刃渡り7センチのナイフ付きのマルチツールの携帯は逮捕される?
2019/06/12
実はナイフが好きで、昔は集めていたこともありました。今は集めてはいませんのが、捨ててはいないので何本か家にあります。使う機会は殆どありませんが、SPYDERCOは先端が非常に鋭利なので、毛抜きで抜けないトゲを抜く時に重宝しています。うちの子は小さい頃からトゲはナイフで抜いているので、それが当たり前と思っているかも知れません。
7センチのナイフが付いたマルチツールは携帯可能でしょうか
確かナイフは6センチを超えるとダメと言っていたような気がするというあなた。その通りです。関連する法律に「6センチ」という規定があります。ですが、6センチを超えたらダメで、超えなければOKという程簡単ではないんです。
(定義) 第二条
2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り五・五センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつてみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。
に該当する「刀剣類」の所持が禁止されています。所持は「所有」ですので、第三条に挙げられる例外事項に該当しない限りは、家に保管してある事自体が違法になります。携帯はもっての外です。要は拳銃と同じです。
- 刃渡り15cm以上の「刀」「やり」「なぎなた」
- 刃渡り5.5cm以上の「剣(ダガーナイフを含む)」
- 刃渡りに関係なく「あいくち(短刀・どす)」
- 45度以上に自動的に開刃する装置を有する「飛び出しナイフ」
などは所有することすら違法な刃物になります。
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マルチツール、折りたたみナイフ、サバイバルナイフなどは、この対象ではありません。刀剣類以外の刃物は、同じく銃刀法ですが、別の規定で制限を受けます。
(刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止)第二十二条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
刀剣類以外の刃物に関しては、銃刀法の第二十二条が規定しています。
正当な理由なしには、
- 刃渡り6センチを超える刃物
- 刃渡り8センチを超える折りたたみ式のナイフ
- 刃渡り8センチを超えるはさみ
- 刃渡り8センチを超える上以外の刃物
を携帯することが禁止されています。
銃刀法における様々な規定は、その刃物が持つ殺傷能力の強さによって区分されています。サバイバルナイフは刀剣類ではないものの、サバイバルという目的からすると刀剣類に分類されて所有自体が禁止されても良さそうですが、一応ナイフだということで、所有はOKですが、携帯の可否は刃渡りによって規定されることになります。
刃渡り5センチのサバイバルナイフ(そんなナイフはサバイバルナイフとは呼ばれないでしょうけど)は携帯可能ですが、刃渡り7センチのサバイバルナイフは携帯不可です。但し、正当な理由(私有地でサバイバル生活をするなど)がある場合は、携帯は禁止されることはありません。
また刃渡り20センチのサバイバルナイフは勿論携帯できませんが、所持は禁止されていませんので、自宅で所有することは可能です。映画「Rambo」に出てくるようなサバイバルナイフも所持(所有)自体に問題はありません。(※今のところ)
そうなると刃渡り7センチのナイフがついたマルチツールは、
刃渡り8センチを超える折りたたみ式のナイフ
には該当しないため、携帯は銃刀法違反にはなりません。
僕の持っているLEATHERMAN SUPERTOOLのナイフは折りたたみ式で刃渡り8センチ未満ですので、携帯は制限されません。
同じくBUCKのハンティングナイフも刃渡りが8センチをわずかとは言え下回っているため、携帯はOKです。銃刀法上は。
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では、携帯しても逮捕されないのでしょうか?
BUCKのハンティングナイフの場合、
- 狩猟に行くという正当な理由がある
- 狩猟の往路・復路であること
- 狩猟に適した服装をしていること
- 往路・復路においては、直ぐに取り出せない状態で梱包し、携帯していること
などを満たしていれば携帯が許されます。8センチを超えるハンティングナイフであっても問題ありません。
しかし、狩猟に行くからと言って、ポケットやベルトに差したままでコンビニに入ったりすると逮捕される可能性があります。狩猟で使用するハンティングナイフであっても、
「今度狩猟に行く時に使えるから」
と言って車のダッシュボードに入れたままにしておくことで逮捕される可能性があります。次回の狩猟で便利だからというのは「正当な理由」であると見なされません。
正当な理由さえあれば、
- 刃渡り6センチを超える刃物
- 刃渡り8センチを超える折りたたみ式のナイフ
- 刃渡り8センチを超えるはさみ
- 刃渡り8センチを超える上以外の刃物
を携帯することが許されると銃刀法に規定されています。
ということは、
これを下回る刃物であれば、正当な理由が無くても携帯できる
ということのようにも受け取れるのですが、どうなんでしょう?
刃物の携帯を規定するのは銃刀法だけではなく、軽犯罪法でも規定されています
ナイフの携帯というと銃刀法が頭に浮かびますが、実際に最も注意が必要なのは
です。その軽犯罪法に、以下の条文があります。
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
正当な理由がないにも関わらず、
- 刃物
- 鉄棒
- その他、人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具
を隠し持っている人は、軽犯罪法違反の疑いで逮捕される可能性があります。
これには刃渡りに関わらず刃物が含まれていますので、銃刀法で携帯に問題がないとされている
- ミニナイフ(刃渡り2センチとか)
- マルチツール(刃渡り5センチ程度のナイフ付き)
- 工作ハサミ(学校で使うタイプ)
を携帯していたとしても、警官が「正当な理由がない」と判断した場合は、逮捕される可能性があるということです。
それだけではなく、
人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具
という規定が非常に厄介で、警官の判断の余地が非常に広いため、
- 筋トレ用に持ち歩いている鉄アレイ
- 休みの日に使うためにと、自動車のトランクに積んであるゴルフクラブ・バット
- 非常用に持ち歩いているマルチツール(ナイフの刃渡り3センチ)
- マグライト(ミニマグよりも大きなタイプ)
などを「凶器」とみなされて、軽犯罪法違反の容疑で逮捕されてしまう恐れがあります。
これは決して誇張などではなく、中には正当な理由があっても逮捕されてしまった方もいますので、本当に注意をしなければなりません。
正当な理由があって携帯する場合でも厳重な梱包は不可欠です
キャンプや釣りなどにナイフ・ハサミ・マルチツールを持って行かれないとなるとかなり不便ですよね。
銃刀法に違反しない刃物を携帯する場合は、
- ふさわしい服装をしているか、服装と一緒に刃物を携帯していること
- 往路・復路において、繁華街などを寄り道しないこと(せざるを得ない場合は、刃物を含む荷物を宅配便で自宅へ送ってしまう方が安全です)
- 刃物はザックなどの底の方に、しっかりと梱包して携帯すること(現地に着いてから使える状態にしましょう)
などの注意が必要です。
しっかりとした準備をした上でも警察に逮捕される可能性はゼロではありません。ですが、警官も
「正当な理由がない」
という証明が困難なケースにおいて無理に逮捕するというリスクを犯すとは考えにくいため、刃物を携帯する場合は、
逮捕された場合に正当な理由を主張するための準備を万端にしておく
ことが重要です。
この記事のタイトルにした
「刃渡り7センチのナイフ付きのマルチツールの携帯は逮捕される?」
という疑問に対する答としては、
銃刀法には違反はしていませんが、携帯に関して正当な理由が無い場合は、軽犯罪法違反で逮捕される恐れがあります。また、仮に正当な理由があっても「正当な理由がない」と主張する警官によって逮捕される可能性がありますので、最悪裁判になった場合のことも考えて、正当な理由があったことを後でも証明できるような準備を万端にした上で家を出るようにしましょう。
ということになります。
と、色々考えると、ちゃんとした目的(理由)があっても、刃物を持って家を出るのが怖くなってしまいます。
もっとも僕は鑑賞専門で、せいぜいトゲ抜き以外に使う程度なので余り問題にはなりませんが、アウトドアナイフやマルチツールをガンガン使われている方は、今まで警官とトラブルになったことがないとしても、万が一に備えて携帯している刃物が自体がトラブルを招いてしまわないように、今後は十分に注意して携帯してくださいね。
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