みのりフーズが産業廃棄物を食品として販売 マルコメみそも被害
2020/01/24
ココイチ(CoCo壱番屋)の「壱番屋」が廃棄した冷凍カツを、産業廃棄物処理会社「ダイコー」が製麺業者「みのりフーズ」に横流しして、その冷凍カツが市場に出回ったとされる事件は、想像を超える広がりを見せています。
みのりフーズは長期間に渡って産業廃棄物を食品として販売か
ココイチの冷凍ビーフカツは、別のダンボール箱に詰め替え、そのダンボールに「みのりフーズ」の屋号と記号が印刷されたラベルを貼って偽装されていました。この事から、今回だけ魔が差して販売してしまった訳ではなく、長い期間に渡って、相当量の産業廃棄物再生食品を市場に流していた疑いがかかっています。
岐阜県・愛知県などの東海地方の方は不安に思われていることと思います。ですが、これが東海地方に限ったことではない可能性が出てきています。
ココイチのビーフカツ以外にも、ココイチの製品では
- ロースカツ
- チキンカツ
- メンチカツ
の3種類が不正に流通していたことが判明していますし、岐阜県が立ち入り調査を行ったところ、
ココイチ以外の製品108品目が見付かりました。
そのうちの一つ、びんちょうまぐろスライス96箱(約532kg)は東京の生協より賞味期限切れとしてダイコーに処理依頼された2トンの一部です。残りの1.5トンの所在が不明で、みのりフーズの責任者が取材に対して、
- びんちょうまぐろスライスは売れなかった
- 毎晩自分で食べている
と言っていますが、さすがに1.5トンは食べられないでしょうから、ほとんどが市場に流されたものと考えられています。
問題となっているこの製品「CO・CP びんちょうまぐろスライス」には賞味期限の印字がありませんので、賞味期限の印字がない
をお持ちの方は、絶対に食べないでください。
びんちょうまぐろスライス以外の107品目は、ダイコー以外からみのりフーズが仕入れたもので、
- 肉加工品
- 魚加工品
- 各種惣菜
- 菓子類
- 調味料
などです。
68品目については、各製品の販売元・製造元が表示されていますので、所在する都道府県及び保健所政令市(10都道県11市)に調査が依頼されています。
販売元・製造元が表示されていない39品目についても、岐阜県が引き続き調査を行う予定になっています。
マルコメみそも最大144トンが不正流通の可能性
「マルコーメみそ」のマルコメもみのりフーズの被害にあっていたようです。
マルコメによりますと、2014年3月~2015年7月にかけて、ダイコーに対して売れ残って返品されるなどした製品の処分を委託していました。その累計は144トン。
ダイコーはマルコメに対して適切に処理したと説明していましたが、実際にはみのりフーズに対して販売し、みのりフーズが不正に市場へ流通させていました。その量などは明らかにされていませんが、主に弁当店に販売したとみのりフーズの社長が供述しています。
いつ、どこに、どれだけの量を流通させたのかが明らかにならないと、味噌が使われているお弁当を買えなくなってしまいます。早急な対応を期待しています。
日本版「地溝油(ドブ油)」事件
地溝油は一時期日本でも話題になりましたが、最近は余り聞かなくなりました。聞かなくはなりましたが、中国でこの問題が解決した訳ではなく、今でもかなりの地溝油が使用されていると推測されています。
製造過程を見るだけでも吐き気がしますが、過程と見た目だけではなく、地溝油はカビが生成する発がん性も高い猛毒「アフラトキシン」や農薬を含んでいることが多いため、健康への被害が心配されています。
このニュースを見聞きした時、日本の多くの人は「対岸の火事」に感じたと思います。日本では消費期限切れ食材問題はあっても、産業廃棄物の再生はないだろう、と。
しかし、それが現実になってしまいました。
でも、
- 消費期限が切れたまま工場に置かれていた
- 産業廃棄物として処理業者に持ち込まれた
という場所だけの違いのようにも思えてしまいますが、実際には産業廃棄物扱いになった時点で、
- 冷蔵・冷凍
- 食品としての取り扱い
が無くなるため、冷凍されていたものが解凍されたり、冷蔵されていたものが常温に放置されたり、その他の腐敗したものと同じ場所に置かれたりして、食品としての要件を満たさなくなってしまっていることが多いと思います。
事実、ココイチの冷凍ビーフカツは、一旦解凍したものが、再冷凍されて流通されたと言われています。
この解凍されたり、常温に戻っている間に食材中の菌が増殖している可能性がありますし、一緒に置かれたその他の廃棄物から菌などが移っている恐れがありますので、再度冷凍や冷蔵しても安全性を確保することはできません。(そもそもが、消費期限切れですし。)
今まで
- 産地偽装
- 消費期限偽装
がありましたが、今回の事件によって、日本の食の安全に対する信頼性が再び大きく揺らいでしまっています。
事件を受けて、愛知県では廃棄物処理法に基づき、県が管轄する全ての産業廃棄物処理会社(54社)に立ち入り検査を実施することを決めましたが、
- みのりフーズが仕入れていたのは愛知県の産業廃棄物業者だけではない可能性
- 第二、第三の「みのりフーズ」が存在している可能性
がある以上、安心することはできません。
消費期限切れ食材の有効活用方法を見出す必要があります
製造業者や販売業者が、消費期限切れの製品を産業廃棄物業者に処理を依頼する以上は今後もこの手の事件は起き続けるでしょう。決してみのりフーズが初めてではなく、昔も今もこれからも同じような犯罪を犯す業者や人は存在し続けると思います。
中国の地溝油は、法律で縛って最悪は死刑になるとしても、買う業者が存在するために無くなりません。これを無くすには、刑罰ではなく、経済原理しかないように思います。バイオ燃料として活用する試みが進んでいますが、バイオ燃料として販売する方が食品油の代用品として販売するよりも高くなるのであれば、あっという間に地溝油問題は解決に向かうことでしょう。
日本でも同じです。消費期限切れ食材・製品を産業廃棄物として処理代を払って処理業者に委託するうちは、今後も欲に目のくらんだ業者が今回のような事件を引き起こす可能性が十分にあります。
消費期限切れの食材・製品を産業廃棄物として処理するのではなく、その他の何かに変えることができれば、この問題も解決に向かう可能性があります。
- 飼料
- 肥料
- 土壌改良材
- 建築資材
- バイオ燃料
これをできれば製造会社が責任をもってやってくれるといいんですが、どこかしっかりした会社がこういうことをやってくれないものでしょうか。
昔々、ミスタードーナツでアルバイトをしていた時、毎晩売れ残りのドーナツを大きな袋に詰めて、その上から足で踏んでから廃棄に出していました。万が一、ゴミを漁られても、ドーナツのままで市場に流通させないためです。毎晩のことでしたが、心が痛みました。
経営者は「廃棄=コスト」で見ますが、経営的にペイするレベルであれば廃棄は必要経費として受け取られ、余り気にはされません。ですが、廃棄とは言え、未だ食べられるものを捨ててしまうのは罪だと思いますし、思わなければならないと思います。経営的にペイしていても、廃棄される食材・食品を「もったいない」と思える心を忘れてはなりません。
とは言え、法律を無視した「もったいない」は犯罪ですので、あくまで合法的な範囲内で、廃棄食材・食品を減らすこと、およびそれの有効活用について、今回の事件を機会に議論が盛り上がることを願っています。
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