龍野高校部活動訴訟 こどもは学校に殺される
2019/06/12
龍野高校部活動訴訟は原告の訴えが認められました
2007年5月、中間試験の最終日にテニス部主将だった女子生徒は熱中症で倒れ、重い後遺症を負いました。
中間試験最終日と言えば、睡眠不足で体調が優れない時でもありますし、5月は高くなる気温と湿度に体が順応できずに、熱中症を起こす恐れがある危険な時期です。
それにも関わらず、顧問は出張があるとの理由で、主将になったばかりの女子生徒に練習メニューを指示して、開始30分で現場を離れています。3時間の練習メニューには「休憩」は含まれておらず、顧問から指示されたメニュー通りに他の部員に率先して練習をこなしていた主将が倒れ、二度と起き上がることができない状態になってしまいました。
- 2010年4月、両親らは「学校側が安全配慮義務を怠った」として兵庫県を提訴
- 一審神戸地裁判決は熱中症を認めず、「顧問は事故を予見できなかった」として請求を棄却
- 2015年1月の二審大阪高裁判決は熱中症を認定し、顧問は「水分補給のための休憩時間を設けなかった」などと学校側の責任を認めた
- 兵庫県が上告するも、2015年12月、最高裁はそれを棄却
- 将来の介護費用などを含め約2億3千万円の支払いを命じた二審判決が確定
この事故から9年間の時間をご両親は
学校側から疎外され警戒され、苦しみ抜いた
と振り返られていますが、その苦しみは私達の想像を絶するものであったと思います。
原告の訴えは認められたかも知れませんが、一生寝たきりになった女性の輝くはずだった人生は戻ってきませんし、戦いの中でボロボロになったご両親の心も元通りにまで癒されることはありません。24時間介護が必要になってしまった女性と三人で苦労を重ねて行きていかなければなりません。
部活動は学校の管理下で行われ、事故の責任は学校にあります
顧問の指示に反した行為による怪我や疾病についても学校は一定の責任を負う立場にあると思いますが、
顧問が指示した練習メニュー
をこなすのであれば、顧問がいようがいまいが、顧問に責任があります。
それを学校は事故の原因を調べようともせずに、
- 事故は自業自得
- 部員達は自らの判断で休憩を取れたはずだ
と学校は言ったそうですが、まったく馬鹿げています。
普段から「休むな」「水を飲むな」と罵声の中で練習をさせておいて、休憩が含まれていない練習メニューを渡された主将が自分の判断で休憩を取らせることができるとでも思っているのでしょうか。
実際のところ、学校もそうは思ってはいないでしょう。ただ、責任を負いたくないから
- 顧問
- 主任
- 教頭
- 校長
- 兵庫県教育委員会
- 兵庫県教育委員長
全てが上へ倣えで、その事故の責任から逃げようとしてきました。
判決後の兵庫県教育委員会のコメントにもそれが表れています。
「あらためて生徒の自主性を重んじ、対話重視の指導を行いたい。」
「あらためて」とは、いかにも元々自主性があったかのような言い方ですが、学校の部活には自主性は存在しません。(中には特殊な例もあると思いますが、殆どは顧問の奴隷です。)
兵庫県教育委員会は、確定した二審判決の
「顧問は部員の健康状態に危険が生じないよう指示・指導すべき義務がある」
「たとえ練習に立ち会えなくても、生徒の体調や天候を考慮して事前に指示するべき」
という言葉を読み返して欲しいと思います。
これまでも、そして今も、これからも、部活に完全な自主性が実現することはありません。学校での自主性が実現できない中で、部活動だけ自主性が実現するはずがありません。
このままでは同じような事故が必ず再び起きてしまいます。
倒れた女子生徒のご両親は、今後
- 兵庫県教育委員会に対して、指導者に熱中症の研修を義務化することや科学的で安全な部活動に改善すること
- 井戸敏三兵庫県知事に対して、事故を起こさないルール作り
を要請する予定でいます。
これを兵庫県だけの動きにしてはいけません。
日本全国、小中高の部活において、こども達の命が今この瞬間も危険に晒されています。
スポ根世代の残党がこども達の命を危険に晒す
若い世代の中にもスポ根信者がいるとは思いますが、現在40歳以上の世代とは比較になりません。
40歳以上の世代は、部活動で苦い思い出があり、「自分がいつか上に立ったら制度を変えてやる」なんて思いながら、ミイラ取りがミイラになっています。それはまるで中1の時に先輩から理不尽な扱いを受けて、自分が上に立ったら絶対に後輩に優しくしようなんて思いながら、結局3年になると1年制をパシらせたり、しごいたりしてしまうのと同じです。
練習方法も非科学的で、時代遅れになっているにも関わらず、意固地になってそれを変えようとしない。そんな顧問には改善するか、指導の立場から退いて頂くしかありません。
会社であれば
- パワーハラスメント
- 暴行
- 脅迫
などで裁判沙汰になるようなことを、こども達は日常的に耐えながら部活をしています。
ほとんど儀式化してしまっている授業参観よりも、部活動の実態を参観する機会を作って欲しいと思います。とは言え、外部からの声には耳を貸さず、内部の人間は問題提起をしない学校という組織の中でそんな変化が起きるとは思えません。
こどもが文句や泣き言を言わなくても、部活でどんなことが行われているのか、時々こどもから聞き取ってあげてくださいね。
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