浴室の赤いヌルヌル
2019/06/13
赤いツブツブの話に続き、今回は赤いヌルヌルです。
浴室の赤いヌルヌルの犯人はロドトルラ(Rhodotorula)というカロテノイドを産生する赤色酵母の一種です。赤カビではありません。菌がひとつでもあると、約1週間で数十億まで増える驚異の増殖力。どうりで直ぐに色々なところが赤くなるわけです。
ロドトルラはエタノールに弱い
かなりの下戸みたいで、エタノールを含ませたペーパータオルをたった10秒当てるだけで死滅します。ゴシゴシこするのに苦労した方もこれで安心です。
残念なお知らせ「どこにでもいます」
エタノールを使って頑張って掃除しても、気が付くとまた赤いヌルヌルが。なぜ?
それはロドトルラがどこにでもいる菌だからです。土壌、水道水、牛乳、フルーツジュース、ほとんどすべてのものの中に見付けることができます。
しかも、大気中にも存在しています。窒素化合物をフィルターで取り除いた空気中でもわずかに残った窒素化合物を捕捉して成長することができるんです。こうなるともうお手上げです。
死滅させて二度と出てこないようにすることはできませんが、定期的な掃除で不快な赤いヌメヌメとはおさらばです。
病気の原因になったりしませんよね
実は
- ロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)
- ロドトルラ・グラティニス(Rhodotorula glutinis)
- ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)
の3種は、稀に血流感染を引き起こすことがあります。また、鶏と海獣の皮膚感染症と羊と牛の肺感染症と中耳炎を引き起こすことがあります。
でも、日常生活では特に害はありませんので、安心してください。
バイオレメディエーションで活躍の可能性
実は浴室を赤くヌルヌルさせるためだけに存在しているわけではないみたいです。
バイオメディエーションという微生物や菌類や植物、またはその酵素を使って、有害物質で汚染された自然環境を、有害物質を含まない元の状態に戻す方法を研究する科学分野がありますが、そこでロドトルラ種が注目を集めています。この種は石油化合物を分解する能力があり、その分野で今後活躍することが期待されている注目株なんです。
そう聞くと風呂場の赤いヌルヌルが尊いもののように見えてきます。これからはそんなことに思いをはせながら掃除をしてみませんか?面倒なヌルヌル落としが捗るかも知れませんよ。
関連記事
-
インフルエンザの流行入りは2006年以来の大幅な遅れ
例年であればインフルエンザは流行期に入り、注意喚起がされる時期ですが、今年はまだ …
-
写真公開時は虹彩と指紋にご注意ください
容疑者から押収したスマートフォンに保存されていた被害者の写真を解析した結果、被害 …
-
ペットとのキスが胃ガンを起こす可能性 ヘリコバクター・ハイルマニ
胃がんと言えば、1983年に発見された人などの胃に生息するらせん型のグラム陰性微 …
-
ICレコーダー こどもをいじめから守る
こどもをいじめから守るのに、学校任せでは不安です。学校がいい仕事をしてくれていて …
-
運転席横のウィンドウに日除けは付けられません
自動車運転中の日焼け、気にされる方が多いですね。わが家の車のウィンドウはUVカッ …
-
いじめ情報共有を怠ると懲戒処分 文部科学省が周知を検討
いじめ情報の共有を怠った場合は懲戒処分もあり得ると周知 いじめに関する情報共有な …
-
アトピー性皮膚炎はワセリンで予防
理研と言うと「わかめスープ」よりも「STAP細胞はありまぁす!」の方が有名になっ …
-
無記名にしたらセクハラ報告が激増 千葉市教育委員会の調査
昨日、こんなニュースがありました。 千葉市教育委員会は17日、昨年度実施した市立 …
-
交通誘導警備員の誘導は過信禁物
土日のスーパーなんかに行くと交通誘導警備員さん、いますよね。混んだ駐車場や幹線道 …
-
花粉症の人は生果物・生野菜による交叉反応にご注意ください
特定の果物や生野菜を食べると、喉がイガイガしたり、唇がかゆくなったりしませんか? …
- PREV
- その塾、安全ですか
- NEXT
- ベビーシート、どこにつけてますか