不審者から前犯罪者へ
2019/06/13
不審者って誰ですか?
おとなは「不審者に気をつけなさい」とこどもに言いますが、こどもに「不審者」ってどんなひとって聞かれたらをうまく説明できますか?
僕には無理でした。漠然とし過ぎて。思わず「不審な感じのひと」って。まったく説明になってません。
「不審者」で検索をかけると、非常に多くのサイトがヒットします。中でも目立つのが、警察や自治体による「不審者情報」を掲載したサイト。大勢のひとが不安に感じていることが分かります。多くのひとが不安に感じ、なんとかしたいと思っているのに、「不審者」という言葉がすごく抽象的で、何に注意をすればよいのか、はっきりしません。「不審な者」なのは分かりますが、「不審」の幅が広すぎて、対象が分かりません。おとなでもよく分からないのに、こども達に理解するのは難しいかも知れませんね。
「不審者」ではなく、「前犯罪者」と呼びませんか?
そもそも「不審者=犯罪者・犯罪予備軍」ではありません。不審に見えるひとの中には犯罪を犯すひともいるでしょうが、そうでないひとも勿論います。善良に見えるひとの中から犯罪者が出るのと同じです。何に注意をすれば良いのか分からないのでとりあえず「不審者に注意をするように」ということだと思いますが、これの弊害もあります。不審に見えるというだけで差別されたり、不審に見えないひとに対する警戒が薄れてしまうことです。
なので、僕は「不審者」ではなく、「前犯罪者」という言葉にしてはどうかと思っています。犯罪者になる前の状態のひと、それを「前犯罪者」と呼びます。「そんな犯罪を犯す前の状態のひとが分かるはずがない」って思いませんか?そうなんです。分かるはずはないんです。それは不審者と同じです。僕たち素人から見た「不審者」が犯罪を犯すのが分かってしまう程なら、プロの警察なら未然に犯罪を防止できてしまうことになります。でも、残念ながらそうではありません。
前犯罪者って誰?
将来犯罪を犯すひとです。包丁を振り回しながら歩いている見た目から明らかなケースから、下校途中の小学生に道を尋ねるという危険度の判断が付きにくいケースまで様々です。でも、事前に分かるのはごくわずかで、残念ながらほとんどの場合は誰が「前犯罪者」か分かりません。なので、「不審者」のように「ひと」に注目するのではなく、「犯罪の内容」に注目する方がいいんじゃないかって思うんです。
注意するべき犯罪の内容
「不審者」の時のようにひとに注目するのではなく、気を付けるべき犯罪に注目することで、何を不審に感じるかという個人差を排除することができます。
例えば小学生の場合は、通学や近所で遊んでいる時に巻き込まれる恐れがある犯罪には、以下のようなものがあります。
- 暴行
- 連れ去り
- いたずら
- 強盗
では、どのように対策すればいいの?
こども達へそれぞれについて説明して、何を注意すべきか教えることで、危険を回避できる可能性が上がると思います。こどもなので完ぺきにはならないと思いますが、今までのように「不審者に気を付けてください」という指示よりは効果があがるはずです。なぜなら、おとなとこどもの「不審者」感がずれている可能性がありますし、「不審者」ではない顔見知りや不審に思えない言動のひとによる犯罪を防ぐことに効力がありません。
様々な犯罪が振り込め詐欺のように巧妙化していますので、「知らないおじさんに付いていかないように」では意味がありません。おばさん、お兄さん、お姉さんかも知れませんし、知っている人かも知れません。ですから、巻き込まれる恐れがある犯罪の手口を説明したうえで、具体的な指示を出しておくとこども達も理解し易いと思います。
例)
- お父さんとお母さん(おじいさんとおばあさん)以外のひとに付いていきません。
- お友達のお父さんとお母さんでも付いていきません。
- いつも挨拶する近所の人でも付いていきません。
- 「お父さん(お母さん)が事故で入院したから病院へ行こう」と言われても、付いていきません。もしお父さんが入院したらお母さんが連絡するし、お母さんが入院したら、お父さんが連絡します。もし二人が一緒に入院したら、おじいさんかおばあさんが連絡します。お父さんたちは、家族以外の誰かに連絡を頼んだりしません。
- 学校以外の場所では、学校の先生に言われても、付いていきません。
- ひとりで留守番をするときは、インターホンや電話に応えません。鍵も開けません。警察官、消防士、郵便局員などと言われても、応えません。
犯罪者は対策の裏をかいてきますので、ニュースで新たな手口を見聞きした時は、修正や追加を行うと万全です。
例外
事件に巻き込まれないように、こども達へ注意すべき項目を説明し、守ってもらうことは非常に重要ですが、例外もあります。この例外についても、こども達に説明するとより安心です。
- 巨大地震などの緊急時には、落ち着いて、誘導するひとの指示に従ってください。
僕のこどもには上のように説明しています。まだ加筆の余地があると思いますので、気付いた時に加えたいと思います。
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