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三菱自動車工業株式会社の燃費試験における不正行為

      2019/06/12

三菱自動車はもうダメかも知れません。

三菱自動車が燃費試験において不正行為があったと謝罪

かつてパジェロに乗っていた僕としては嘘であって欲しいと願っていました。

でも、過去のクレーム隠しもあり、心配していましたが、不正行為は現実のものとなりました。

昨日、相川哲郎社長が会見を行い、

軽自動車4車種の燃費試験で実際よりも燃費を良く見せる不正行為を行っていた

ことを明らかにし、謝罪をしました。

三菱自動車は国土交通省へ報告を行い、燃費試験で不正があった4車種について、生産・販売を停止しました。

燃費試験で不正があった4車種を購入した顧客に対しては補償も検討しているそうです。

また、第三者委員会を設置し、原因究明を進めるとしています。

これを受けて、交通省は道路運送車両法に基づき三菱自動車に立ち入り検査を実施しましたが、非常に規模の大きな、そして社会に与える影響の大きな事件なので、これから長い長い調査が始まります。

三菱自動車の不正

当社製車両の燃費試験における不正行為について

当社製軽自動車の型式認証取得において、当社が国土交通省へ提出した燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作が行われていたことが判明しました。また、国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていたことも判明しました。お客様はじめ全てのステークホルダーの皆様に深くお詫び申し上げます。

該当車は、2013年6月から当社で生産している『eKワゴン』『eKスペース』と、日産自動車向けに供給している『デイズ』『デイズルークス』の計4車種です。これまでに当社は計15万7千台を販売し、日産自動車向けには計46万8千台を生産しています(2016年3月末現在)。

燃費試験については、該当車のいずれについても、開発を担当し認証届出責任を持つ当社が実施していました。次期車の開発にあたり、日産自動車が該当車の燃費を参考に測定したところ、届出値との乖離があり、当社が試験で設定した走行抵抗値について確認を求められました。これを受けた社内調査の結果、実際より燃費に有利な走行抵抗値を使用した不正を把握するに至ったものです。該当車にお乗り頂いているお客様に対しては、今後、誠実に対応させて頂きます。

※走行抵抗:車両走行時の転がり抵抗(主にタイヤ)と空気抵抗

また、該当車については、生産・販売を停止することといたしました。日産自動車でも販売を停止して頂いており、補償についても今後、協議いたします。

その他の国内市場向け車両についても、社内調査の過程で、国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていたことが判明しました。

また、状況の重大性を鑑み、海外市場向け車両についても調査を行います。

これら問題につき、さらに客観的で徹底的な調査を行うため、独立性のある外部有識者のみによる調査のための委員会を設置し、調査結果がまとまり次第、公表させていただく予定です。

出典:三菱自動車サイト プレスリリース「当社製車両の燃費試験における不正行為について」

4月21日に国土交通省自動車局が立入検査を行った愛知県岡崎市にある三菱自動車工業の「技術センター」

燃費試験において不正行為があった4車種

不正行為の対象となったのは、2016年3月末時点で約65万5千台。

  • eKワゴン
  • eKスペース

日産自動車にOEM供給した

  • デイズ
  • デイズルークス

不正のあった65万5千台のうち、過半数の46万8千台が日産自動車へのOEM供給用。

今回、燃費試験における不正があったのを発見したのは日産自動車の関係者でした。

日産の軽自動車をOEM生産していた三菱自動車と次期型車の開発を行う中で、日産側が燃費試験におかしな点があることに気付き、今回の事件に繋がりました。

日産自動車が気付いたのが2015年11月。

それから、三菱自動車内で内部調査を行い、三菱自動車の第1性能実験部の元部長が「指示した」と供述していることから、現時点で燃費性能試験における操作は意図的なものであると見られています。

詳しいことは設置される第三者委員会が調査を行うことになると思いますが、後発の三菱自動車の開発担当者が、燃費の

  • 社内目標
  • 日産自動車からの要求

を満たすために、三菱自動車が不正行為を働いてしまったのは間違いなさそうです。

経営陣のどのレベルまでが認知・容認・承認・指示をしていたかなど事件の全容解明については、今後の調査を待つことになります。

輸出用車両への拡大の可能性

日産自動車によれば、

状況の重大性を鑑み、海外市場向け車両についても調査を行います。

出典:三菱自動車サイト プレスリリース「当社製車両の燃費試験における不正行為について」

とのことですから、設置する第三者委員会の調査結果次第では更に重大な事態に陥る可能性もあります。

三菱自動車だけの問題ではありません

三菱自動車は過去にリコール隠しもあり、「不正体質」だと非難されています。

ですが、今回の事件は三菱自動車に限ったことではなく、どこの自動車会社でも起き得ることです。

実際、あのフォルクスワーゲンでも排出ガス規制で不正を起こしたことは記憶に新しいところです。

今回の三菱の事件ではOEM供給先の日産が関わっていて、その日産が不正を発見しましたし、フォルクスワーゲンの場合はアメリカの環境保護庁が関わっていました。

そのように外部が関わると不正が発覚するチャンスが生まれますが、燃費性能に関しては公表値が本当に正しいかについては外部からは分からないところです。

社内であっても、開発に関わる部門の責任者が不正をはたらいた場合に、上層部では不正なのかどうかを検証することは簡単ではなく、そのままにされてしまう可能性があります。

今回は三菱自動車でしたが、トヨタ、ホンダ、スバル、スズキ、ダイハツで不正が絶対に起きていない保証はありません。

今回は三菱自動車の不正の被害を受けた日産自動車でも、別の部門で燃費試験に関する不正が行われている可能性も否定はできません。

そして、これは自動車生産に限った問題ではなく、その他の工業製品や食品でも不正が行われている可能性はあります。

大企業だけではなく、中小企業でも起きうる可能性がある問題です。

「自浄作用が働いていない」と三菱自動車の幹部がコメントして、その通りでもあるのですが、自浄作用はそれほど簡単なことではありません。

業務内容に専門性が高い場合、その部門以外の人間には何が不正で、何が不正ではないのかを判断することは困難です。

色々資料を出させて理解しようと努めたところで、その資料を作っている人が不正を働いている場合は、資料を改ざんすればそれまでです。

今回の事件を受けて、今朝は多くの会社の朝礼で

「自浄作用を機能させろ」

と三菱自動車の事件を例に出して話がされたと思います。

ですが、一般的に考えられている以上に難しい問題だと思います。

今回の事件を受けて、全ての会社で不正があった場合のチェック機能が本当に有効かどうかを検証して、同じような事件を起こさないための「自浄作用の機能」のあり方を議論した方がいいと思います。

 - 技術, 職場, 自動車

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