弟が投げた銛(モリ)で兄が死亡
2019/06/12
川遊びで悲しい事故が起きました。
高見川で弟が投げた銛(もり)で兄が死亡する事故
中学3年の兄は亡くなり、中学2年の弟は傷害容疑で逮捕されました。
悲劇は、7月2日奈良県東吉野村の高見川で川遊びをしている時に起きました。
当時、亡くなった中学3年の男子生徒とその弟(中学2年)と母、そして兄弟の友人の中学3年の男子生徒2人の5人で、母親が運転する車に乗り、高見川へ遊びに来ていました。
事故が起きる直前、中学2年の弟がやすを使っていましたが、中学3年の友人が「もりを貸して」と言ったため、数メートル離れた友人にやすを投げたところ、その近くにしゃがんでいた兄の頭に刺さってしまいました。
やすが刺さった兄は、救急のヘリコプターで病院へ搬送されましたが、その後、亡くなりました。
この事故における問題点
禁漁期間に該当していたり、禁止漁法であった可能性
今回事故を起こした銛(もり)は、兄弟の手作りだったそうです。
- 柄は約2メートルで竹製
- 先端部分は、二股に分かれた鉄製で長さ約10センチ
当初はやす(主に水中で魚を突くのに使用する)かと思いましたが、柄が2メートルありますので、報道されている通りに銛(もり)と呼ぶのかも知れませんが、やはり銛(もり)は水中銃や捕鯨用の銛など、発射装置があり、少し大掛かりなものを指すのではないかとも思います。
いずれにしても、水中にいる魚を突くためのものであることは違いありません。
水産資源保護法や奈良県漁業調整規則によって、奈良県では魚を獲ることが禁止されている川があります。
禁止区域 | 禁止期間 |
吉野郡吉野町大字樫尾字大倉谷にある関西電力株式会社第二堰堤の上流端からそれぞれ吉野川上流400メートル、下流210メートルまでの間 | 周年 |
宇陀市室生にある室生寺正面の参橋(俗称太鼓橋)からそれぞれ宇陀川支川室生川上流100メートル、下流100メートルまでの間 | |
吉野郡東吉野村大字小字小吉野川支川高見川象の淵岩からそれぞれ同支川高見川上流80メートル、下流300メートル及び同支川高見川小支川四郷川上流80メートルまでの間 | |
天川支川洞川の吉野郡天川村大字洞川字大原野321番地の西端から同大字字湯床355番地の西端を見通した線から下流吉野郡天川村大字洞川字松本垣内620番地の西端から同大字字漆谷13番地の東端を見通した線までの間 | |
吉野郡大淀町大字下渕374番地にある下渕頭首工の上流端からそれぞれ吉野川上流77メートル、下流85メートルまでの間 |
出典:奈良県ホームページ「つりのマナー」
今回事故が起きた正確な場所が分かりませんが、高見川の一部では魚を獲ることが禁止されています。
また、一部漁法が禁止されています。
《漁法の禁止》
期間を決めて禁止されているもの
*水眼鏡又は水のぞき眼鏡を使用して、やり、やす、ひっかけ又はもりをもってする漁法(11月1日から翌年8月14日までの期間は禁止。だたし、十津川村の北山川では1月1日から5月25日までの期間は禁止。)
*火光その他照明を利用する漁法(5月26日から7月31日までの期間は禁止。)
出典:奈良県ホームページ「つりのマナー」
水眼鏡、または水のぞき眼鏡を使用した場合、やり、やす、ひっかけ、もりを使用した漁法は、
11月1日~翌年8月14日までの期間は禁止
されています。
つまり、8月15日~10月31日までしか解禁されていません。
ただ、「水眼鏡、または水のぞき眼鏡を使用しない場合」はこの限りではありませんので、問題はありませんが、各漁場を管理している漁業協同組合の遊漁規則に別途定めがある場合もありますので、必ずしもOKとは言い切れません。
これらのことを知った上でもり(やす)を使っていたのかが気になります。
僕がこどもの頃は夏は川でやすを使って魚を突いていましたが、途中から
- こどもは危ないからやすは禁止
- 近所の川(一級河川)でやすを使用することは禁止
と大人達から言われて以来、やすを使ったことはありません。
大昔は誰が魚を釣ろうが、突こうが関係なしだったかも知れませんが、今はそうではありません。
管轄の漁協は資源を保護する活動を行い、釣りなどは許可証を買ってから行う場所が多くなっています。
今回のように魚獲りを行う場合は、
- 場所が禁漁区ではないか
- 行う日が禁漁期間ではないか
- 行おうとしている方法(釣り・やすで突く・引掛けなど)は禁止されていないか
を確認してから行わなければなりません。
場合によっては、「密漁容疑」で逮捕される可能性もありましから、大人が引率する場合は勿論ですが、こどもだけで行く場合も必ず確認しておきましょう。
刃物などを手渡す場合は、柄の方を向けて渡すのが大原則
もり(やす)を手渡すのに、刃の部分を向けて投げるなんて論外です。
- ハサミ
- カッター
- 包丁
などを他人に手渡しする時に、柄の部分を相手に向けて手渡すのがマナーであり、また安全上必要なことでもあります。
ですが、これが出来ていない人が結構います。
逆に、刃物は当たり前として、
- ドライバー
- 箸
- ボールペン
などを手渡す時に、柄の方(尖っていない方)をこちらに向けて手渡されると「おぉーー」と感心してしまいます。
特に小学生や幼稚園児でこれが出来ると感動します。
今回惨事に見舞われた家庭では、恐らくそのことを教えていなかったのだろうと思います。または、教えても言うことは聞かなかったのかも知れません。
ハサミの柄、カッターの柄を向けて渡さなくても、殆どの場合に事故は起きません。
ですが、刃や尖った方を相手に向けて渡すことが当たり前になっている場合、今回のような事故が起きる可能性があります。
今回の事故を受けて、この当たり前のことをもう一度見直して、二度と同様の事故が起きないようになって欲しいと思います。
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