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胃がんは感染する ヘリコバクター・ピロリにご注意を

      2019/06/12

ヘリコバクター・ピロリと聞くと爆風スランプの「ヘリコバクター・ピロリ(アルバム「ピロリ」)」が真っ先に頭に浮かぶ世代です。名前こそポップな感じがしますが、非常に恐ろしい菌です。当時は胃潰瘍の原因菌位にしか思われていなかったヘリコバクター・ピロリですが、胃がんを引き起こす非常に恐ろしい菌であることが分かっています。

胃がん家系はヘリコバクター・ピロリの垂直感染の可能性

「がん家系」という言葉を聞くことがありますが、一部のがんについては引き起こす遺伝子が確認されていて、遺伝性があることは分かっています。

胃がんについても、スキルス胃がんについては遺伝子「CDH1」と「PSCA」が関与していると考えられています。

ですが、スキルスではない大部分の胃がんは、

  • ヘリコバクター・ピロリ
  • 生活習慣

が原因であると言われています。

生活習慣とは、塩分の多い食品を摂り続けることや喫煙習慣があります。

ですが、塩分の多い食品も摂らず、喫煙もしないのに、世代に渡って胃がんが発生する家系がありますが、それはヘリコバクター・ピロリが原因です。

昔はほんとどの人がヘリコバクター・ピロリに感染したと考えられていますが、衛生環境の改善によって、今では先進国の多くで感染していない人が増えていて、全人口で見ても40~50%の感染率だと言われていますが、日本では高齢者においては発展途上国並の感染率があり、日本特有の生活習慣に感染原因がありそうです。

井戸水からヘリコバクター・ピロリに感染するのでしょうか

安心してください。井戸水からは感染しません。

ヘリコバクター・ピロリの感染経路は良く分かっていないのですが、動物の胃の中でしか生きることができない菌と言われています。実際に、動物の胃以外の場所から発見されたことはありません。

ヘリコバクター・ピロリに井戸水で感染した

とは良く言われることですが、恐らく井戸水はシロです。(が、他の菌がいる可能性があるので、煮沸はマストですよ!)

動物の糞・便や口腔内などにヘリコバクター・ピロリが含まれていることから、

  • 感染した動物・人の糞尿を肥料に使った野菜の生食で感染
  • 手指に付いた菌が経口感染
  • 口腔内に菌がいることから、箸の共用や噛み砕いて与えた食物で感染

などが考えられます。

近年では化学肥料の使用がほとんどで、家畜との濃厚接触も機会がありません。ヘリコバクター・ピロリ感染リスクはかなり減ったはずですが、

  • 乳幼児期に食べ物を噛み砕いて与える
  • 同じ箸・スプーンを使っての食事

による感染リスクが残ってしまっています。

他人にすることはありませんが、身内にしてしまうため、ヘリコバクター・ピロリがいる家系では、ヘリコバクター・ピロリの垂直感染が起こり、その結果として世代に渡る胃がんの発生に繫がっている可能性があります。

胃がん家系を終わらせるためにするべきこと

胃がん家系だと言われている家に生まれたあなた、諦めてはいけません。その流れを止めることは可能です。

ヘリコバクター・ピロリの除菌

ピロリ菌は除菌できます。ピロリ菌自体の検査は、

  • 尿素呼気試験法(息の中の物質を調べるだけです)
  • 抗体法(採血、または検尿で診断します)
  • 抗原法(検便で診断します)

になります。陽性になれば処方された薬を飲むだけです。

胃カメラによる検査もありますが、ピロリ菌だけの検査であれば胃カメラを飲む必要はありません。

こどもが5歳になるまで垂直感染に気をつけましょう

除菌をしていない人が、

  • 箸の共用
  • 噛み砕いた食べ物を与える
  • キス(口と口)

をすると、免疫が十分ではない5歳までのこどもはヘリコバクター・ピロリに感染してしまいます。ヘリコバクター・ピロリがいないことが確実ではない場合は、以上の行為は避けましょう。

家畜やペットが近くにいる場合、こまめに掃除をしましょう

ヘリコバクター・ピロリに感染した動物の糞便には菌が含まれています。それが風に舞って経口感染を起こさないとは言えません。小さいこどもがいる家庭では、動物からの感染にも注意してください。せっかく垂直感染を防いでも、

親の世代→動物→こども

と迂回感染を起こす可能性もありますので、十分に注意してください。

胃がんを起こさせないためにすべきこと

第一にヘリコバクター・ピロリの除菌です。

除菌はなによりも重要で、そして効果があります。

ただ、ヘリコバクター・ピロリは胃がんの原因ではありますが、直接胃がんを起こす訳ではありません。菌によって胃が炎症を起こし、その炎症がやがて胃がんになってしまいます。

炎症が広がってしまってから除菌をしても、炎症した箇所は残り、常に炎症による胃の粘膜の破壊と再生が繰り返されているうちに、やがて胃がんになる可能性があります。

  • 親の世代に胃がん患者がいた
  • 自分も除菌した
  • 胃炎を起こしやすい

そんな人は、継続的に胃が炎症を起こしている状態を作らないように、胃に気を配ってやる必要があります。

  • 熱い飲食物を飲み込まない
  • 魚、肉、パンの焼けこげを食べない
  • 塩分の過剰な摂取を避ける(他の病気の予防にも重要です)
  • 食べ物はよく噛んでから飲み込む
  • 野菜や果物を多く摂る(大根・オクラなど)
  • きのこ類を多く摂る
  • 牛乳の活用(コーヒーはブラックで飲まない・刺激物の前に牛乳を飲むなど)

など、胃に優しい生活を心がけましょう。

胃がんを防ぐこととは外れますが、

定期的に胃カメラを飲む

これも非常に重要です。バリウム飲んでゴロゴロするだけの胃透視は簡単ですが、それほど胃がんを見つけられるのか、疑問が残ります。

胃がんは、

  1. ヘリコバクター・ピロリに感染させない
  2. ヘリコバクター・ピロリがいるなら即除菌
  3. ヘリコバクター・ピロリを除菌した後も胃に気づかった食生活を送る
  4. 定期的な胃内視鏡検査による早期発見・早期処置

これが大切です。

ヘリコバクター・ピロリが全ての胃から消えて、「胃がん家系」という言葉が過去のものとなることを祈っています。

 

 - 健康, 生活, 病原菌, 育児

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