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水を飲ませず死のランニング 奈良市生駒市で中学生が死亡

      2019/06/12

再び防げるはずの事故で大切な命が失われてしまいました。

奈良県生駒市立大瀬中学校でハンドボール部員がランニングで死亡

夏休み中の8月16日、奈良県生駒市になる生駒市立大瀬中学校で、ハンドボール部の練習で1年生の男子生徒(12歳)がランニング後に倒れ、病院へ搬送されました。

倒れた男子生徒は、翌17日に

熱中症による腎不全

により亡くなりました。

この事故を調査していた生駒市教育委員会は9月初めに遺族へ謝罪を行い、9月5日に

不適切な指導があった

旨と

第三者による調査委員会を招集し、改めて事故の原因を調査し、再発防止策を検討する

と発表しました。

よくある流れで、もう慣れてしまいましたが、20日近くも時間をかけてこれですか?

20日近く時間をかけても真相が分からず、更に時間をかけて調査するほどに難しい原因がどこにあるのでしょうか?

それとも、原因が学校側・教師側になかったという弁解をするための証拠集めや口止めをするのでしょうか。

そんなことはないと信じたいですが、無駄に時間をかける学校のやり方には疑問を感じます。

なぜ業務上過失致死罪にならないのでしょうか

3人いる顧問の中でメインの教師が練習試合を引率したため、メインではない顧問教師がこの日に担当したそうです。

通常は30分間のランニングでは、15分走って給水休憩を入れて、残りの15分をランニングするようになっていたそうですが、この代わりの教師は、

一切給水休憩を取らせずに30分間ランニングさせた

だけではなく、ランニングの開始時刻が通常よりも5分遅かったにも関わらず、定刻にランニングを終えた部員たちに対して、

ごまかした

といちゃもんを付け、30分間走った後で、更に罰として5分間走らせました。

この35分の無給水のランニングの後、1年生の男子生徒が倒れました。

2000年8月21日に神奈川県川崎市中原区の川崎市立中原中学校で、夏休み中の野球部の練習中に、中2の男子部員が熱中症で倒れて死亡した事件では顧問が業務上過失致死の疑いで書類送検されています。

川崎市での事件では、教師が監視を怠るなど過失が大きかったこともありますが、今回の事件についても業務上過失致死に相当する過失があるのではないかと思います。これが民間のスポーツクラブなどであれば間違いなく業務上過失致死に問われるものと思われますが、学校で起きた事件は

  • 謝罪
  • 教師の処分(暫くの減給・研修など)
  • 再発防止策の発表

で済まされてしまいます。

これでは同じような事件・事故は無くなるとは思えません。

引き継ぎが無かったとしても、どの教師にも判断が出来なければ困ります

生駒市教育委員会は、生駒市立大瀬中学校から提出された報告書にあった

  • ランニング中に水分をとらせなかった
  • 通常は30分のランニングを5分長い35分走らせた

という行為について、不適切な指導であったと判断したとしています。それに間違いはありません。

ただ、これが起きた原因を

メインの顧問とサブの顧問との間の引き継ぎが出来なかった

ことにあるとして、今後は「引き継ぎを徹底する」というところに落としこむのではないかを不安を感じます。

引き継ぎが出来ていなかったとすればそれも問題ですが、この事件の恐ろしい点はそこではありません。

  • 真夏であれば、中学生に30分連続でランニングをさせることが危険なことは今や常識(高校生・大学生・社会人と段階的にリスクは減って行きますが、まだ体が発達途中にある中学生は十分な配慮が必要なはず)ですが、それが知らない教師が部活の顧問をしている
  • 給水など休憩のタイミングは引き継ぎがされなくても、生徒に聞けば分かるにも関わらず、聞かずに勝手を分かっていない教師が暴走した(「俺がボスだ」的な態度)
  • 定刻より5分遅れて走り始めて、定刻に終えたことを「ごまかし」だとして、30分を走った後に更に5分に走らせたことは体罰

これが現実だと思うと安心してこどもを預けることができません。

「やりたくてやっている訳じゃない」って思っていないでしょうか

小学校、中学校、高校と部活は、教師にとって大きな負担になっていると言われていますし、僕もそう思います。

日常業務だけでも大変な激務の中、部活の顧問もとなれば、腐る人も出て来たとしてもおかしくありません。ブラックだと声をあげ始める先生がたの気持ちも良く分かりますし、そこは応援したいとも思っています。

同時に、無給かどうかに関係なく、生徒達のために真剣に打ち込んでいる方も大勢いるのも理解しています。

そんな真剣な方が勢い余って問題を起こす場合もあるとは思いますが、怖いのは「やりたくてやっている訳じゃない」って思っている人が嫌々関わってくると部活動はかなり危険なものになってしまう可能性があります。

ここは、部活動における事故防止策を検討するだけではなく、そもそも論として

部活動はどうあるべきか

をしっかりと話し合っていかなければ、今回のような不幸な事件・事故は起き続けてしまいます。

また、教師だけではなく、生徒についても強制的に部活動へ所属して、無理矢理活動をさせるという流れについては見直していくべきだと思います。

強制活動だとされてしまうことで、

  • 休んだ生徒を教師が厳しく叱責
  • 休んだ生徒を他の生徒がいじめる
  • 体調が悪いのに無理をして参加してケガに繋がる

といった歪みも生まれてしまいます。

あくまで課外活動として、勉強だけでは味気ない学校生活をより豊かにするための「部活動」が生徒の命を奪ってしまうことが決して起きないようにしなければなりません。

今一度みんなで部活動について考えてみませんか。

 

 - 健康, 学校等, 安全, 小中高, 生活, 育児

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