軽井沢でスキーバス転落事故 40名が死傷
2019/06/12
スキーバスは3メートル転落し、41名が死傷
1月15日午前2時頃、長野県軽井沢町の国道18号で、大型のスキーバスがガードレールを突き破って3メートル下に転落しました。センターラインを越えて、反対車線側のガードレールを突き破って転落したと見られています。転落後、木に屋根をぶつけて停止しました。崖下に横たわるバスは、窓ガラスは飛散し、ぶつけた屋根は大きくひしゃげ、衝突の大きさを物語っています。
この事故で乗客・乗員41名が死傷し、午前8時の時点で14名が死亡、26名が重軽傷を負う大事故になっています。近隣の病院9ヶ所に搬送され、手当を受けています。(当初は27名が重軽傷と報道されていましたが、1名は怪我をされていなかったことが分かり、26名に訂正されました。)
事故が起きた時間、注意報・警報は出されておらず、晴れまた曇の天候で、気温はマイナス34度でしたが、積雪はありませんでした。また、湿度も高くはなかったため、霧のは発生による視界不良の可能性は低いと見られています。
長野県警は、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で
- シートベルト着用の有無
- 運行計画
などについて捜査を行っています。
利用者としてこの手の事故にどのように備えるべきでしょうか
国土交通省は同日、事故対策本部を設置し、旅行会社やバス運行会社への特別監査を実施する予定としています。旅行会社は、全てが適切に運営されていたと取材に応じていましたが、警察の捜査や国土交通省の監査で何らかの問題点は見えてくると思います。そして、法律などで防げる部分は対策がされると思います。
しかし、法律で縛っても、旅行会社やバス運行会社が100%の対応をしたとしても、事故は起きます。
今回事故が起きたのは、国道18号、碓氷バイパス入山峠付近の下りの緩い左カーブでした。手前にはヘアピンカーブが何箇所も連なり、難所とも言えるのですが、そこを越えた後の最後の緩いカーブで、本来であれば事故が起きる可能性が低い場所です。
ただ、事故のあった場所まで下りが続くため、ブレーキのベーパーロック現象などで減速が不能になった場合に備える緊急避難所が設置されています。
このことからすると、事故現場はそれなりに注意をしなければならない場所です。設置されたガードレールは制限速度内の普通自動車ならば突き破らずに済んだかも知れませんが、大型バスが直進すれば持ちこたえることが不可能です。
ヘリコプターからの映像を見ると下りの車線からまっすぐにガードレールに突っ込んだ可能性がある位置関係です。ブレーキがベーパーロックを起こして制動不能になってパニックを起こしたか、左カーブに気付いた時には手遅れだったなど操作を誤った可能性が高いのではないかと思います。(居眠りや発作の可能性もあります。)
仮に法律でどれほど規制したとしても、どれほどバス運行会社が完璧に管理を行ったとしても、
- 操作ミス
- 居眠り
- 突然の発作(既往症ではないもの)
- 動物の飛び出し
- 予想外の路面の凍結(一部のコーナーだけ凍っている状態は予見が出来ず、非常に危険です)
などを完全に防ぐことはできません。
この先、運転をアシストしてくれる機能が装備されても、運転手の居眠りを警告するシステムを導入しても、どうしても防げない事故は出てしまいます。
そんな中、私たちはどうやって事故から身を守ればいいのでしょうか。
今回の事故も今後の操作・検証で明らかになると思いますが、シートベルト装着の有無が生死を分けたのではないかと思います。2012年4月に関越自動車道で起きた死者7名、重軽傷者39名をだした高速バスツアーでの事故は、運転手の居眠りによって高速道路脇の防音壁に突き刺さってしまったため、シートベルトを着用していても亡くなった方はいたと思います。
しかし、一般的な事故では、シートベルト装着が生死を分けます。
今回の事故では、緩い左カーブを直進してガードレールを突き破ったバスは、運転手を下にして横転して、立木に屋根をぶつけて止まりました。
ガードレールを突き破った際に、シートに座った人は前に飛び出す力がかかり、その後、横転によってバスの右側面に投げ出され、立木にぶつかった衝撃でバスの天井に打ち付けられる形の力が加わったものと思われます。
それだけの衝撃が加わるとシートベルトをしていても、必ず命が助かる保障はありませんが、シートから投げ出され、右側面と天井に打ち付けられることに比べれば助かる可能性はあります。
もし、
- シートベルトなし
- 睡眠中
の無防備な状態で事故にあえば、衝突防御姿勢も取れないため、助かる可能性は非常に低くなってしまいます。
また、単にシートベルトを着用すればいいだけではなく、
- サブマリン現象(シートベルトの下からすり抜けて床などに打ち付けられてしまう))
- ジャックナイフ現象(シートベルトの上からすり抜けて天井にぶつかってしまう)
を防ぐために、
- シートを余り倒し過ぎない
- 足は床に付ける
- できれば前かがみになって、前のシートに頭を付ける(クッションなどを緩衝材に使えたら最高)
などに注意をしなければなりません。
旅行会社やバス運行会社選びは慎重に
価格や日程、利便性だけで選んでしまうことが多いと思いますが、今後は安全性も基準に入れる必要があります。ただ、この点は未整備であり、口コミなどを見て探すことになりますが、大きな事故を出した会社はたいてい淘汰されてしまうため、過去の情報は余り当てになりません。この辺りを国は整備していくことになるのではないかと思います。
ただ、安全に注意していても事故は起きてしまいます。
- 操作ミス
- 居眠り
- 突然の発作(既往症ではないもの)
- 動物の飛び出し
- 予想外の路面の凍結(一部のコーナーだけ凍っている状態は予見が出来ず、非常に危険です)
を完全に防ぐことが出来ないためです。
そうなると、
- 走行中はシートベルトを必ず装着する
- 走行中は極力眠らず、事故が起きた場合に衝突防御姿勢を取れるように備える
ことが重要です。
そうなると、夜に東京を出て、朝にはスキー場に付いているというスキーツアーには参加できなくなります。
時間を取るか、安全を取るか、これは選択の問題です。
安全のためには極力昼間に移動するのがいいでしょう。とは言え、忙しい仕事の合間をぬってスキーに行かれる方には昼間に移動する余裕はないのかも知れません。そんな方は、ちょっとハードですが、夜行バスですが、バスの中では寝ずに過ごすのが安全です。
今週末は日本海側ではかなりの雪が見込まれるそうです。暖冬にやきもきさせられtましたが、ようやくスキーシーズン幕開けです。今日の夜スキーバスでスキー場に行く予定の方も少なくないと思います。
是非シートベルトは常に締めたままにして、できればシートは倒さず、万が一の時に防御姿勢が取れるように備えていてください。
衝突防御姿勢は飛行機墜落時の安全確保の説明が参考になります。
是非参考にして頂いて、どうか安全なスキーの旅を!
あとがき1 食い違う旅行会社とバス運行会社
スキーツアーを企画・募集したのは、東京都渋谷区の旅行会社「キースツアー」、そしてバスを運行していたのは東京都羽村市の「イーエスピー」。
運転していたのは、
- 契約社員の男性(65)
- 社員の男性(57)
事故当時は契約社員の男性が運転していたと見られています。本来は上信越自動車道で佐久インターチェンジまで行き、そこから一般道に入り、スキー場を回る運行計画となっているところを、なぜ事故現場となった国道18号の碓氷バイパス入山峠を通過するルートを通ったのか、不明だそうです。
旅行会社「キースツアー」の社長(38)は、報道陣の取材に対して、
- 運転手の勤務態勢に不備はなく、万全を期していた
- 法令違反や無理な運行をしたことはなかった
と述べたとされていますが、一方バス運行会社の「イーエスピー」の営業部長は、
- 異なるルートだった理由は不明
- 運転手2人の健康上の問題は把握していない
と話すなど、話が食い違っています。
長野県警が15日中に家宅捜索する方針としていますが、旅行会社の社長のコメントとは異なり、何か問題が見付かるかも知れません。完璧な運用をしていても事故のリスクをゼロにすることは不可能ですから、せめて安全に関しては万全の体制で運行を行って頂きたいと思います。
あとがき2 かなりの速度でガードレールに衝突した可能性
病院で治療を受けた後に毎日新聞の取材に応じた大学生の乗客によりますと、
- 事故直前、バスは車線を外れ、相当なスピードを出していた
- 乗客からは「やばい」との声が上がった
- スピードを落とす気配がなかった
とのことでした。
また、ブレーキをかけたようには感じられなかったという証言もありました。
あとがき3 事故の2日前に国土交通省から行政処分を受けていた事実は発覚
旅行会社「キースツアー」の社長(38)は、報道陣の取材に対して、
- 運転手の勤務態勢に不備はなく、万全を期していた
- 法令違反や無理な運行をしたことはなかった
とコメントしていましたが、バス運行会社の「イーエスピー」の営業部長が、
- 異なるルートだった理由は不明
- 運転手2人の健康上の問題は把握していない
とコメントするなど、食い違いが起きていました。
その後、このバス運行会社の「イーエスピー」が、2015年2月に国土交通省が行った立入検査で、
- 労働安全衛生法で定められた健康診断を運転手に受けさせていなかった
- 運転手の健康状態や酒気帯びなどの確認をしていなかった
- 運転手を雇用したときに行う適性診断を受けさせていなかった
などの旅客自動車運送事業運輸規則違反があり、1月13日(事故の2日前)に国土交通省から道路運送法に基づく行政処分を受けていたことが発覚しました。この行政処分とは、車両一台を20日間使用禁止とするというものです。
この旅客自動車運送事業運輸規則違反と今回の事故との関連性は不明ですが、営業部長がルート変更の理由を知らず、さらに二人のドライバーの当日の健康状態も把握していないことから、運行会社の過失が事故に関連している可能性は高いのではないかと思います。
事故に関して「もし」は意味が無いのかも知れませんが、もしルート変更をしなければ今回の事故は起きていない可能性があります。高速料金の支払いの有無が報酬に反映するような報酬体系になっていたのではと疑ってしまいます。漏れがないように調査を行い、今後に活かして頂きたいと思います。
あとがき4 事故現場手前の左側のガードレールに接触痕
その後の調査で、事故現場手前の左側のガードレールに接触痕があることが判明しました。
バスは何らかの原因で道路左側のガードレールに接触し、急ブレーキを切ってバランスを崩し、反対車線に飛び出し、ガードレールを突き破ったものと見られています。衝突した場所の直前には1本のタイヤ痕しか残されていないため、左側のガードレールに衝突した後は片輪走行になり、崖に転落した可能性があるということです。
犠牲者は、車外に投げ出されたり、体が窓の外に出た状態であることから、かなりの速度が出ていたものと見られています。今後はなぜ速度超過に至ったかなどの原因追求が続くものと思われます。
現場を走ったことはありませんが、地図で見ると、激しく曲がりくねるヘアピンカーブを経て、緩いカーブが続く下り坂になっています。漸く難所を通り抜けたと気が抜けて、速度が出し過ぎていたところに、少しRのきつい左カーブでハンドル操作を誤って、左側に接触、急ハンドルを切った結果バランスを崩し、反対車線に飛び出たという感じでしょうか。少し先に緊急避難所があるところからしても速度が出てしまう場所のようですし、制限速度を守って走行をしていたら防げた事故かも知れないと思うと悔しいですし、運行計画を勝手に変更することは違法であるということを重く受け止めていてくれたらそもそも下道を走ることを無かった訳ですので、そのことも悔やまれます。
ただ、運行会社は運行計画の変更を知らされていないとコメントしていますが、非難されることを恐れて、運行計画変更の報告をもみ消しているとしたら非常に悪質です。その点については、警察と国土交通省の調査を待つしかありません。
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