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野良アライグマとその糞には近づかないでください

      2019/06/13

アライグマというとラスカルのせいで、かわいいイメージが先行しますが、実際はかなり凶暴な害獣になりえます。ペットなどとして輸入されたアライグマが捨てられたり、逃げたりして野生化して、野良アライグマになり、日本各地で問題を引き起こしています。農作物や家畜への被害が注目されますが、実はアライグマには隠れた脅威があるんです。

アライグマとその糞には回虫がいるかもしれません

アライグマ回虫というアライグマの体内でしか成虫になれない回虫がいます。アライグマにとっては腸管内に寄生する回虫に過ぎないのですが、人間がその卵を体内にいれてしまうと幼虫移行症という激しい症状を引き起こします。

神経幼虫移行症

成虫になれない回虫の幼虫が人間の神経に入り込みます。脳に入り込むことで、好酸球性髄膜脳炎として発症し、一命を取りとめたとしても、発育障害や神経系の後遺症が残ります。

眼幼虫移行症

これも人間の体内では成虫になれない回虫の幼虫が体内を動き回り、眼球に入ってしまう病気です。片側の眼に網膜炎として発症します。これを発症すると視力障害が残り、失明することもあります。

イヌ・ネコの回虫も同じように幼虫移行症を引き起こしますが、イヌ・ネコの回虫は人間の体内で0.5mm以下にしかならないのに対して、アライグマ回虫は2.0mmにも達するため、症状が重篤化しやすいと考えられています。

アライグマ回虫による幼虫移行症の治療方法

中枢神経に入ってしまってからでは駆除や治療ができません。

回虫の卵に感染(経口で体内に入ってしまう)から1~3日の時期に抗線虫薬を服用すれば中枢神経に入る前に駆除できる可能性があります。症状が出てからでは遅く、卵を飲み込んだ疑いがある時点で抗線虫薬を服用する必要があります。

それでも「駆除できる可能性がある」のであって、完全に駆除できるとは言い切れません。

とにかく、アライグマ回虫の卵を体内に入れないようにすることが重要です。

野良アライグマとその糞には絶対に近づいてはいけません

幸いなことに日本では発症例も、野良アライグマから回虫が検出されたことはありません。しかし、動物園で飼われているアライグマから検出されたことがありますので、野生化しているアライグマの中にも回虫に感染している個体が存在している可能性はあります。

体内の回虫は、1日あたり115,000 ~179,000個という膨大な卵を産み、それがアライグマの糞に交じって放出されます。その卵は、薬品で不活性化することはできず、不活性化するのは、

煮沸と焼却

しかありません。

野良アライグマが残す糞には膨大な量の卵が残ったままになります。その糞が乾いて風で飛ぶ恐れもありますので、糞だけではなく、糞の周辺も汚染されている恐れがあります。

野生のアライグマが目撃された場所の周辺ではアライグマが潜んでいる場所や糞をする場所に近づかないように注意する必要があります。

万が一、庭や屋根裏にアライグマが巣を作ってしまった場合は、業者に駆除を依頼することになると思いますが、駆除した後の清掃も重要です。そんな場合は、地域の保健所か国立感染症研究所に問い合わせをしてみてください。

国立感染症研究所の問い合わせ先について

アライグマ回虫のタヌキやイヌへの感染の可能性にも注意が必要です

アライグマ回虫がタヌキやイヌを最終宿主にできるかどうかは不明です。タヌキもアライグマも同じイヌ科。見た目もかなり似ています。

北海道で野良化したアライグマを捕獲したところ回虫が見付かり、「もしやアライグマ回虫か!」と驚かせましたが、結局はタヌキ回虫が寄生していただけでした。ですが、このことは同じ科の動物間では回虫の感染があり得ることを示してもいます。

同じイヌ科の動物間で寄生虫がうつる可能性を考えると、アライグマが目撃された地域では、タヌキにも注意が必要ですし、屋外で飼われている犬だけではなく、散歩の途中にアライグマの糞に接触する恐れもありますので、室内飼いのイヌにも注意をした方が安全です。

日本では今までに発症例はありませんし、アライグマの祖国アメリカでも1981 年の初発例以来、アライグマ回虫の感染を原因とする重症脳障害患者は少なくとも12 例(そのうち10 例は6歳以下の小児)確認されていて、3 名が死亡しています。

発生数は多くありませんので、不必要に恐れる必要はありませんが、感染した場合の重篤さを考えると一定の注意は不可欠です。近くでアライグマの目撃情報があった時は、こどもが珍しがって近づかないように注意してあげてください。それとイヌの散歩や木や草が茂った場所への出入りはしばらく避けるようにした方が安全です。

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