、引き続きご心配とご迷惑をおかけいたしますが、現況についてのお詫びとご報告を申し上げます。
e防犯.com 代表 寺内 聡
出典:e防犯.comのサイト「防犯グッズ通販専門店 スピード出荷 【e防犯.com】」
と書かれています。
僕も防犯関連のサイトは色々と見ていますので、e防犯.comも何度か見たことがあります。
このような仕事をされていて、こどもがこのような犯罪を犯してしまうというのが大きなショックだと思いますし、強く責任も感じていると思います。
近隣住民の監視の眼について書きましたが、親の監視の眼が機能していないのは怖いと思います。
上京して一人暮らしをしていたとは言え、最低限の監視の眼を機能させるべきだったと思います。
防犯グッズは確かに役立ちますが、結局は防犯マインドが一番重要です。
防犯マインドがない状態でグッズを導入しても効果は大きく減少するでしょう。
ただ、逆を言えば、防犯の専門家でもある社長のこどもがこのような事件を起こし、それに親が気付けないということでもあります。
「うちの子は大丈夫。」
などと思わずに、親として最低限の監視の眼を常に機能させる必要があると思います。
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