札幌の中学2年生が逮捕　ウイルスを販売し、恐喝も

北海道札幌市の中学2年生逮捕　ウイルス販売の容疑

毎日新聞によりますと、北海道札幌市の中学2年生が中高生5人前後にウイルスを販売していたとして不正指令電磁的記録提供容疑、ならびに恐喝未遂容疑で逮捕されました。

不正指令電磁的記録とはコンピューターウイルスのことです。不正に指令を出す電磁的記録ってことですね。

逮捕された少年は、知人の少女にコンピューターウイルスを販売した罪で逮捕されましたが、その他にもLINEで知り合った中高生5人前後へもインターネットバンキングに不正送金を起こさせるウイルス「ZeuS（ゼウス）」などを販売したと見られています。

中には、代金として電子マネー１００万円分を送った少年もいたそうです。

中学2年生がウイルス開発？

このニュースを知った時、すごい中2だなぁって思いました。でも、実際は海外の闇サイトで無料ダウンロードしたものと見られています。

押収された少年パソコンからは4種類のウイルスが確認されていますが、恐らく全てが海外の闇サイト経由でダウンロードされたものと見られています。

警視庁は恐喝未遂容疑でも追送検する方針

この少年は、いわゆる「マッチポンプ」もしていたようです。

高校生1人のパソコンに、「ランサムウエア（身代金要求型ウイルス）」に感染させたことも判明しました。このウイルスに感染するとパソコンは動かなくなって、「解除したければ身代金を払え」とメッセージが表示されます。少年は3000円で解除すると持ちかけましたが、高校生はお金を払いませんでした。そのため、恐喝未遂の容疑で追送検されることになりました。

軽い気持ちでやったことでも、重大な犯罪として扱われます

「拾い物」のウイルスを小遣い程度のお金で売ったり、知人にあげたりしただけでも、重大な犯罪になります。

もし、犯罪組織がインターネットバンキングを狙ってウイルスを感染させ、多額の預金を奪うという犯罪があったとすれば凶悪犯罪として見られるでしょう。

実際に預金を奪うことはしていなくても、組織的ではなくても、この逮捕された少年も同じことをしようとしたと見なされます。

「拾い物だから」とか「預金を奪っていません」とかは通じません。

不正指令電磁的記録、つまりウイルスを他人のパソコンに感染させると不正指令電磁的記録供用・同未遂罪に該当しますが、

• 作成する（不正指令電磁的記録作成罪）
• 人に譲渡や販売する（不正指令電磁的記録提供罪）
• 違法に使用する意思を持って入手し、保管する（不正指令電磁的記録取得・保管罪）

だけでも罪になります。

海外の闇サイトでダウンロードしただけでは罪にはなりません。ダウンロードする際に、実際に使用してみようという意思を持って入手し、保管すると罪になります。

不正指令電磁的記録作成・提供罪は、

• 「正当な理由がないのに（正当な理由の不存在）」
• 「人の電子計算機における実行の用に供する目的で（目的）」
• 「（第1号又は第2号）に掲げる電磁的記録その他の記録を（客体） 」
• 「作成し、又は提供した（行為）」

場合に成立するものである。

出典：いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について（法務省）

今回、逮捕された少年からウイルスを受け取った少年たちは、

• ウイルスと認識して入手し、保管
• 「使ってみたかった」と供述

していることから、立件される方向で進んでいます。

彼らは、使ってもいないし、誰かに譲ったり、販売したりもしていません。ですが、「使ってみたかった」という意思を持って入手、所有しただけでも罪になります。（逆を言えば、「使うつもりはなかった」「プログラムの学習のために入手した」と言えば罪にはならない可能性があります。）

軽い気持ちで動かないことです

コンピューターウイルスは特殊なケース（対策ソフトの研究開発など）を除けば犯罪の道具になるものです。

刃渡り5.5cm以上のナイフや拳銃は犯罪の道具になるから法律で禁止されています。

コンピューターウイルスも同じです。

なんとなくかっこいいからという程度で手を出すと逮捕される可能性があるものです。絶対に手を出さないでください。