私立小学校の退学と転校
2019/06/13
公立小学校は義務教育の間は退学がないというのは理解できます。ですが、私立小学校の場合は、義務教育とは言え、教育委員会の監督すら受けない私企業扱いな訳ですからやめる時には「退学」扱いになっているだろうと思ってしまいます。
私立小学校に問題があってやめる場合でも転校扱い
いじめや教師による嫌がらせ・セクハラが原因で私立小学校をやめる場合であっても、退学ではありません。どんな理由であっても、転校として処理されます。
確かに、「私立○○小学校退学」という履歴が残るのは気持ちよくはありませんが、公立小学校などに転校すれば、「○○市立○○小学校卒」の履歴で上書きされるため、問題ありません。
別に大したことないのでは?と思われる方もいるかも知れませんが、これが案外大きな問題だったりします。
嫌ならやめれば?の私立小学校(中学校も)
公立の小学校や中学校は教育委員会の管轄ではありません。しかも、文部科学省も各都道府県の担当を介してやんわりと監督していますが、いじめや教師による横暴があっても調査や指導を行うことはありません。ありません、というよりも、できません。
公立小学校・中学校が用意されているにも関わらず、自分で私立小学校・中学校に行くのであれば、選ぶ時も自己責任、通っている間に問題が起きても自己責任、そういうことみたいです。文部科学省のサイトには「私立学校が私人の寄附財産等により設立されたものであることに伴い、その運営を自律的に行う」と書かれています。ただ、この法律は「私立学校の健全な発達を図ること」という大目的がある以上、私立学校の自律性に委ねた結果、誤った方向に進んでしまった場合は指導等を行う必要があるべきなのですが、その機能は文部科学省にありません。これは制度の穴ではないでしょうか。
塾や習い事なら、一旦入ってみたものの思った感じと違っていたからやめるのもおかしなことではありません。ひどい違法性がなければ国が介入することもありませんし、その必要もありません。ですが、小学校・中学校は性格が違いますので、塾や習い事と同じように「嫌ならやめれば?」という姿勢は正しくないと思います。
十分な情報開示が行われていない状態で学校を選び、いじめや教師の横暴など、学校運営にとってマイナスになる情報は隠ぺいされ、声を挙げた人が悪者扱いされ、それに抗議して退学の道を選んでも「転居に伴う転校」であるとされて、「無駄死に」になってしまっています。その退学でできた欠員は即追加募集され、「転居に伴う転校で欠員が出るなんてラッキー」と食いついた親子が欠員を埋めて、また何事もなかったかのような状態が作られます。
私学をやめる場合、転居をしなければならなくなる場合も少なくありません
学校が「転居に伴う転校」であると処理したケースを調べた際、実際に転居していたとしても注意をしなければなりません。
私立小学校・中学校に通っていたこどもがいじめにあって、学校をやめざるを得なくなったとします。私学をやめた場合は、住所のある学区の公立校へ通わなければならなくなります。その場合、引っ越しもしていないのに私学をやめて公立校に転校したことが分かると、
- いじめが原因で私学をやめた
- 親が経済的な理由で私学へ通わせることができなくなった
などと詮索され、新たないじめのきっかけとなってしまう可能性があります。そこで私学をやめる場合、親は住んでいた場所を離れて、別の場所の公立校へ通わせることを考えます。
同じ住所のまま、別の私学に移る場合も
- いじめが原因で前の学校にいられなくなった
などと詮索されるリスクは同じですので、この場合も引っ越ししたり、親戚の家に住所を移したりすることを考えます。
このような事情は表面上は分からないため、学校が「転居による転校」であると嘯けばそれが真実であるかのように通ってしまいます。
8月29日に京都新聞が報じた「京都の私立小で「いじめ」、被害の児童3人転校 学校が詳細調査」は、学校側が「転校」であると闇に葬ろうとしていた事実を掘り起こして、光を当ててくれました。さすがに学校名は出せなかったようですが、保護者会の開催が事実だったのかどうか、事実関係の把握と指導が正しいものであったのかなど、後追いもして頂けたらと期待しています。
今までは、被害者は静かに学校をやめ(お別れ会はあるはずもなく、学校をやめるまでは伏せられ、やめてからクラスメイトに知らされます)、転居に伴う転校であると闇に葬られてきただけですが、一筋の光が見えかけています。
文部科学省は調査を行うべき
私学の中にもホワイトも存在するとは思います。ただ、ブラックが余りにも多いように感じます。パイが小さくなり、競争が激しくなる中、集客に不利になるトラブルは無かったものとされ、情報は隠滅されます。
小学生・中学生とまだ幼い子供たちが汚い大人の姿を見て、絶望して学校を去っている現実を正しく知り、改善する義務が文部科学省にはあるはずです。そのために「転居による転校」扱いにされているこどもたちの追跡調査をしてください。驚くべき結果が出るはずです。
これから更にパイは小さくなり、顧客獲得競争は激しさを増すはずです。正しい競争が質の向上を生むだけであればいいのですが、「悪貨が良貨を駆逐する」というグレシャムの法則と同じように悪徳学校が世に蔓延る恐れもあります。今こそ私立小学校と中学校にメスを入れるべき時期です。公立でも私立でも、すべてのこどもが安心して平穏に勉学に励むことができるようになることを願っています。
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