平塚市の認可外保育所で生後4ヶ月の男児死亡
2019/06/12
平塚市の認可外保育所「ちびっこBOY」で乳児死亡
神奈川県平塚市宮の前にある認可外保育所「ちびっこBOY」で生後4ヶ月の男児が死亡しました。
12月6日午前4時半頃、「男の子が息をしていない」と119番に通報。男児は病院に搬送されましたが、その後死亡が確認されました。警察は、事故と事件の両方の線で捜査を進めています。
神奈川県は「ちびっこBOY」に対して緊急の立入検査を実施し、当時施設には職員が一人しかいなかったことを確認しています。
警察の検死で、目立った外傷はないものの、男児は脳に損傷を負ったことが原因で死亡した疑いがあるということで、今後は事件の線での捜査が続くことになりそうです。
施設の実態
この保育所は、JR平塚駅近くの雑居ビル内にあり、中は複数の部屋に分かれていたそうです。施設は1998年に開業し、受入人数は20人、一時保育を24時間対応行っています。対象は生後3ヶ月からでした。
現在ウェブサイトはアクセスができない状態になっています。
認可外保育所(神奈川県では”私設保育所”と呼称)「ちびっこBOY」は過去に神奈川県の行政指導を受けていましたが、改善がなされず、神奈川県も問題視していたと報道されています。
公益社団法人かながわ福祉サービス振興会による「子育て支援情報サービスかながわ」によると
託児所 ちびっこBOY 立入検査:2014年03月07日
1-②:〔前回から改善されていない〕
乳幼児の在籍時間帯に保育従事者が1人勤務の時間帯がある。
1-③ア:
月極契約乳幼児数に対する保育従事者数について、有資格者の数が保育従事者の必要数の3分の1以上いない。
3-③:
30人以上の施設につき、具体的計画(消防計画)を作成、届出をしていない。
3-④:
30人以上の施設につき、防火管理者の選任、届出をしていない。
6-⑦:〔前回から改善されていない〕
献立表が作成されていない。
7-④:〔前回から改善されていない〕
1年に2回の健康診断が全く実施されていない。(おおむね6月毎に実施)
7-⑥:〔前回から改善されていない〕
職員の健康診断を採用時及び1年に1回実施していない。
7-⑦:〔前回から改善されていない〕
調理(調乳)に携わる職員の、検便が全く実施されていない。
8-②:〔前回から改善されていない〕
サービス内容について利用者に書面により交付されていない。
8-③:
サ―ビスを利用するための契約の内容及びその履行に関する事項について、適切に説明が行われていない。
9-②:〔前回から改善されていない〕
労働基準法等の他法令に基づき、各事業場ごとに備え付けが義務付けられている帳簿等の整備状況が不十分である。
・労働者名簿(労働基準法第107条)
・賃金台帳(労働基準法第108条)
・雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類(労働基準法第109条)抜粋:公益社団法人かながわ福祉サービス振興会による「子育て支援情報サービスかながわ」より
これを見る限りでは、複数回の行政指導が行われたにも関わらず、改善がされていません。
また、今回の報道で指摘されている「乳幼児の在籍時間帯に保育従事者が1人勤務の時間帯がある」だけではなく、防火や衛生面においても問題があります。僕だったら、ここにはこどもを預けません。
このウェブページ(公益社団法人かながわ福祉サービス振興会による「子育て支援情報サービスかながわ」)を見ていたら、亡くなった男児の保護者もここには預けなかったかも知れません。
保護者は常に入手可能な情報を探して、利用を考えている保育所が適切なところか否かを判断する必要があります。
神奈川県における私設保育所(認可外保育所)で行政指導を受けたところを検索するには、以下のような検索ワードで検索すると探せます。
子育て支援情報サービスかながわ 私設保育施設検索 改善(検索 by Google)
できれば神奈川県がこれらの保育所を改善されるまで営業停止にするか、最低でも改善がされていない旨を公示するなどしてくれたら今回の事故・事件は発生しなかったかも知れないと思うとやるせない気持ちになります。
今回の件を踏まえて、神奈川県が何らかの対策を講じてくれることを祈ります。
発生の経緯
- 12月5日夜:男児が預けられる
- 12月6日午前4時半頃:「男の子が息をしていない」とスタッフから119番通報
- 12月7日:男児の死亡が確認
施設では当時5名のこどもを預かっており、それを1名のスタッフで対応していました。
亡くなった男児は、複数ある部屋の一つで、寝かされていました。施設側は
「当時、男の子はあおむけの状態で、定期的に様子を確認していた。」
と説明しているということです。
可能性
捜査関係者への取材で、男の子は脳に激しい損傷を負っていて、この損傷が死亡した原因になった可能性が高いと報道されています。警察は12月8日の夜、保育所「ちびっこBOY」の家宅捜索を行い、男児が寝かされていたベビーベッドを押収し、捜査を続けています。
捜査関係者への取材で、脳に激しい損傷を負っていると言われていますが、現時点では正式な発表がありませんので、ほとんど何も分かっていないも同然です。
ただ、どんなケースが考えられるかを挙げてみると、
- 保育所に預けられる前に何らかの原因で脳に損傷を負っていた(事故・虐待)
- 保育所に預けられた後に何らかの原因で脳に損傷を負ってしまった(事故・虐待)
- 脳には損傷はなく、別の要因で亡くなってしまった(乳幼児突然死症候群:SIDSなど)
保育所側が「当時、男の子はあおむけの状態で、定期的に様子を確認していた。」とコメントしていますが、
- 本当にその通りにしていた
- うつ伏せで寝かせて、定期的な様子の確認を怠っていた
可能性があります。
今後の捜査でこの件が解明されることを待ちます。
保護者にできること
色々な理由で保育施設(認可も認可外も)を利用しなければならないケースもあると思います。
このような悲しい事故が頻繁に起きている訳ではありませんが、万が一にでも自分のこどもが巻き込まれないために、保護者は何ができるのでしょうか。
明らかに管理がおかしい施設を避けることはできますが、事件も事故も予知することは難しいです。
厚生労働省が「よい保育施設の選び方 十か条」で保育施設の選び方を説明しています。これを参考にして、そして保護者の勘もMAXに敏感にして保育所を選ぶしかありません。何か少しでも引っかかるところがあったら、他を探しましょう。気になる点があるのに、安いから、駅近で便利だからと自分を納得させてしまうと後悔することになるかも知れません。大事なこどもの命を預かってもらう施設です。保育施設選びは、慎重に慎重を重ねて行ってくださいね。
あとがき1
認可外保育所「ちびっこBOY」に対して、神奈川県は以前より立入検査を行ってきました。そして、認可外の保育所は常時2人以上の職員を配置すように行政指導をしてきましたが、改善されることはありませんでした。報道では「児童福祉法で定められている保育者の複数配置がされていない」などとして、2008年から神奈川県より行政指導や勧告を少なくとも6回受けていたことが判明したそうです。事故・事件が起きた夜も5人のこどもを30代の男性保育士1人でみていました。
県による行政指導の内容や児童福祉法が定めた内容が常に「絶対」正しいと言い切ることができませんが、何らかの必要性があるから設けられた基準ですし、県内で認可外保育所を経営する場合は、それを順守する必要があります。県の行政指導を無視してきた「ちびっこBOY」で起きた事故・事件は起きるべくして起きたものと言わざるを得ません。
公益社団法人かながわ福祉サービス振興会による「子育て支援情報サービスかながわ」によりますと、直近の行政指導は2014年3月7日と見られますが、少し期間が開き過ぎている感が否めません。
今後、行政指導を無視して、改善を行わない保育所に関しては、その情報(行政指導に従わず、改善点が残る)を公開するべきではないでしょうか。利用者側はその情報がなければ正しい判断を行うことは難しいです。行政が業務停止命令を出す前の段階でも、何らかの事故防止策が必要なのではないかと思います。
あとがき2
今日の報道では、乳児が亡くなった原因となった激しい脳の損傷について、保護者も、当日一人で保育を担当していた男性保育士も「心当たりがない」としているそうです。警察は、どの時点で脳に損傷を受けたのかを割り出すために、慎重に捜査を続けています。
亡くなった乳児は、頭蓋骨を骨折し、脳への損傷も激しく、脳内出血を起こしており、それが直接の死因になったと見られています。しかし、保育所内の防犯カメラを警察が確認したところ、乳児がベッドから落ちたり、柵で頭を打つなどの様子が写っておらず、死因となった頭部への傷害をどこで負ったのかを解析することが今後の焦点になります。
仮に乳児が頭部に損傷を受けたのが保育所外であったとしても、もし複数の保育士がいたら異変に早めに気付き、一命を取り留めていた可能性もありますので、それが悔やまれてなりません。
この保育所は1998年11月01日に開設されて以来、度重なる行政指導や勧告を受けてきました(少なくとも6回と報道)が、大きな事故には繋がりませんでした。大きな事故を起こさなかったからこそ、改善の必要性を強く感じず、改善をしないで来てしまったのかも知れませんが、結局複数の保育士を配備することは、今回のような異常事態に備えるためであって、何も問題がなければ一人でも担当することは不可能ではありません。
この「ちびっこBOY」と同じように夜間に一人の保育士に複数のこどもの担当をさせている保育所は他にもあると思います。平常時は問題なくても、何か起こった場合には一人では対応ができない、または対応が遅れる場合があります。それが大切なこどもの命に関わる場合もあります。一人では危険で、法律で決まった人数で絶対に安全であるとは言い切れませんが、最低でも法律に従うようにしてください。
今回の事故・事件は、乳児の頭皮の内出血痕や頭蓋骨の割れ方からどのようなものに当って骨折したかを科学捜査研究所が調べることになるのでしょうけど、かなり難しいケースになるかも知れません。ですが、何とかして解明して、今後の対策に繋がるようにして頂きたいです。
あとがき3
その後の捜査で、亡くなった男児が頭に強い衝撃を受けて頭蓋骨骨折と脳に損傷を負った以外に、首の骨も折れていたことが分かりました。男児の両親も、そして保育所で事件当時担当していた保育士も心当たりがないとしていて、警察は慎重に捜査を続けています。
当初は脳の損傷が死因と見られていましたが、今後死因が首の骨の骨折による頚椎損傷に変わるかも知れません。頭蓋骨の骨折は事故でも起こり得る(転倒や落下など)と思いますが、首の骨と頭蓋骨が共に骨折していたとなると事故ではない可能性が高くなってきます。この男児の命は戻ってきませんが、二度と同じことが起きないように、徹底した原因究明がされることを祈ります。
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