Zika Virus(ジカ熱) アメリカとカナダでも感染が確認
2019/06/12
ジカ熱 南米から北米へ感染拡大中
小頭症の原因になるジカ熱はブラジルで流行した後、南米全域に感染拡大を起こしています。
WHOは最大で感染者が400万人に達する恐れがあると警鐘を鳴らしていますが、それが現実のものとなりそうです。アメリカやカナダでも感染者が確認され始めています。
CDC(アメリカ疾病管理予防センター)は昨年以降アメリカ本土でも31人の感染者がいることを公表しました。また、カナダでも最近4人の感染者が見付かったと保険当局が公表しています。
今のところ、感染者はブラジルなど南米のジカ熱の流行地域への渡航歴があるため、アメリカ本土やカナダで蚊に刺されて感染した訳ではないと見られています。
これを受けて、
- オバマ大統領はブラジルのルセフ大統領と電話で対応を協議して、ワクチンの共同開発を急ぐことで一致しました
- アメリカの航空各社は、ジカ熱の流行地域への航空券を購入した妊婦らについては、全額払い戻しに応じるなど対応に乗り出し始めました
今後は世界的な感染拡大にも注意が必要です
北米で感染が確認された例は全て現在のジカ熱の流行地で感染したものと考えられています。
それは北米が現在冬で感染者の血液を吸うヤブカ(Aedes)属の蚊(ネッタイヤブカ、ヒトスジシマカなど)が繁殖することができません。これが春になって暖かくなれば、感染者を吸血した蚊がジカウイルスを媒介して、爆発的な感染拡大を起こす恐れがあります。
ジカ熱の症例が確認された地域は、以下のように赤道周辺の地域に限られていました。それが今回の流行で大きく塗り替えられる可能性があります。(以下の地図もCDCが現在改訂中です)
出典:CDC
日本への最初の輸入症例はフランス領ポリネシアで感染したものでしたが、アメリカ大陸で爆発的な流行を起こした場合、渡航した日本人が感染して戻ってくる確率は大きく上がるため、注意が必要です。
2016年はリオ・オリンピックの年。多くの人がブラジルに渡航します。妊婦や妊娠予定のある女性への注意喚起がされていますので、比較的安心ですが、それ以外の人がジカウイルスを持ち帰り、それぞれの国で流行を引き起こす可能性がありますので、安心はできません。
2014年は東京都の代々木公園周辺でデング熱が流行しましたが、それがジカウイルスに置き換わり、しかも日本各地で同じような状況が発生する恐れがあります。
更に厄介な特徴がジカ熱にはあります
ジカ熱には以下の様な特徴があります。
- ジカ熱はデング熱と比べると症状が軽く、通常は4~7日間症状が持続
- 潜伏期間は3~12日
- 感染したのに症状が出ない確率が約80%もあると言われています
- 高熱(38.5℃を超える)が出ることは比較的稀
- 症状としては、発熱の他は、発疹、関節痛、筋肉痛、頭痛、眼の充血、眼の奥の痛み、腹痛、下痢、嘔吐など
- 抗ウイルス剤が存在しないため、治療は痛みや発熱に対して解熱鎮痛剤を投与するくらい
感染しても症状が出ない率が80%もあり、その上発熱しても高熱が出ず、ジカ熱に感染したと気付かないまま生活してしまうことで、国内での感染拡大を引き起こす可能性があります。
デング熱と比べても症状が軽いため、ジカ熱そのもので健康な大人が死に至ることは稀ですが、他の病気によって免疫が低下しているような場合は死に至る可能性もありますので注意が必要です。また、今も注意喚起されている妊婦や妊娠予定の女性も最大限の注意が必要です。
ジカウイルスに感染しないために
先ずはできる限り流行している地域には行かないことです。
もしどうしても行かなければならない場合は、蚊に刺されないこと。暑くても長袖・長ズボン(ロングパンツ)を着て、露出部分には虫よけスプレーやクリームを塗りましょう。
汗で流れることもありますので、虫よけスプレーとクリームに加えて、蚊を寄せ付けないスコーロン製のパーカなどを着て万全を期してください。流行地に渡航されない妊婦や妊娠予定の女性は、国内でもこのような蚊を寄せ付けない素材で作った上着を羽織っておくと安心ですよ。
もし流行地で蚊に刺されてしまい、感染した可能性がある人は、帰国後も蚊に刺されないように気をつけてください。その蚊を介して他の人がジカ熱に感染する恐れがあります。
そして、家の周辺の蚊を駆除するように努めましょう。
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