再び170人分の貴重品が盗難 ホテルサニー志賀
2020/01/24
桐光学園高等学校の女子生徒170人分の貴重品が盗難
1月6日から3泊4日の日程でスキー合宿に来ていた神奈川県川崎市の桐光学園高等学校の2年生の女子生徒の貴重品が盗難被害にあいました。
桐光学園高等学校 スキー合宿
被害にあったホテルは、ホテルサニー志賀、2015年8月に早稲田アカデミーの夏合宿に参加していた中学3年生約340人分の現金とスマホ約100台が盗難にあったホテルです。一年も経たずに、再び同じような盗難被害を出してしまいました。
早稲田アカデミーの盗難被害を受けての管理体制
2015年8月に発生した早稲田アカデミーの夏合宿参加者340人分の現金盗難と約100台のスマホの盗難事件を受けて、ホテルでは、
- 貴重品を保管する場所をロビー奥から施錠できる事務所に変更
- 人感センサー付きの防犯カメラ2台設置
という対策をしていました。
早稲田アカデミーの事件の際は、
預かった貴重品を1階ロビー奥に保管(オープンエリアなので施錠不能)
という正気の沙汰とは思えない方法でしたが、今回の方法も宿泊客の貴重品を保管するレベルではありません。
学校に対して、ホテルは「貴重品の管理体制は万全」と伝えたとされていますが、防犯に対する意識がずれています。
1月7日の夜に学校側がダンボールで生徒達の貴重品を回収し、それをホテル側は施錠ができる事務所の床に置き、施錠して退出。フロント・売店は7時~22時までなので、1月7日の22時~8日の7時までは無人。そして、8日出社して来た社長が7時半頃に盗難に気付きました。
これが今まで一度も盗難被害にあったことのないホテルであったら分かりますが、一度、しかも半年前に340人もの被害を出したホテルの防犯対策としては、お粗末極まりないです。
宿泊客から預かった貴重品は金庫に保管するのが基本なはず。量が多いので金庫に入らなかったという言い訳が聞こえて来そうですが、量が多いのなら大型の金庫を設置すべきですし、人感センサー付きの防犯カメラではなく、常時録画する防犯カメラで、事務所内だけではなく、事務所の出入り口やホテルの出入り口にも設置すべきです。
それもそうですが、防犯カメラは犯人逮捕に繋がる情報・証拠にはなりますが、盗難の抑止効果は高くはありません。無人になる場所ではスイッチをOFFにされるだけで役に立たなくなります。今回の事件でも犯行の様子は写っていませんでした。セキュリティー会社と契約をするか、少なくとも無人の事務所に侵入した場合には警報機が発報するようにしなくてはなりません。
施錠のできないロビー奥に貴重品を置いた前回の事件も正気の沙汰ではありませんが、今回の事件も十分に正気の沙汰ではないと言っても言い過ぎではないと思います。
考えられる犯人
早稲田アカデミーの盗難事件では340人分の現金と約100台のスマホが被害にあいました。現金も大きな金額になったとは思いますが、スマホは中古で海外に売りさばけば現金の被害額とは比べ物にならない大きな金額になる可能性がありますし、中に入った個人情報にも大きな価値があったはずです。
今回も同じように団体宿泊客がいる時期を狙って、しかも通常であれば警備が厳しくなって、リスクが高くなるはずなので避けるべきところを再び盗みに入っているところを見ると、
- 内部関係者(過去の従業員を含む)
- 内通者
の可能性が高いと思います。警察が動いていると思いますが、早稲田アカデミーの事件から半年も経っているのに解決していないところを見ると、かなり前の従業員などが外国の犯罪組織と絡んで起こした組織的な犯罪のように思えます。
ホテルサニー志賀のサイトのQ&Aを見ると、
Q個人情報の保護方針について教えてください。
個人情報は、固くお守りいたします。
と書かれています。この緩い感じでは、気付いていないだけで、個人情報の流出もありそうですし、その他の問題(防火・防災)にも問題点がありそうで不安になります。早稲田アカデミーの盗難被害があった時に従業員がツイートした内容も見ましたが、ひどい内容でした。ホテル全体で安全に対する意識が低い雰囲気があるのではないかと感じます。
この先も経営を続けて行くのであれば、防犯・防火・防災の専門家に相談するなどして、宿泊客の安全を守るために改善を図って頂きたいと思います。
今回の事件は決して他人事ではありません
- ホテル
- 旅館
- 温泉
- 銭湯
- レジャー施設(アトラクション乗り場)
- キャンプ場
- 海の家
- 学校
- 会社
- 高速道路のSAに停めた自動車内
- スイミングスクール
- テニススクール
- ジム
数え上げればきりがない色々な場所で貴重品を身から離す機会があると思います。そんな「今までは大丈夫だった場所」で今後は盗難事故が起きる可能性が上がります。
施設管理者側にはしっかりとした対策をして頂きたいと思いますが、利用する側もこれからは注意しなければなりません。貴重品を預かってもらっても、今回のホテルのようにずさんな管理をしているのかも知れません。
「貴重品はここに置いてください。」と書いてあっても、施設側は責任を持たないという但し書きがあるかも知れませんし、そもそもその「貴重品はここに置いてください。」という貼り紙自体が犯罪者によって貼られたものかも知れません。
いちいち貴重品を身から離す度に確認をするのは厄介ですが、その貴重品を盗難被害にあった際の被害額と厄介さを思い出してください。
出来る限り、貴重品は身から離さない。
もし身から離す場合は、しっかりとした防犯対策をしてくれ、且つ盗難被害にあった場合は保障をしてくれるところにのみ預ける。そんな場所が見付からない場合は、グループの中の誰かが貴重品の番をして、交代して対応をする方法をとると安全です。
かつて日本では玄関を施錠しなくても大丈夫な時代がありました。銭湯でカゴに財布を入れても取られない、簡単の木札のようなカギで十分という古き良き時代。でも、今はそうではありません。
自分の身は自分で守る。学校は生徒の貴重品の管理も責任を持って行う。それが重要です。
今回の事件でホテル側の非は明らかなので、ホテルを必要以上に責めても仕方がありません。半年前の2015年8月に340人という盗難被害を出したホテルに自校の生徒を宿泊させる上で、学校側は十分な安全対策の確認を行うべきだったと思います。
今回の事件では、ホテル側の「貴重品の管理体制は万全」という言葉にも、具体的にどのような管理体制をとっているかを聞けば、貴重品の管理を変えたかも知れませんし、もしかしたら合宿で使用するホテル自体を変更したかも知れません。学校は今回の件で学ぶ必要があります。
また、学校内での盗難被害も今後は増えてくると思います。部外者が関係者になりすまして更衣室から制服を盗んだ事件がありましたが、学校内も防犯意識が低い場所の一つです。今回の経験から、今後宿泊するホテルの防犯体制を気にするだけではなく、学校内の防犯対策についても対策を見直す機会にすることができれば、良い教訓になったと思います。
被害にあった桐光学園高等学校の教師だけではなく、同じように生徒を引率する教師の皆さんにも今回の件を教訓にしてもらって、生徒の貴重品の管理をホテル側に丸投げするのではなく、自分たちが守ってやる位の気概を持って挑んで欲しいと思います。そして、貴重品だけではなく、合宿などの活動中の生徒の安全を守るのは自分たちだということも忘れずに、生徒たちが盗難被害や怪我を不安に感じることなく、活動を楽しめるようにして頂きたいと思います。
あとがき
今回盗難被害にあった私立桐光学園高等学校の教頭が朝日新聞の取材に対して、
「昨年12月にホテルの下見をし、防犯上問題がないと考えていた。」
と言われているそうですが、どのような基準で「防犯上問題がない」と判断したのかを知りたいです。下見で名刺交換して、ホテルで喫食して、それで良しとしてしまっていたのではないでしょうか。
また、
「動揺している生徒もいるようなので、しっかりケアをしていきたい。」
と言われたそうですが、当たり前です。ただ、今回の件のケアだけではなく、今後の
- 学校外での活動(特に来年のスキー合宿)
- 校内の防犯体制
の見直しを図って、同様の盗難被害だけではなく、校内での盗難事件や人的な被害が発生しない体制作りをして頂きたいと思います。
あとがき2
桐光学園高等学校が今回の盗難事件について保護者宛に文書を出しました。
「高校 2 年生女子 スキースクール宿泊場所における盗難の発生について」
高校 2 年生女子 スキースクール宿泊場所における盗難の発生について 平成 28 年 1 月 9 日(土)
平成28年1月6日(水)から1月9日(土)の 3 泊 4 日の日程で実施した、高校2年生女子のスキースクール(参加生徒 175 名、引率教員 10 名)におきまして、宿泊場所で盗難事件が発生いたしました。宿泊していた志賀高原のホテルに預けた生徒の貴重品(財布・携帯電話等)が、二重に施錠した保管場所より7日の深夜から8日の早朝の間に、袋ごと
何者かに盗まれたもので、発覚後ホテルより警察に届け出をし、対応をしております。長野県警中野警察署から 8 日夜の段階で、現金の被害総額が約 80 万円、他に携帯電話等と発表されております。物的被害については学校として今後、調査及び把握をする予定です。また、保険の対応については確認中です。被害に遭った高校2年生女子生徒の心のケアに関しては、担任、副担任をはじめ、スクールカウンセラー、養護教諭等、全教員で対応いたします。
この件について、8 日に神奈川県の担当部署に報告をいたしました。また、契約しているネットパトロール業者にも特別監視体制をとるよう依頼済みです。
今後の対応につきましては、事実経過等が確認され対応が決定した段階で、該当生徒の保護者に連絡する予定です。ご理解とご協力をお願いいたします。
確かに学校は被害者かも知れません。しかし、本当の被害者は盗難被害にあった生徒とその保護者です。物的損害については現在調査中で、今後保険で保障されることになるのかも知れません。ですが、
- スマホにつまった思い出
- スマホにつまった個人情報
は戻ってきません。
それに対する言葉がなく、非常に冷たく感じます。
ホテルサニー志賀の防犯体制は本当にお粗末で、学校の合宿担当者は裏切られたと思っているかも知れません。ですが、昨年8月に大規模な盗難被害にあっていることは知っていた訳ですから、
- ホテルサニー志賀の防犯体制をしっかりと見直して判断する
- ホテルサニー志賀以外の宿泊施設にする
- 志賀高原以外のスキー場にする
すべきであったのを敢えてホテルサニー志賀を選んで宿泊した以上は学校にも責任があると思います。ホテルサニー志賀は宿泊客から預かった貴重品を金庫に入れず、施錠した事務所に保管するというずさんな貴重品管理をしていたにも関わらず、そこを選んだというのは学校の責任です。学校からの文書には「二重に施錠した保管場所より」と言い訳が書かれていますが、金庫でない以上、二重でも三重でも意味がありません。ドアの鍵は簡単に複製が作れますし、事務所のドアとなれば触れるホテル関係者の数が多いので、複製を作る機会は十分にあります。そこに貴重品を保管するのは窃盗犯に「盗ってください」と言っているのと同じです。
それに全く触れず、連絡事項を淡々と伝えるというのはいかがなものでしょうか。盗難被害にあった生徒への心のケアについて言及していますが、学校の冷たい対応についてショックを受けた生徒へのケアが必要だと思います。
あとがき3
4月7日、長野県警はこのホテルの元アルバイト従業員の高山憲一容疑者(47)を建造物侵入と窃盗の疑いで逮捕しました。
実はこの容疑者は今年3月に長野県中野市内のパチンコ店で財布などを盗んだとして既に逮捕されていましたので、再逮捕です。
高山容疑者は容疑を認めているそうです。
早稲田アカデミーの窃盗事件への関与についても長野県警が取り調べを進めています。
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