ホンダがタカタ離れ 他メーカーも追従の可能性
2019/06/13
- ホンダは新製品へのタカタ使用の停止を発表
ホンダは今後全世界においてニューモデルへのタカタ製のエアバッグインフレーターの使用を止めることを発表しました。既存モデルに関しては、2016年までに順次他社製品に切り替えていくことになっています。
理由は、世界的に発生したタカタのリコール問題。事故の瞬間にエアバッグを膨らませるインフレーターが作動する際に想定外の異常爆発が起こり、インフレーターが破損、金属片が飛び散ります。この問題で、米国では7名が死亡、約100名が負傷しています。米国の運輸省はこの事件に関してタカタに240億円の制裁金を課す決定を下しています。
ホンダによると、この事故に関してタカタから提出された調査結果に虚偽の報告が含まれていたそうです。そのことと今回のタカタ製品使用停止の関連性には触れていませんが、タカタの対応が後手後手に回っていることに加え、調査報告に虚偽の内容が含まれたことで、今後のリスクが読めないとして乗り換えを決断したものと考えます。リコールなどの対応は正確性と迅速性が必要だということの実例になりました。
様子見の他メーカーの乗り換えも進むと思われます
ホンダはインフレーターの約25%をタカタから供給を受けています。その主要取引先のホンダが取引を止めることの意味は大きく、様子見の他メーカーの取引中止が続くと考えられ、インフレーターについてはタカタ離れが進むでしょう。メーカーのイメージ戦略からもタカタ製を使い続けるメリットは少なく、インフレーターに関してはタカタ製品は市場から消えるかも知れません。
同型のインフレーターは北米で使用不可になります
米運輸省道路交通安全局は、今回事故を起こしたものと同じ硝酸アンモニウムをインフレーターに使用したエアバッグの販売を2019年以降は原則禁止にすると発表しました。今後、これに追従する国も出ると思います。
これを受けて、タカタも問題のエアバッグの生産を段階的に減らし、2018年度末までには北米での供給を停止すると発表しています。今回のリコールは硝酸アンモニウムが原因になっていますので、これを別の薬品に切り替えて、当面は製品供給を継続する予定としています。
硝酸アンモニウムを使用していなければ安全かとは言い切れません
今回は硝酸アンモニウムが原因で異常爆発が起きましたが、他の薬品でも条件が揃えば異常爆発を起こす可能性は無いとは言い切れません。
小さなメーカーが製造するには荷が重い製品ですが、メジャー数社が寡占した状態では、何か問題が起きれば今回のように世界的な規模で問題が広がってしまいます。それを避けるために、適度な割合で供給メーカーを混ぜているはずですが、それでも今回のような規模の問題に発展してしまいます。タカタが完全にインフレーター製造から撤退してしまうと状況は更に悪化してしまいますので、タカタには運輸局やメーカーへ誠実に、そして積極的に協力をして、早くこの問題を解決して、インフレーター製造について一から出直して欲しいと思います。
残る未対応リコール対象車
10月28日に静岡県伊東市でトラックに衝突したエクストレイルが、エアバッグの異常爆発を起こし、助手席の女性が飛んだ破片で頭や腕に怪我を負う事故を起こしました。日産は「ガス発生装置の金属片が飛び散っており、けがはエアバッグの異常破裂が原因となった可能性が高い」としています。
この車両は2015年5月にリコール対象となっていました。未だリコール対象車で対策が未実施の車も残っています。
また、日産も点検を行い不具合があれば交換していましたが、不具合が確認されない場合はそのままにしていました。今回の静岡県伊東市での事故を受けて、11月2日に日産は国土交通省に再リコールを届け出て、今後は原則すべて新品交換することになります。
再リコールは、タカタ製のエアバッグを搭載する全車種(8車種)が対象になります。既に1万台の対応を終えていますが、未だ残りが約31万台あり、完了までには長い時間が掛かりそうです。
対象車
- フーガ
- ティアナ
- プレサージュ
- エクストレイル
- サファリ
- キャラバン
- ブルーバードシルフィ
- リバティ
その他のメーカーでも同じことが起きる可能性があります。既に対策を実施された方も、今後のリコール情報には注意しましょう。もし対象車で未実施の場合は早めにディーラーで対策を受けておきましょう。
対象車に関する情報につきましては、国土交通省のサイトをご確認ください。
あとがき
ホンダに続き、トヨタも日産もタカタ製エアバッグの使用中止を表明しました。
そもそもホンダはタカタと共にエアバッグの開発を行ってきたという経緯もあり、そのホンダがタカタ製品の利用を中止を表明することには大きな意味がありました。
タカタがホンダに行った虚偽の報告、そしてリコールなどの対応の遅れ、結局取り返しのつかないミスを犯しました。「安全」を扱うメーカーであるにも関わらず、安全を軽視したとも取れる対応に、自動車メーカーが愛想を尽かした形です。
エアバッグはタカタが扱う製品のひとつに過ぎませんが、今回の件はイタいです。
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