インドのHoli祭が起源のカラーパウダーイベントは注意が必要です

台湾で発生した大規模の粉じん爆発は、イベントで使用したカラーパウダーが原因でした。インドにはカラーパウダーを使用したHoli祭という歴史のあるお祭がありますが、それを起源としたカラーパウダーイベントは世界中に広まっています。そのカラーパウダーイベントで粉じん爆発が発生するリスクについては、過去記事「着色コーンスターチなどによる粉じん爆発問題」で書きましたが、実は他にもリスクが潜んでいます。

インドのHoli祭で使用する粉

本場のHoli祭では、天然の色素を使っています（した）。Holi祭の頃は風邪が流行るため、風邪に効くとされる薬草なども原料にされます。

しかし、本場のHoli祭でも変化が起きています。インドの人口爆発でHoli祭で使用する天然物のカラーパウダーが入手が出来ない場合も出て、重金属を含む人工染料粉が使用されるようにもなっています。発色が良く、価格も安価なこともあって、一気に広がりました。また、光沢を出すために雲母の粉を混ぜたカラーパウダーも使用されています。

重金属を含む人工染料粉も雲母を含む粉も共に人体に悪影響があり、インドでも問題になっています。また、人体だけではなく、環境への影響も心配されています。

インド以外のカラーパウダーイベントで使用される粉の原料

主催者が明確に原料を公開していない場合は、インドと同じ物（重金属を含む人工染料粉や雲母を含む粉）を使用している可能性もゼロではありません。

主催者がしっかりしたイベントで、カラーパウダーの原料が公開されている場合、

• コーンスターチ
• 小麦粉
• 米粉

などの穀物などの粉を着色したものが使用されています。（実は本場インドのHoli祭でも、人工染料粉ではなく、これらの人体にも環境にも優しいカラーパウダーを使用するようにNGOなどから提言がされています）

穀物やでんぷん粉を使用したカラーパウダーなら安全？

粉じん爆発の可能性は常に付きまといますが、重金属を含む人工染料粉や雲母を含んだ粉と比較すれば安全なように思えます。ですが、「天然物＝安全」とばかりは言えません。

粉じん爆発以外で一番心配されるのは、アレルギーです。

Holi祭の流れを汲んだカラーパウダーイベントは様々な形で行われていますが、スポーツやロックコンサートなど、比較的激しいものが多いのが現状です。汗を大量にかいた状態で粉を浴びると皮膚に付着します。その時に皮膚にわずかな傷（擦り傷・カミソリ負け・おできなど）があるとそこから汗に溶けた粉の成分が浸入します。それによって経皮感作を起こし、その後はその原料を含む食品を食べられなくなる恐れがあります。小麦粉なら小麦アレルギー、コーンスターチならコーンアレルギー（数は少ないですが、リスクフリーではありません）などの原因になり得ます。

また、肌に付着するだけではなく、吸い込むことで気管や肺の深部にまで入り込みます。これがアレルギーの原因となる恐れもありますし、他の炎症の原因になる恐れもあります。

アレルギー発作を起こす場合もあります

既に小麦アレルギーやコーンアレルギーがある方が粉を吸い込むとアナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。自分がアレルギーを持っている方は事前に主催者に確認を行う必要があります。

自分がアレルギーを持っていることを認識していない場合はかなり危険です。アレルギーを持っていないと思っている方も、イベントに参加される前に主催者に原料を確認し、皮膚科でパッチテストを行っておくと安心です。

カラーパウダーイベントの安全基準づくりはこれからです

今まではカラーパウダーイベントの認知度が低く、安全管理の対象とされていなかった部分があります。ですが、今回の事故を受けて、国内でもそのような動きが出てくるはずです。「THE COLOUR RUN」や「HOLI ONE」などのイベントに参加される方は、イベント主催者のウェブサイトなどで安全管理体制などについて事前に確認することをお勧めします。

楽しいイベントだからこそ、事前にしっかりと安全の確認をして、当日は思い切り楽しめるようにしましょう。