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龍神が重度の糖尿病を患う7歳男児を殺害

      2019/06/13

容疑者は自称祈祷師で「龍神」を名乗る

栃木県宇都宮市に住む7歳の男児は重度の糖尿病を患っていて、インスリン注射が欠かせない身でした。

男児が注射を嫌がるため、わらにもすがる思いで両親は病気を治すと吹聴する栃木県下野市に住む自称祈祷師で「龍神」と自らを名乗る男に男児の祈祷を頼みました。

「龍神」を名乗る男は、男児にインスリンの注射をさせず、治療と称して呪文を唱えながら男児の体を触るなど非科学的な対応を続け、糖尿病が悪化した男児は2015年4月に亡くなりました。

男児は亡くなる3日前から体調が悪化していましたが、両親は医者にも見せず、龍神と称する男は男児が亡くなる前日にも「死に神、退散」と呪文を唱えるばかりで、また男児にハンバーガーを食べさせたりして、男児を死に追いやりました。

生命維持にインスリン投与が必要な男児に対して、インスリン投与をさせず、祈祷(自称)のみをしたことは、殺す意志がなかったとしても、未必の故意であると考えられ、殺人罪の容疑で逮捕されました。

当然の結果です。

両親は保護責任者遺棄致死の疑いで書類送検される予定

男児の両親は、男児が生命を維持するために欠かすべきではないインスリン投与を龍神が止めさせることに同意し、治療を続けさせたことは、保護責任者遺棄致死と言われても仕方がないと思います。恐らく両親に異論はないでしょう。

「注射を嫌がる我が子を何とかしてやりたい」という気持ちは痛いほど分かります。僕もこどもが小さい頃は、細い痛みを感じにくい注射針で注射してくれる小児科を探して奔走したものです。

色々探した結果、たどり着いた結論が悪かったです。知人の紹介なのか、インターネットなのか、それともタウンページなのか。いずれにしても、任せようと決断したのは両親ですから、両親は責任を負わなければなりません。

両親は治療費として200万円以上を支払い、またそれとは別に男児の容体が悪くなると

「龍神を信じないからだ」

と3万1千円を複数回請求されるのに対して支払っていたそうです。

我が子を救ってやりたい、楽にしてやりたいという気持ちは正しかったのですが、方向が間違っていました。200万円以上のお金を支払ったのにも愛を感じます。ですが、男児は命を絶たれ、両親は子を失い、保護責任者遺棄致死という罪を負いました。全ては「龍神」を名乗る男の強欲のためです。

このように人の弱みにつけ込み、私腹を肥やそうとする輩は成敗されるべきです。

裁判では、インスリン投与をしないことが男児の生命にどの程度関わるかを「龍神」が認知していたかどうかが争点になるのでしょう。もしかすると無罪放免の可能性もあります。

両親はこどもの命を預かっていることを忘れず、このような過ちを犯さないように注意しなければなりません。

無知は時として罪になります

インスリン注射は大人でも嫌なものです。僕の祖母は重度の糖尿病で若い頃から注射を打っていました。でも、うまく糖尿病と付き合って90歳まで生き、ある朝眠るようにして亡くなっていました。天寿を全うしています。

こどもの頃から注射を打つのはストレスも大きいですが、インスリン注射以外の方法はほとんどありませんので、今回の両親も如何に痛みを減らすかということを考えるべきでした。

ただ、インスリン注射以外に全く方法がない訳でもありません。

ドナー不足という問題はありますが、臓器移植(すい臓移植・すい島移植)によって完治の可能性があります。

また、少し時間はかかりますが、再生医療がドナー不足を補ってくれる可能性もあります。

もう少し近い将来としては、アメリカでは2015年2月3日から吸入式インスリンが「Afrezza」の販売が始まっています。近いうちに日本でも処方が開始される可能性は十分にあります。

泣き叫んで嫌がる我が子に注射を強いるのは苦しいと思います。ですが、それも永遠に続く訳ではありません。こどもも成長して、痛みを乗り越えられるようにもなりますし、針は更に細くなる可能性もあります。そして、再生医療や注射以外のインスリン投与方法も使えるようになる可能性もあります。

この両親の無知によって、この可能性は全て無くなってしまいました。両親の無知だけを責めることはできません。「龍神」と名乗る欲の亡者が男児を殺したのに違いはありませんが、両親の無知がその男に男児を委ねる決断をしていることを考えると、無知の怖さを改めて感じます。

“Nothing in the world is more dangerous than sincere ignorance and conscientious stupidity.”

Martin Luther King Jr.

無知は本当に怖いです。

強迫に証拠隠滅 自称「龍神」は死に神だった

その後の捜査で、龍神が

「病院に行くなら、俺は手を切る。病院には悪霊がいて、いずれ死ぬ。子どもがどうなっても知らない。」

などの脅しを、男児の母親にメールで送っていたことが分かりました。押収された龍神の携帯電話には、一部のデータが消去された痕跡があり、証拠隠滅を図った可能性があるとして捜査が続けられています。

消されたデータは復旧されますから、今後の龍神の悪行が次々に暴かれることになるでしょう。

全てを暴き、二度と同じ犯罪を犯すことができないようにして頂きたいと思います。

 - 健康, 安全, 生活, 育児

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