大森山動物園でコクチョウがA型インフルエンザ陽性確定でも比内鶏に問題なし
2019/06/12
11月15日、秋田市大森山動物園で飼育されていたコクチョウが死んで、1羽から簡易検査でA型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出ました。まだ簡易検査で陽性が出ただけですので確定はしていませんが、専門機関による確定検査によって安全が確認されるまで、秋田市大森山動物園は休園が決まりました。
15日に死んで、簡易検査でA型鳥インフルエンザウイルス陽性反応がでたコクチョウと同じ園内のケージで飼われていたコハクチョウが死んでいるのが17日に確認されました。このコクチョウは15日にも簡易検査を受けていて、その時には陰性反応が出ましたが、死亡後の簡易検査では陽性反応が出ました。1羽目のコクチョウと同様に、確定検査を受けるために北海道大へ送られます。
死亡したコクチョウは、鳥インフルエンザで死亡した時の特徴であるチアノーゼ(血中酸素濃度が低下してクチバシなどの血管が青くなって見える)症状が見られたことから、鳥インフルエンザの可能性は高いと見られています。
秋田市大森山動物園は現在休園中で、感染拡大阻止の努力を続けています。
その中で、
- コクチョウ6羽
- 比内鶏7羽
- モモイロペリカン4羽
- アヒル4羽
- キジ3羽
- ヒヨコ100羽
などを死亡したコクチョウからの感染の可能性が否定できない鳥類の一部を殺処分しました。
しかし、今後の進展次第ではその他の鳥類の殺処分を行わなければならなくなる恐れもあります。感染が拡大しなくても、北大に送られたコクチョウ2羽の陽性反応が確定した場合は全ての鳥が殺処分される恐れもあります。その中には、絶滅危惧種のニホンイヌワシ9羽が含まれています。偽陽性であることを祈ります。
偽陽性の場合、既に殺処分された鳥たちは無駄死になってしまいます。人の安全と動物の権利。難しい問題です。
鳥インフルエンザに注意しましょう
10月以降に、
- ハンガリー
- ドイツ
- インド
などで、高病原性鳥インフルエンザ(H5N8亜型)の発生が継続的に確認されています。特に、ドイツを含めたヨーロッパにおいて多数の野鳥の死亡が報告されていて、鳥インフルエンザとの関連性が危惧されています。
そして、2016年11月には韓国忠清南道天安市で野鳥の糞から高病原性鳥インフルエンザ(H5N8亜型)が確認されていますので、警戒が必要です。
渡りのシーズンも本番に入って来ますので、今後更に国内で鳥インフルエンザの感染が発生する可能性は十分にあります。この問題は
- 動物園
- 養鶏業者
- ペットで鳥を飼っている家庭
だけの問題ではなく、普段鳥と接する機会の無い私達も注意が必要です。
鳥インフルエンザは野鳥観察をする程度では感染しないと言われています。
しかし、気づかずに接触してしまう恐れもありますので、以下の点に注意しましょう。
- 鳥の死骸に素手で触れない(細菌や寄生虫感染予防の観点からも素手は禁物)
- 野鳥の糞に触れてしまった場合は、手洗いとうがいをする
- 野鳥の糞を極力踏まない(踏んでしまった場合は、適宜消毒など実施)
もし野鳥が大量に死んでいるのを発見した場合は、自分で片付けようとせずに、都道府県や市町村役場にご連絡しましょう。
大人は鳥の死骸を素手で触りませんし、糞も触れないし、踏まないようにするでしょう。しかし、子どもたちは年齢によっては、危ない・汚いと思わずに触れてしまう恐れがありますので、十分に説明して起きましょう。
また、飼い猫を外に出すのをこの機会に止めた方が安全です。飼い猫が鳥インフルエンザの感染で弱った鳥も捕まえて持ち帰る可能性もありますし、そもそも猫固有の感染症をもらったり、交通事故などにあう危険もありますので、猫は屋内で飼うようにしたいですね。
鳥インフルエンザは鶏肉・鳥肉を食べても感染しません
鳥インフルエンザは、感染した鶏などとの接触により、
- 羽や粉末状になったフンを吸い込む
- 感染した鶏などのフンや内臓に触れた手を介して鼻からウイルスが入る
など、人の体内に大量のウイルスが入ってしまった場合に、ごくまれにかかることがあると言われています。
逆を言えば、大量のウイルスが体内に入らない限りは感染は起こりません。(※ただし、今までのところで、今後は不明)
鳥インフルエンザが人に感染したのは、まだ世界で約30例(ベトナム・タイ)しかなく、日本では人に感染したことはありません。
鳥インフルエンザは鶏肉や鶏卵を食べることでは感染しません
今までに感染したケースの報告はありません。季節性インフルエンザと同様に、鳥インフルエンザウイルスも
- 熱
- 胃酸
に弱いため、鶏肉や鶏卵を食べることでは感染しません。
鳥インフルエンザに感染した鶏が見付かった養鶏場で大量の鶏が殺処分をされたり、卵が出荷できなくなったりするのは、食品衛生上の観点からではなく、家畜衛生の観点からです。人の感染を防ぐためではなく、他の鶏や周辺の野鳥への感染拡大を防ぐことが目的です。
鶏や野鳥の間で感染が広がると、人への感染の可能性も上るため、広い意味では人への感染防止の意味合いもありますが、食品衛生上の観点からではないことには注意が必要です。
比内鶏は安全です
秋田市大森山動物園で飼育されていた比内鶏7羽が殺処分されましたが、これは鶏や鳥への感染拡大を防ぐ目的であり、比内鶏には全く問題はありませんし、現在流通している比内鶏にも全く問題はありません。そして、今後も全く問題ありません。
仮に秋田市大森山動物園のコクチョウ2羽がA型インフルエンザウイルスの陽性反応が出たとしても、比内鶏に限らず、秋田市や秋田県で生産される鶏肉・鶏卵について食品衛生上の問題はありませんので、安心して消費して大丈夫です。
今回の件で、風評被害が出ないことを祈っています。
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