恐怖 マダニ感染症
2019/06/13
キャンプ、登山、山菜取り、オリエンテーリングなど、アウトドアでする魅力的なアクティビティーは数多くありますが、草むら・やぶに入る時は細心の注意を払わなければなりません。
野生動物が生息する場所にはマダニもいると思って間違いありません。草や木の上で息を殺して宿主が通るのを待ち、触れたり、下を通ると自ら落下し、宿主から吸血を始めます。
僕も小学生の頃、短パンで犬を連れて山に入り、マダニに寄生されたことがあります。咬みつかれたことは全く気付かず、小豆大の血豆みたいなのが太ももの付け根に付いているのを見て、初めて気づきました。最初は本当に血豆だと思ってしまいましたが、細かい脚が付いているのでダニだと分かりました。その時の衝撃と言えば。。。未だに寒気がします。気付いたその場で激痛を我慢しながら引きちぎったため、ダニの一部(口下片)が体内に残ってしまい、その後長い期間炎症に苦しみました。その時は酷い目に遭ったと思いましたが、今思えば感染症にならずに幸運だったと思っています。
マダニ感染症で最恐は重症熱性血小板減少症(SFTS)
マダニによって媒介される感染症には次のものがあります。
- 日本紅斑熱
- ライム病
- Q熱
- 回帰熱
- ダニ媒介性脳炎
- ボレリア症
- 野兎病
- キャサヌル森林病
- 重症熱性血小板減少症(SFTS)
なかでも、重症熱性血小板減少症(SFTS)は非常に恐ろしい病気です。2011年に中国で発見され、日本での初めての患者は2013年と歴史の浅い病気ですが、2015年4月8日までに西日本の15県で110人が発症しています。ウイルスに対するワクチンや治療薬がないため、110人のうち32人が死亡し、致死率は29.1%にもなる悪魔のような病気です。
その他のマダニ感染症も恐ろしいものですので、決して軽んじることはできません。
マダニに咬まれないためにすべきこと
マダニに咬まれたら必ず感染するわけではありませんが、まずは咬まれないようにするのが重要です。咬まれないためには、
- 腕・足・首などの肌を露出させてはいけません
- 夏でも長袖・長ズボン
- 首はタオルを巻くか、ハイネックシャツを着用
- 頭は帽子で保護
- 手袋着用
- シャツの袖は手袋に入れ、ズボンの裾は靴下、または長靴の中に入れましょう
- 上着や作業着は室内に持ち込まず、その他の着衣も浴室内で脱ぎ、マダニが室内に潜伏するのを防ぎましょう
- 帰宅後は早めに入浴し、体にダニが付いていないか確認しましょう
- こどもの体は親が確認してあげましょう
- 市販されているツツガムシ用のディート(忌避剤)がマダニにも効果が確認されていますので、他の防護手段と合わせて使用してください(マダニ専用のディートはまだありません)
咬まれてしまった場合の対処法
感染症の可能性がありますので、すみやかに病院へ行きましょう。民間療法的な対応として、回転させて取ると口下片が残らないとか火のついた線香をダニの尻に当てると自分から外れるなど、色々言われていますが、どれも確実ではなく、感染症のリスクを上昇させてしまいますので、病院で除去してもらってください。
咬まれた確証がなくても、マダニ感染症が確認されたエリアへ行った後に発熱などの症状が続く場合は、病院へ行って診察を受けましょう。その際にはそのエリアへ行った旨を明確に伝えてください。
ペットから人へ
草むら・やぶに入った犬にマダニが付いて帰ってくる恐れがあります。犬が草むら・やぶに入った時は、良くブラッシングをして、マダニが体に付いていないかを確認しましょう。毛についている状態であればガムテープなどで捕まえて、焼却処分などしてください。皮膚に食い込んでしまっている場合は、動物病院で処置を受けましょう。耳 中、目の周囲、口の周り、指の間に食い込んでいることも多いので、特に注意してください。
室内犬の場合は、毛の間に入り込んだダニが室内に落ちて、ひとに寄生する恐れもありますので、室内に入れるまでに十分確認を行い、暫くはひとも犬も継続的に確認をおこなうと安心です。
資料 「マダニ対策、今できること」(ダウンロード: 3MB)
※NIID 国立感染症研究所作成のパンフレットです。
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