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さんまを食べてブツブツ これってアレルギー?

      2019/06/13

AKB48・SDN48の元メンバーでタレントの大堀恵さんが、サンマを食べてアナフィラキシーショックを起こして夜間の救急病院へ駈け込んでいたことを10月20日に彼女のブログで明かしました。

サンマを食べることでもアレルギー症状は出ます

実は一昨日の夜中に食物アレルギーが原因でアナフィラキシーを起こしてしまい夜間の救急病院へ駆け込みました。

娘の寝かしつけをし終わった瞬間、突然体が強烈に痒くなり手が真っ赤に腫れ上がりのどが締め付けられる感じで呼吸困難になってしまいました。

最初は強い喘息のような苦しさだったので喘息かな?とも思ったのですがここ15、6年発作は出ていなくほぼ完治状態でした。

血圧も低下してしまい、点滴をうって落ち着きましたが本当に怖かったです。。。

先生いわく、腫れ上がった手を見て青魚ではないか?と。

お夕飯に食べた秋刀魚かもしれません。

でも、今まで食べていたのに起きるものなのでしょうか?

とにかく怖いので早めにアレルギー検査をしたいと思います。

引用:大堀恵さんのブログ「大堀恵オフィシャルブログ Powered by Ameba」

大堀恵さんがどんな風にしてサンマを食べたのか分かりませんが、サンマなので、

  • 焼き魚
  • フライ
  • 刺身(マリネも含みます)
  • 干物

という感じでしょう。

残念なことに、サンマによるアレルギーは加熱調理をしても発症しますので、サンマを食べることはできません。ただ、大堀恵さんは、ブログに、

「でも、今まで食べていたのに起きるものなのでしょうか?」

と書いています。突然サンマに対してアレルギー体質になる可能性もゼロではありませんが、彼女の場合は恐らくサンマアレルギーではないでしょう。恐らくヒスタミン中毒、そして少ない可能性ですがアニサキスアレルギー、このどちらかのはずです。

診察した医師が「青魚」によるアレルギーだと診断したそうですが、注意して頂きたいものです。

サンマを食べて出るブツブツはヒスタミン中毒かも知れません

サンマは、サバと同じ赤身の魚で、いわゆる「青魚」です。サバで当たることは良く知られていますし、これを読んでいる人の中にも痛い思いをされた人も少なくないかも知れません。

サバを選ぶ、食べる時には慎重になっている方も、サンマには油断していたかも知れませんが、実は同じ警戒が必要なんです。

ヒスタミン中毒(アレルギー様食中毒)

サバやサンマによるアレルギー症状だと思われているものの殆どが実はヒスタミン中毒なんです。

サバ、サンマ、イワシなどの赤身の魚は人間が食物から摂取をするべき必須アミノ酸9種類のうちの1つ、ヒスチジンを豊富に含みます。このヒスチジンは、体内の酵素が化学反応を起こす時の中心的な役割を担う重要な物質です。

しかし、このヒスチジンを分解してヒスタミンを生成する細菌がいます。アレルギー症状はアレルゲンによって体内でヒスタミンが生成されて、ブツブツや呼吸困難などの症状を引き起こします。サバやサンマに付いた細菌が、魚の中でヒスチジンをヒスタミンに変えてしまい、それを口から体内に取り入れてしまうことでアレルギーと同じ症状が出てしまう。症状の面ではまったくと言っていいほど同じなのですが、ヒスタミンが生成される場所がまったく異なります。

  • アレルギー:人間の体内でヒスタミンが生成
  • ヒスタミン中毒(アレルギー様食中毒):食物の中でヒスタミンが生成され、人間の体内には口から入る

その厄介なヒスタミンを生成する細菌ですが、以下のようなものがいます。

  • Morganella morganii (モルガン菌):腸内細菌
  • Klebsiella oxytoca など(腸内細菌):腸内細菌
  • Photobacterium phosphoreum(好塩性):海洋性細菌
  • P. damselae(好塩性):海洋性細菌

サンマやサバを水揚げした時点で海洋性細菌のヒスタミン産生菌が付着し、温度など条件が揃うと増殖し、必須アミノ酸のヒスチジンからヒスタミンを生成します。また、加工の段階で手指についた腸内細菌のヒスタミン産生菌が、ヒスチジンからヒスタミンを生成してしまいます。

増殖とヒスタミン生成に必要な条件とは主に温度なんですが、ヒスタミン産生菌には

  • 25℃~40℃で発育する菌(中温細菌)
  • 0℃~10℃でも発育する菌(低温細菌)

がいますので、常温下で保管されれば確実にヒスタミンが生成されてしまいますが、冷蔵庫の中であっても生の赤身魚や赤身魚の干物を長時間保存するとヒスタミンが生成される恐れがありますので、注意が必要です。

ヒスタミン中毒(アレルギー様食中毒)を防ぐ方法

ヒスタミン産生菌をサンマやサバに付着させなければヒスタミンは生成されませんが、これは制御不能です。海洋性細菌はほとんどの魚に平等に付いていると考えた方がいいです。

手指からの菌移りは衛生管理によって何としても防ぎましょう。

その上で、

  • 冷凍保存(0 ℃を下回るとヒスタミン産生菌は増殖不能)によって増殖を止める
  • 加熱調理で殺菌
  • 酢(PH3)

のいずれかでヒスタミンが生成されないようにしてしまえば安心です。

しかし、一度ヒスタミンが生成されてしまうと、煮ても焼いても凍らせてもヒスタミンを壊すことはできませんから、食べればヒスタミン中毒を引き起こします。

冷凍保存、加熱調理、酢で締める前のサンマやサバが常温に置かれる時間があるとそこでヒスタミンが生成されてしまい、その後に何をしてもヒスタミンを無くすどころか、減らすことができずに、ヒスタミン中毒まっしぐらです。

ですから、サンマやサバなどの赤身の魚(青魚)はとにかく鮮度が一番です。低温を好む菌も存在しますので、とにかく早く食べること、これが必要です。店頭に並んだ時点で氷の上に乗っていたとしても、獲られてから時間が経てば経つほどヒスタミンが生成されている可能性が高くなります。どのような調理法をする場合でも、新鮮なものを選んでください。

それから、魚屋やスーパーで買ったら直ぐに冷蔵庫で保管し、調理する場合も調理する直前に冷蔵庫から出してください。ヒスタミン産生菌にヒスタミンを作る隙を与えてはなりません。

ヒスタミン中毒(アレルギー様食中毒)以外のブツブツの原因

サンマやサバを食べた時にブツブツや呼吸困難を起こす原因の殆どがヒスタミン中毒(アレルギー様食中毒)なんですが、その他の原因も考えられます。

魚アレルギー

魚の筋肉に含まれる「パルブアルブミン」というタンパク質とコラーゲンがアレルゲンになります。「パルブアルブミン」とコラーゲンはどの魚にも含まれますので、サンマやサバだけを食べて蕁麻疹が出る場合は魚アレルギーではありません。日本人には魚アレルギーは多くなく、全ての食物アレルギーの約5%が魚アレルギーであると言われています。アレルギーが起きやすい魚は、アジ・イワシ・カレイ・サケ・サバ・タラ・マグロなどです。

家族や同席した誰も同じ症状が出ず、一人だけ症状が出て、しかもそれが毎回の場合は魚アレルギーの可能性があります。一度アレルギーの専門医に検査を受けると安心です。

サンマアレルギー・サバアレルギー

サンマやサバを食べると必ず発疹が出る・呼吸が苦しくなる場合はそれぞれの魚にアレルギーがあります。ただ、殆どの自称「サンマアレルギー」や「サバアレルギー」はヒスタミン中毒(アレルギー様食中毒)で、サンマやサバを食べると必ず症状が出る訳ではありません。

アニサキスアレルギー

魚に寄生するアニサキスという寄生虫がいます。サンマやサバなどの内臓に寄生したアニサキスは、寄生主が死ぬと筋肉中に逃げ出します。その為、内臓を食べなくても筋肉内に逃げ込んだアニサキスを魚と一緒に食べることでアニサキスのタンパク質を体内に取り込みます。その際に抗体が出来て、次にアニサキスが寄生したサバなどを食べた時にアニサキスアレルギーを発症する場合があります。

  1. 魚やイカに寄生したアニサキスを知らずに食べる
  2. アニサキス抗体が体内で生産
  3. アニサキスに寄生されたサンマやサバを食べる
  4. アニサキスアレルギーを発症

アニサキスアレルギーの場合、サバ以外のアニサキスが寄生した魚を食べることでも蕁麻疹が起きますが、アニサキスがいない魚を食べても何も起きません。

サンマやサバはとにかく新鮮なものを選びましょう

サンマやサバは人間に必要なアミノ酸「ヒスチジン」を豊富に含みます。一度中毒を起こすと怖くなって食べなくなってしまう方も少なくないと思いますが、手ごろな価格のサンマやサバを食べなくなるのはもったいない話です。美味しいですし。

万が一、サンマアレルギーやサバアレルギーではないか一度アレルギー専門医に検査をしてもらってはっきりさせると安心して食べられます。過去に痛い目にあった人は是非検査を受けてみてください。

大堀恵さんもきっと保存状態の良くないサンマを食べたことによるヒスタミン中毒(アレルギー様食中毒)だったと思います。検査でサンマやサバにアレルギーがないことがはっきりして、旬には美味しいサンマがまた食べられるようになるといいですね。

 - 健康, 家事, 生活, 病原菌, 育児, 食中毒, 食品

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