菌1個で食中毒は発症するのでしょうか?
2019/06/13
細菌で引き起こされる食中毒って菌が何個体に入ると発症するのでしょうか。一個でも可能なのでしょうか。
恐らく一個では発症しないと思いますが、全くないとは言い切れません。
食中毒の発症はケースバイケース
食中毒が発症するかどうかは、様々な要素が絡んでいます。
- 年齢
- 菌の種類
- 体調
- 腸内環境
- 一緒に食べた食品
などなどです。なので、同じものを食べても食中毒になる人とならない人が出てしまいます。
年齢による違い
こどもか大人かによって大きく違いますが、非常に重要な注意点があります。
腸内フローラが十分ではない乳児の場合は、大人には全く問題のないレベルの菌数でも食中毒や感染症を起こします。
こどもは大人よりも弱いのですが、乳児、特に生後1年未満の乳児には特別な注意が必要です。1987年の厚生省通知で「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えてはならない」とされているのはそのためです。(乳児ボツリヌス症を起こすボツリヌス菌の芽胞は、120℃4分間という加熱でなければ死滅せず、一般的な加熱調理では残ってしまいますので、1歳を過ぎるまでハチミツは厳禁です)
腸内フローラには、入ってきた食中毒を起こす菌が増殖をするのを防ぐ役割もありますので、これが不十分な1歳未満の乳児には特別な注意が必要になる訳ですが、1歳を過ぎても大人と同じレベルにはなりませんので、継続的に注意は必要です。
また、高齢になれば腸内フローラの機能も弱りますので、高齢者にも注意が必要です。
1歳未満の乳児を別にすると、その他の年齢層は同じ食事を摂ることになりますので、一番食中毒になりにくいレベルに合わさず、一番弱いレベル、こどもと高齢者に合わせる必要があります。
菌の種類による違い
食中毒を起こす細菌は色々ありますが、感染を起こすために必要な菌数はマチマチです。一般的には以下のように言われていますが、免疫が不十分な乳児や高齢者は更に少ない菌数でも感染する可能性がありますので、十分注意しましょう。
ノロウイルス:10~100個程度
O157:100個程度
カンピロバクター:数百個程度
サルモネラ菌:10,000~100,000個程度
黄色ブドウ球菌:100,000~1,000,000個/g程度(※菌数0でも、エンテロトキシンがあると危険)
腸炎ビブリオ:1,000,000個以上(好条件下では10分に1回分裂するので軽視は禁物)
コレラ菌:10,000,000,000個(100億個)程度
結局菌1個で感染する菌はあるの?
ノロウイルス、O-157、カンピロバクターは比較的少ない菌数で発症しますので、乳児や高齢者の場合、菌1個でも感染する恐れがあります。身近に感染者が出た場合は、手洗いなど除菌作業に念を入れないと危険です。
腸炎ビブリオは、過去記事「つけもの食べて腸炎ビブリオ食中毒発症のなぜ?」でも書いたのですが、好条件下での増殖速度が非常に早く、10分に1回分裂を起こします。もしきゅうりの浅漬けの容器に菌が混入した場合、
10分 2個
20分 4個
1時間 64個
3時間 262,144個
4時間 16,777,216個
5時間 1,073,741,824個
と5時間後には食中毒を起こすのに十分な菌数に到達します。刺身(腸炎ビブリオは海水中にいます)と一緒に食べたきゅうりの浅漬けを翌日に持ち越すと危ないかも知れません。
ただ、数百万個の菌が必要だとしても、感染者の吐しゃ物や便はほんのわずかでも数百万の菌がありますので、決して過信は禁物です。今回の諸々は机上の数字遊びだと思ってもらって、どんな菌でも十分に注意して、食中毒フリーの食生活を送りましょう。
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