手荒れが酷い時の調理は手袋着用でお願いします
2019/06/13
酷い手荒れ等、手に傷がある時は手袋を着けるようにという注意を聞いた時、それは「優しさ」だと思ってました。勿論、調理をする人への。ですが、本当は食べる人への優しさだったんですね。知ってました?
食中毒の一番の原因は黄色ブドウ球菌
食中毒を引き起こす菌は色々ありますが、一番多い原因は黄色ブドウ球菌です。この菌は人の皮膚、口腔内、鼻腔内に存在していて、その保菌率は40%程度と言われています。極々普通の菌です。
この菌が厄介なのは、食品中で増殖すると加熱しても消えないエンテロトキシンを産出し、食中毒を引き起こすからです。皮膚などに普通に存在する菌だけに、食中毒の原因になり易いのです。
傷で黄色ブドウ球菌が増殖
小さな傷であってもどこで黄色ブドウ球菌が増殖しています。その傷が食品を触れると高濃度の黄色ブドウ球菌が食材を汚染し、調理や保存の過程で増殖し、食中毒を引き起こします。
ですから、調理人が痛くないようにという配慮ではなく、食べる側の安全のために、傷が絶対に食品へ接触しないようにしなければなりません。
絆創膏だけでは黄色ブドウ球菌が流れ出る恐れがありますので、絆創膏などを貼った上で手袋を着ける必要があります。
黄色ブドウ球菌が産出するエンテロトキシンは細菌自体と違って沸騰させても消えません。食材に黄色ブドウ球菌を付けないことしか防ぐ手だてがありませんので、これは厳守しましょう。
結構傷があっても調理する人を目にします
恐らくエンテロトキシンの怖さを知らない人だと思います。パン屋で修行中に小麦アレルギーを発症し、蕎麦屋に行ったら蕎麦アレルギーになったという人の話を聞いた事がありますが、経皮感作を起こしたということは手に傷があったことが推測されます。その方は自身が小麦や蕎麦で経皮感作を起こしながら、食材に黄色ブドウ球菌を付けていたのだろうと思います。パンも蕎麦も加熱処理されるので菌自体は死にますが、エンテロトキシンは消滅しません。大きな食中毒事故を起こさなかったのは幸いです。
手荒れでも、切創でも、家庭でも、プロでも、どんなに小さくても手に傷がある時は、絆創膏などで処置をした上に手袋着用が大原則です。
絶対忘れないでください。
あとがき
手袋を着けるのに、なぜ「絆創膏などで処置」をする必要があるかと言うと、傷の上に直接手袋を着けると、手袋の材質によっては天然ゴムの成分が傷口から浸入し、経皮感作を起こします。その結果、ゴム製品を触ることができないラテックスアレルギーを引き起こす恐れがあるためです。ゴム製品も身の回りに溢れていますので、厄介なアレルギーです。ならない為にも、手袋を着ける場合は、傷を処置した上で着けましょう。
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