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毛染めで重症のアレルギー

      2019/06/12

毛染めに使う成分がアレルギー重症化の原因に

茶髪、金髪、銀髪、黒髪、髪の色もずいぶんと自由になりました。昔は毛染めと言えば、白髪染めを意味する位に、髪色は均一でしたが、今では毛染めよりも「ヘアカラー」という言葉が似合います。そのため、昔は「毛染め=中年以降」というイメージがありましたが、今では老若男女、髪を染める人が多くなっています。

大勢の人が髪を染めるにも関わらず、髪を染める薬品でアレルギー症状が出ることは余り知られていません。知っていても、自分に起きているアレルギー症状を気付かないまま、毛染めを続けて、重症化させるケースが増えていると、

のように注意喚起されています。

パラフェニレンジアミン(PPD)によるアレルギー性接触皮膚炎です

一番良く使われている酸化染毛剤(ヘアカラー、ヘアダイ、白髪染め、おしゃれ染め、アルカリカラー等)には、酸化剤として

パラフェニレンジアミン(PPD)

という物質が使用されています。

この物質の外見は白色固体ですが、空気に触れると酸化して暗色に変化する特徴があります。それを利用して、白髪染めや濃い色に染める場合のカラーリング剤に使用されていますが、主にはエンジニアリングプラスチックの原料として知られている物質です。「エンジニアリングプラスチック」の原料を髪に塗ると言われるとヤバイのも仕方ないかなと思います。

この物質は重症のアレルギー症状を引き起こす恐れがあると知られていますが、白髪染めなどでは不可欠な物質で、今のところ代わりの物質がないため、毛染めをする場合には常にアレルギーのリスクがあるという状況は当分変わりません。

既にアレルギー症状が出ている場合があります

消費者庁が全国の15~80歳の男女3000人を対象に行った調査では、

  • ヘアカラー剤によるアレルギーの危険性を「知らない」と答えた人:32%
  • アレルギーなどの皮膚障害が出た場合、「別の商品にすれば改善されると思う」と答えた人:56.5%

と、認知度は高くない上に、間違った認識をしている人が過半数存在します。

「アレルギー症状は出ないけど、肌が弱いから時々かぶれたり、負けたりしてしまう。」

という人。既にアレルギー症状が出ている可能性が高いです。

「肌が弱いから」というのは間違っていません。肌荒れや吹き出物なので、頭皮に傷(小さな肌荒れでも)がある状態で酸化染毛剤を使用すると、その傷口からパラフェニレンジアミン(PPD)が体内に侵入し、感作を起こします。

最初はかゆみや湿疹ができる程度ですが、繰り返しているうちに重症化してしまい、頭皮や顔だけではなく、髪が抜け落ちたり、首や手指などにも症状が広がったり、日常生活に支障が出るような場合もあります。治療にステロイド剤を使用しなければならなくなり、点滴を必要とするような場合は入院が必要になってしまいます。

脅しではありません。実際に起きている事故なんです。

少しでも異変があったら使用を中止して、皮膚科医に相談してください

市販薬にはたいてい書かれている文章ですが、毛染め剤にも書かれています。仮に読んでいたとしても、

  • かゆみくらいは大丈夫だろう
  • 使いきらないと勿体無い(次回は別の商品を買うか、美容院で染めよう)
  • 毛染めしない訳にはいかない

などと思って、毛染めを続けたりしていませんか。

今はまだかゆみや湿疹程度かも知れませんが、アレルギー症状が重症化すると大変なことになってしまいます。

詳細は→消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書「毛染めによる皮膚障害」

既にアレルギー体質かどうかを事前にテストをしておくと安心です。

日本ヘアカラー工業会が皮膚アレルギー試験(パッチテスト)の方法をウェブサイトで公開しています。

皮膚アレルギー試験(パッチテスト)

そちらを参考にされるか、または腕の内側に使用を予定している製品を少量塗って、赤くなるかどうか確認することでも分かります。不安がある場合は、思い切って使ってしまう前に、皮膚科で相談をされることがお勧めです。

「綺麗になりたい」と思ってするヘアカラーで顔や髪がめちゃくちゃになってしまう恐れがありますので、くれぐれも注意して使用してください。

 - 健康, 化学物質, 安全, 家事, 生活, 福祉

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