ヤモリの冤罪事件とアオバアリガタハネカクシ

トイレに行った奥さんが「こんなのがいたんだけど」とトイレットペーパーに包んで虫を持ってきました。

わが家で僕は虫担当なので、こういう時に確認を任されます。ちょっと前は外出先で見付けた変な虫について聞かれましたが、「カミキリムシみたいな模様で、でもそれ程大きくなくて、ちょっと赤い部分もある変な虫」という難しい情報でしたが、何とか探し当てました。その時はヨコヅナサシガメ。で、その前にティッシュで包んで見せられた虫はシラミでした。奥さんは大の虫嫌いの割に引きが強いと言うか、持ち込む虫は結構珍しいやつが多いんです。

今回はどんな虫だろうと期待して確認すると、やっぱりなかなかのやつでした。

アオバアリガタハネカクシは小さなナパーム弾

こどもと奥さんに気を付けるように話そうと思っていた矢先に見付けてくれました。最初はアリだと思ったようですが、違和感を感じて紙に包んで持ってきたようですが、大正解でした。間違って指で摘まんで汁が出たらたいへんなことになってました。

アオバアリガタハネカクシは「青羽」「蟻型」のハネカクシです。ハネカクシは小さなハサミのないハサミムシのような外見で、羽がないように見えますが背中に小さく畳まれて格納されているのでハネカクシの名が付いています。アオバアリガタハネカクシは体調7mmでちょっと大きめの赤いアリのようにも見えます。

この虫にはペデリンという毒があって、払いのけたり、摘まんだりした時にその体液が皮膚の薄い部分に付着すると、数時間後に線状皮膚炎という炎症を起こします。エグい線状の水ぶくれができて、非常に強い痛みもともなうため、「やけど虫」とも呼ばれています。

体液が付いてから炎症が出るまで数時間（10時間とも言われています）かかるため、昔はその関連性が認識されずに、アオバアリガタハネカクシによる線状皮膚炎は「ヤモリのしょんべん」によるものだと考えられていたそうです。ヤモリ、とんだ冤罪被害者です。

発見した時の対処法

決して素手で触らないでください。

• 服にとまった場合は、虫から離れた場所を摘まんではじくなど、刺激をしないように体から離してください。
• 皮膚に直接とまってしまった場合は、落ち着いて体から離しましょう。腕なら振って飛ばしましょう。あとは吹き飛ばすのも効果的です。ただ、羽があるので飛んだ後で再び体にとまっていないことを確認してください。
• 皮膚に汁がついてしまった場合は、即座に洗い流してください。汁がついていないと思われる場合でも、念のために洗い流しておくと安心です。
• 万が一汁が目に入った場合は至急目を流水で洗い流して眼科医に相談してください。最悪失明する場合があると言われています。
• 積極的に攻撃をする虫ではありませんので、とにかく落ち着いて対応しましょう。

遭遇しやすい場所

昼間は草むらなどにいますので、草むしりなどの際には注意してください。

夜間は灯火に集まって来ますので、野球のナイター観戦やナイターテニスやゴルフなどでも飛んできた虫に遭遇する可能性があります。

夏の夜、網戸にしていると網の目から入ってきます。（体長7mmほどですが、体が細いため、網戸の目からも入ってきます。）室内でも注意が必要です。

どんな場合でも驚いて払いのけるようなことをせずに体から離せば問題ありません。とにかくおちついて対応しましょう。