妊婦の渡航は避けてください ジカ熱でブラジルが国家緊急事態宣言
2019/06/12
ブラジルではジカ熱流行で小頭症の新生児が急増
ジカ熱は、ジカウイルスを持つ蚊に刺されて10日以内の潜伏期間後に発症します。発疹や風邪のような症状が約1週間続きます。同じように蚊を媒介して感染するデング熱と同様にワクチンや特効薬はありませんので、対処療法のみになります。
ジカ熱を引き起こすジカウイルスは、1947年にウガンダのジカの森から発見されました。その後、ミクロネシアのヤップ島、フランス領ポリネシア、ニューカレドニア、クック諸島、チリのイースター島で流行を起こしましたが、いずれも死者は出ていないと言われ、比較的軽症の感染症であると見られてきました。
2015年5月にブラジルでジカ熱の最初の国内感染者が報告されて以来、爆発的な感染の広がりを見せ、これまでに
44万~130万人の国内感染者
の国内感染者が出たと推測されています。
ブラジルでは12月12日までに2401人の小頭症の新生児が確認されていて、そのうち29人が死亡しました。この数字は2010~2014年の小頭症の新生児数の10倍以上に当たり、ジカ熱との関連性が高いと見られています。
ブラジル保険省の調査によると、小頭症の新生児を産んだ2人以上の母親の羊水からジカウイルスが見付かり、母親にはジカ熱とみられる症状も確認されました。まだ小頭症の新生児が急増した原因がジカウイルスであると特定はされていませんが、ブラジル政府は国家緊急事態宣言を発令し、現在も調査が続いています。
ジカ熱の感染はヒトスジシマカが媒介します
ブラジルでのジカ熱の流行は、ネッタイシマカが媒介しています。日本にはネッタイシマカはごく一部にしか生息していませんが、今後海外から持ち込まれる可能性がありますし、またデング熱と同じようにヒトスジシマカがジカ熱を媒介することが可能であるため、2014年に東京都の代々木でデング熱が流行したように、ジカ熱が国内で流行する可能性は十分にあります。
2016年にはブラジルでリオデジャネイロ五輪が開催されます。ブラジルへの渡航者が急増することで、ジカ熱が世界的な流行を起こす恐れがあるため、注意が必要です。2016年の夏から秋にかけては日本国内でもジカ熱の感染への対策が必要になります。
日本国内は屋外に蚊がほとんどいなくなる時期なので、今は問題ありませんが、妊娠中の女性はブラジルへの渡航を自粛した方が安全です。また、リオデジャネイロ五輪についても妊娠中の女性は観戦のために渡航することは極力避けましょう。
妊娠中の女性が海外に渡航される際は現地の状況を確認しましょう
厚生労働省検疫所から注意喚起情報が出ています。
ブラジルでの大流行以外にも、各地でジカ熱の流行が確認されています。海外旅行を予定されている方は、現地の情報に注意をしてください。
また、ジカ熱を引き起こすジカウイルスはギラン・バレー症候群の患者急増との関連性も疑われています。妊娠中の女性以外も、ジカ熱が発生している地域では、蚊に刺されないように十分に防御を行ってください。
2016年夏には各地で流行が散発的に発生する恐れがあります
2014年の代々木でのデング熱流行は代々木公園で行われたイベントが原因ではないかと考えられています。デング熱が発生している地域からの訪問者がデングウイルスを持ち込み、その人から血を吸った蚊が日本人の血を吸う際にデングウイルスを移したということです。
現在、静岡県や愛知県など多くの場所でブラジルから移り住まれた方が大勢居住しています。オリンピックに際して帰国して、ジカウイルスに感染し、国内でヒトスジシマカを介して感染拡大、そして流行を起こす恐れがあります。ブラジルから移り住まれた方が多く住まれている地域や職場では、蚊に刺されないようにする注意が特に必要かも知れません。(ブラジルから移り住まれた方に全く罪はなく、悪いのはジカウイルスと蚊です。)
正月休みに海外へ渡航される方は注意してください
忙しい仕事を忘れて、海外でお正月を過ごされる方も多いと思います。
ジカ熱が流行・発生している地域は厚生労働省検疫所に情報が挙げられていますが、それ以外の場所でも
- ジカ熱
- デング熱
- チクングニア熱
と言った蚊が媒介する感染症には十分注意してください。温かい場所でも、極力長袖シャツを着用して、露出した肌には虫よけを使用して、蚊に刺されるのを極力避けてくださいね。
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