福島県鏡石町でのカラス大量死事件について

福島県鏡石町の岩瀬農業高校周辺でカラス75羽が不審死

福島県鏡石町の福島県立岩瀬農業高校の周辺で、12月21日から22日にかけて、大量のカラスの死骸が見付かり、12月23日に福島県の担当者が現地調査に入りました。23日の現地調査でも新たに数羽の死骸が見付かっています。

周辺で見付かったカラスの死骸は計75羽+α。そのうち9羽について鳥インフルエンザの簡易検査を行ったところ、全て陰性でした。

福島県は環境省のマニュアルに基づいて、

• 国立環境研究所に検体を送って遺伝子検査を実施
• 県も獣医師などと相談して原因を調査

することにしています。

鳥インフルエンザでないことを祈ります。

カラスは腐肉食をしても大丈夫なのはなぜでしょうか？

スカベンジャーと呼ばれる腐肉食をする動物は、強烈な胃酸を出して、細菌を胃で殺したり（ハゲワシ）、食べる前に殺菌性のある唾液を食べ物に掛けたり（甲虫の一種）、細菌が出す毒素に対する抗体を出す能力を持っていたりして、それで自分の身を守っています。また、哺乳類のスカベンジャーは鋭い嗅覚で、本当に腐った腐肉は避けたり、病気で死んだ動物の死骸は食べないなどといった工夫もあるようです。

で、カラスはどうなのでしょうか。

環境省が制作した資料に説明が書かれています。

カラスは、腐肉を食べてもお腹をこわさないのですか

カラスが生ごみを食べていると言っても、それほど腐敗したものを食べているわけではありません。動物の死体も腐乱していればカラスも食べません。とはいっても、細菌が多く付着している食べ物を食べていることは違いありません。カラスやカモメのように死肉をよく食べる生きものは、いつも細菌の多いものを食べていることにより、強い免疫力があり、多少雑菌がついていてもお腹をこわさないようになっていると考えられます。

出典：Ⅲ資料編（環境省）

生まれた時から少しずつ細菌の多い食べ物と食べることで免疫を持っていることと、秀でた頭脳で食べられるものと食べられないものを判別して食中毒を防いでいるようです。でも、環境省の資料の説明はぼんやりしているので、もしかすると深く研究がされていなくて、よく分かっていないのかも知れません。

カラスでもダメな細菌やウイルスや化学物質はあるはずです

鳥インフルエンザでもカラスは死ぬでしょう。でも、75羽＋αが同時に死ぬような状態はかなりひどい状態で、一大事です。なので、今回は鳥インフルエンザではないはずです（余り根拠の無い希望的観測）。

比較的胃が丈夫なカラスが大量死する原因となり得るとしたら、

• 無味無臭の農薬が入った食べ物を群れて食べてしまった
• 耐性の無い細菌などが繁殖した食べ物を群れて食べてしまった
• カラスに憎むものによる毒物による大量虐殺

などが考えられます。

検体を調べれば分かるはずだと思いますので、早く結果を知って安心したいものです。

野鳥の死体には不用意に近づかないでください

同じ場所（見渡せる範囲程度・3日以内）で、たくさんの鳥が死んでいる場合は、鳥インフルエンザを含む鳥の感染症や毒物による事件等が疑われますので、市役所・県農林振興事務所・警察署等に通報しましょう。

1羽だけ死んでいる場合はそれほど問題ない場合が多いのですが、それでも鳥の死骸を不用意に触れることは避けましょう。

こども達が触ってしまうことも考えられますので、野鳥の死骸を見つけたら、

1. 近づかない・触らない
2. 親に報告

するように言い聞かせておくと安心です。