新型ノロウイルスの大流行にご注意ください
2019/06/13
毎年多くの感染者を出すノロウイルスですが、今年は2006年の大流行を上回る流行が発生する恐れがあるとして注意が呼びかけられています。
これから食べ物がおいしくなる季節ですが、貝類(カキ・アサリ・ハマグリ・シジミなど)を食べる場合はしっかりと加熱してから食べるようにしてください。生食はもちろん、生焼け・生煮えも危険ですので、安全のため注意してください。
新型ノロウイルスG2・17の大流行が危惧されています
2006年の大流行を引き起こしたのは、遺伝子型G2・4というノロウイルスですが、そのウイルスが変異を遂げてG2・17というウイルスに変わりました。その新規遺伝子型ノロウイルスは、川崎市健康安全研究所のスタッフが発見したことから、
G2・17 KAWASAKI 2014
と命名されました。なんだか速そうです。
この新規遺伝子型ノロウイルスは、インフルエンザと新型インフルエンザのような関係ではなく、遺伝子型が違うだけで今までのノロウイルスとほぼ同じであると考えられています。
感染力や症状などは従来型のG2・4と同じであっても、人間が初めて接触することになるため、未だ免疫を獲得していません。G2・4であれば過去に感染した人の中で免疫のあるひとが感染を食い止めることができるため爆発的な流行になりにくくなっていますが、初めて経験するG2・17は誰も免疫がないために、爆発的な流行を見せる恐れがあります。
既に一部地域では感染者の内訳において新型のG2・17が旧型のG2・4を上回っているところがありますので、今年の秋から冬にかけては例年以上の注意と対策が必要になります。
手洗いと食べ物の十分な加熱で防げます
ノロウイルスの感染は経口(口から食べ物などを介して)感染します。
外出先から帰った時にはしっかりと手洗いを行いましょう
また、貝類を食べる際には、必ずしっかりと加熱調理したものを食べましょう。ノロウイルスは熱に弱く、85℃以上(中心温度)で1分以上加熱すれば死んでしまいます。逆を言えば、それ以下の加熱では生き残ってしまいます。貝類は、
中心温度が85℃以上で1分間以上
加熱したものを食べるようにしてください。
新鮮だからといってウイルスが少ない訳ではありません
生ガキファンには残念な情報なんですが、カキの鮮度とノロウイルスの有無・多少には関連性がありません。ウイルスは腸の上皮細胞に感染して、そこで増殖します。貝類や野菜類に付着してから増殖することはありません。ですから、朝獲れの新鮮なカキでもいる時はいます。ですから、安全のため、カキの生食は極力避けるようにしましょう。
二次感染・三次感染を殺菌と手洗いで防ぎましょう
ノロウイルスの感染者数は年間10,000人前後です。
年度 | 感染者数 |
2014 | 10506人 |
2013 | 12627人 |
2012 | 17632人 |
2011 | 8619人 |
2010 | 13904人 |
2009 | 10874人 |
2008 | 11618人 |
2007 | 18520人 |
2006 | 27616人 |
※厚生労働省の統計資料より
しかし、実際の感染者はこの数百倍の数百万人にのぼるだろうと考えられています。多くの感染者は、感染しても軽症で完治したか、感染しても症状がでなかったかなどで病院へ行かないために統計に出てきません。しかし、この軽症や無症状の感染者も感染後は長期に渡って菌を排出することになります。
手洗いと貝類の加熱調理だけでは、二次感染・三次感染を防ぐことができません。
感染者が身近にいる場合は、汚染されたものを次亜塩素酸ナトリウムで消毒するなどすることに加えて、手洗いを徹底する必要がありますが、感染者が身近にいない(いても気付いていない)場合も手洗いを徹底することで気付かずに二次感染や三次感染を起こすことを防ぎましょう。
手は正しくしっかり洗いましょう
これに尽きます。
正しい手洗いの方法は内閣府食品安全委員会と公益社団法人日本食品衛生協会のウェブサイトを参照ください。
「しっかり手洗い、してますか?」(内閣府食品安全委員会のウェブサイト pdfが開きます)
「できていますか?衛生的な手洗い」(公益社団法人日本食品衛生協会のウェブサイト pdfが開きます)
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