脱獄iPhoneは偽物? 販売で逮捕者
2019/06/12
じゃないです。(因みに、ジェイルブレイクよりもプリズンブレイクの方が難しいです。そして、きっと罪も重い。)
ジェイルブレイク(脱獄)したiPhoneを売ったことで逮捕者が出ました。このニュースを見て「マジか?」と作業が止まった人は一人二人ではないかも。
脱獄(ジェイルブレイク)iPhone販売で初の逮捕者
ジェイル・ブレイクしたiPhoneを販売したとして、
商標法違反(直接侵害)の疑い
で、富山県に住む男性(24)が千葉県警に逮捕されました。今年、イネットオークションサイトなどで4人に計6台を販売した容疑です。
脱獄(ジェイルブレイク)とは、工場出荷時に制限がかかっている操作を、OSを改造することで可能にすることを指します。SIMロックを自分で解除したり、カメラのシャッター音を鳴らなくしたり、広告を非表示にする際に脱獄が必要になります。実は以前使っていたスマホではセルスタンバイ問題が深刻だったので、root化(=脱獄)を検討したこともありますが、僕にはハードルが高くて諦めた経緯があります。
知識のあるユーザーの中にはトライする人も少なくなく、今回の逮捕は驚きました。
ただ、
- 自分でするジェイルブレイク(脱獄)
- ジェイルブレイク(脱獄)したスマホを販売する
ことの間には大きな違いがありますので、メーカーの側に立って考えると「さもありなん」と言った感じです。注意しなければならないのは、脱獄(ジェイルブレイク)自体が違法ではないということ。でも、OSに関係ない部分が物理的に壊れた場合でも修理を断られる恐れがありますので、脱獄はハイリスクを覚悟した上で完全な自己責任で行う必要があります。(僕にはそんな勇気はありませんでした。。。)
今回、ジェイルブレイクしたiPhoneを販売した男を検挙した容疑が
商標法違反(直接侵害)の疑い
だというのはうまく理解出来ていません
この事件を報じた朝日新聞デジタルでは、
県警は、改造されたiPhoneは偽物にあたり、アップルが商標権を持つリンゴのマークを付けたまま販売したことで同社の権利を侵害したと判断。
出典:朝日新聞デジタル 「脱獄」iPhone販売容疑で初摘発 富山の男を逮捕
と書いていますが、スッと理解ができません。
偽物?本物じゃないの??
脱獄iPhoneを販売が、商標法に違反(直接侵害)している要素
偽物を販売することは、商標法に違反(直接侵害)しています。
今回の事件が商標法に違反(直接侵害)しているということは
脱獄したiPhoneは既にAppleのiPhoneではなく偽物
という判断がされたということになります。
OSの一部を触った位では「偽物」になったりしないのではないかと個人的には思いますが、
- Apple社として思うところがあってOSに組み込んだ制限を解除された
- 脱獄によってセキュリティ面に脆弱性が生まれてしまう恐れがある
ことによって、
「AppleのiPhoneという製品」としての要件を満たさなくなるために偽物と同じ
扱いを受けるということなのでしょうか。
まぁ、なんとか分かります。
偽物と同じ存在である以上、故障した場合にも修理を断られる恐れがあるというのも理解できます。
今回の逮捕は結構怖いかも
メーカーが改造を嫌うのというのは、Appleを限らず、カメラや自動車・オートバイでも同じです。
一時期、不正改造されたNikonが問題になっていました。
ニコン製品の不正改造品、模倣品に関するご注意
平素はニコン製品をご愛用いただきまして、誠にありがとうございます。
ニコンでは、弊社製品の不正改造品や模倣品が、弊社サービス機関に修理として持込まれる事例を確認しております。
このような不正改造品、模倣品はネットオークション等で流通しているようですが、不正改造品、模倣品の場合、ニコンの保証規定は適用されませんので、点検、修理は致しかねます。
また、不正改造品、模倣品に起因する事故や不利益等につきましては、ニコンでは一切の責任を負いかねます。ご購入にあたっては十分にご注意ください。
本件についてのお問い合わせは、ニコンカスタマーサポートセンター、最寄りのニコンプラザ・サービスセンターへお願い申し上げます。
今後ともニコン製品に一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
弊社サービス機関に修理品として持ち込まれた不正改造品の一例
・D800を不正改造したD800E
D800にD800Eの外観カバーを不正に換装したもの。カメラの液晶モニターにて1コマ表示モードで「統合表示」にした際に右上にカメラ名が表示されます。それにより、真のカメラ名が確認できます。
※ ニコンデジタル一眼レフカメラD800を不正改造したD800Eに関するご注意については、こちらをご覧ください。
・D4を不正改造したD4S
D4にD4Sの外観カバーを不正に換装したもの。カメラの液晶モニターにて1コマ表示モードで「統合表示」にした際に右上にカメラ名が表示されます。それにより、真のカメラ名が確認できます。
・D7100を不正改造したD610
D7100にD610の銘版などを不正に換装したもの。カメラの液晶モニターにて1コマ表示モードで「統合表示」にした際に右上にカメラ名が表示されます。それにより、真のカメラ名が確認できます。
※ ニコンデジタルカメラ用アクセサリーの模倣品の安全性に関するご注意については、こちらをご覧ください。
Nikonの件は、商標法に違反(直接侵害)というだけではなく、詐欺でもあるので、分かりやすい犯罪です。
しかし、自動車やオートバイの場合、オートバックスなどの用品店に行けば、ありとあらゆる改造パーツが置かれていますし、改造が「カスタム」という名前で一定の市民権を得てからは、一部の特殊な人(以前の僕も含まれます)のものではなくなっている感もあります。
ですが、メーカーが制作するオーナーズマニュアルには、
- 改造は禁止(外装品も純正のみ)
- 改造した場合は修理を受け付けない
- 改造した場合は保証が無効になる
などの脅し文句が書かれていることが多いです。
ですが、実際には正規代理店が改造を引き受けたりしている場合もあって、結構なぁなぁの感じがあるんですが、今回の脱獄iPhoneの様に、改造(カスタム)した自動車やオートバイが
改造によってその製品であることの要件が満たされなくなった
とされて、偽物認定を受けてしまうことが出てきてしまわないか、不安に感じます。
アメリカン チョッパーCustom S&S Panhead Bobber… |
※エンジンはS&Sのパンヘッド
上のチョッパーの場合、エンジンがS&Sのパンヘッドに換装されていますし、リジッドフレームも社外っぽいので、社外品の比率の方が高い状態かも知れませんが、でも紛れもなくハーレーです。(※ハーレーダビッドソン(R)というのは問題あるかも知れません。)
上のチョッパーは少し極端な例ですが、今回のiPhoneを脱獄して逮捕されたという事件をその他の製品にも拡大して行くと、純正部品だけでレストアされていないビンテージカーやビンテージバイクが偽物扱いされてしまう恐れがあるような気がして、怖いです。
ただオリジナル商品として販売すれば「脱獄」できるかも
脱獄したiPhoneは既に「iPhone」ではないにも関わらず、
- Appleロゴを付けた状態
- iPhoneだと言って販売
したことが、商標法に違反(直接侵害)だと言うのであれば、
脱獄する前はiPhoneだったオリジナルスマホ
として販売すれば、違法にはならないのかも知れません。(※修理してもらえないので、購入者は大きなリスクを負います)
それもどうかと思いますが、商標法の限界かも知れません。
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