あんしん あんぜん はりねずみ

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水泳の授業で飛び込み 首を骨折

   

なんでも禁止するのがいいとは思いませんが、危険な動作を無理にさせるのも良くはありません。

水泳で飛び込みをさせて首の骨を折る重傷 都立墨田工業高校

7月に発生していた事故が9月末になって明るみに出ました。

今年7月、東京都江東区にある都立墨田工業高校で、高校3年の男子生徒(18)が水泳の授業中にプールに飛び込んだところ、プールの底で頭を打ち、首の骨を折る重傷を負いました。頚椎を損傷したため、胸から下が麻痺した状態で、現在も懸命にリハビリを続けています。この事故(事件)を受けて、東京都教育委員会では、7月20日付で各校に飛び込みについて安全に配慮することを求める文書を出しました。

水泳の授業を担当していたのは、都立墨田工業高校に勤務する保健体育の男性教諭(43)で、プールサイドに立った状態で、

足元から1メートルの高さにデッキブラシの柄を掲げて、それを超えて飛び込むことを指示

していました。

深さ1.1メートルしかないプールに、高く飛び上がってから飛び込む形になり、入水角度が大きくなり、プールの底で頭などを打つリスクは大幅に増加する危険行為です。プールで最もやってはいけない行為の一つであるはずで、僕のような素人でも知っています。

そもそも、東京都では過去にも飛び込みで事故が起きているため、東京都教育委員会は

  • 2001年にその後の水泳指導のベースとなる水泳事故防止対策をまとめたリーフレットを制作(リーフレット中で飛び込みを含む「危険なスタート」についても解説がされている)
  • 順次プールから飛び込み台を撤去して、事故防止のために入水角度が大きくならないように配慮

して来たにも関わらず、それを無視した危険行為で生徒が首を骨折し、重大な後遺症を残す事故を起こすことになりました。

東京都教育委員会の事情聴取に対して、この男性教諭は

「危険な行為をしてしまった。」

と言っているそうですが、

「目標を設定したほうが、生徒たちも努力をする。それが(水泳の)スタートができることにつながっていく。」

とデッキブラシを使った危険な指導方法の動機を説明したそうです。「高い目標を設定」することの「高い」の意味を取り違えたのでしょうか。

東京都教育委員会の指導指針を無視して、一般的な安全配慮義務をも怠ったこの教諭は

業務上過失致傷罪

に問われるべきであると思いますが、「学校内で起きた事件」は「不幸な事故」という扱いを受けて、闇に葬り去られるか、仮に公表がされても、時間の経過と共に忘れられていくだけという現実に憤りを感じます。

文部科学省は2012年度から小中学校の授業では飛び込みを禁止

文部科学省では、数多く発生する水泳中の事故を防止する目的で、2012年度からは小中学校の水泳の授業では「飛び込み禁止」として、その旨は現在の指導要領にも含まれています。

文部科学省の

現行学習指導要領・生きる力

  第2章 各教科 第7節 保健体育

    〔内容の取扱い〕〔体育分野 第1学年及び第2学年〕〔体育分野 第3学年〕〔保健分野〕

において、

(2) 内容の「A体つくり運動」から「H体育理論」までに示す事項については,次のとおり取り扱うものとする。

ア 「A体つくり運動」の(1)のアの運動については,「B器械運動」から「Gダンス」までにおいても関連を図って指導することができるとともに,心の健康など保健分野との関連を図ること。また,「A体つくり運動」の(1)のイの運動については,第1学年及び第2学年においては,動きを持続する能力を高めるための運動に重点を置いて指導することができるが,調和のとれた体力を高めることに留意すること。第3学年においては,日常的に取り組める運動例を取り上げるなど指導方法の工夫を図ること。

イ 「B器械運動」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からアを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからエまでの中から選択して履修できるようにすること。

ウ 「C陸上競技」の(1)の運動については,ア及びイに示すそれぞれの運動の中から選択して履修できるようにすること。

エ 「D水泳」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からア又はイのいずれかを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからオまでの中から選択して履修できるようにすること。また,泳法との関連において水中からのスタート及びターンを取り上げること。なお,水泳の指導については,適切な水泳場の確保が困難な場合にはこれを扱わないことができるが,水泳の事故防止に関する心得については,必ず取り上げること。また,保健分野の応急手当との関連を図ること。
オ 「E球技」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからウまでをすべての生徒に履修させること。第3学年においては,アからウまでの中から二を選択して履修できるようにすること。また,アについては,バスケットボール,ハンドボール,サッカーの中から,イについては,バレーボール,卓球,テニス,バドミントンの中から,ウについては,ソフトボールを適宜取り上げることとし,地域や学校の実態に応じて,その他の運動についても履修させることができること。なお,ウの実施に当たり,十分な広さの運動場の確保が難しい場合は指導方法を工夫して行うこと。

出典:文部科学省 現行学習指導要領・生きる力

高等学校については、小中学校とは異なり、禁止はされていないものの、

高等学校学習指導要領解説 保健体育編 体 育 編 平成21年7月

によると、安全にできない生徒に対して無理にさせるべきではないという旨が書かれています。

(2) スタート及びターン

各泳法において,スタート及びターンは,続けて長く泳いだり,速く泳いだりする上で,重要な技能の一部であることから,泳法との関連において取り上げることとしたものである。なお,今回の中学校の改訂では,事故防止の観点から,スタートは「水中からのスタート」を示している。そのため,飛び込みによるスタートやリレーの際の引継ぎは,高等学校において初めて経験することとなるため,「段階的な指導を行うとともに安全を十分に確保すること」を示している。この点を十分に踏まえ,生徒の技能の程度や水泳の実施時間によっては,水中からのスタートを継続するなど,一層段階的に指導することが大切である。

ア スタート

中学校における「水中からのスタート」とは,水中でプールの壁を蹴り,抵抗の少ない流線型の姿勢で,浮き上がりのためのキックを用いて,より速い速度で泳ぎ始めることができるようにすることである。

高等学校の段階的な指導による「スタート」とは,事故防止の観点からプールの構造等に配慮し,プールサイド等から段階的に指導し,生徒の技能の程度に応じて次第に高い位置からのスタートへ発展させるなどの配慮を行うスタートのことである。

入学年次は,各泳法に応じた水中でプールの壁を蹴るなどのスタートから,壁を蹴った後の水中での抵抗の少ない流線型の姿勢をとり,失速する前に力強い浮き上がりのためのキックを打ち,より速いスピードで泳ぎ始めることを,その次の年次以降は,生徒の技能の程度に応じたスタートの姿勢から,各局面の動きを洗練させるとともに,一連の動きで行うことができるようにすることをねらいとしている。

指導に際しては,スタートの局面として,「スタートの準備姿勢」,「力強く蹴りだす」,「泳ぎ始める」といった各局面を各種の泳法に適した,手と足の動きで素早く行い,これらの局面を一連の動きでできるようにすることが大切である。

出典:高等学校学習指導要領解説 保健体育編 体 育 編 平成21年7月

プールの構造等に配慮し、生徒の技能の程度に応じて段階的にスタート方法を指導することになっているはずです。

重傷を負った生徒の水泳技能の程度は分かりませんが、

  • 1.1メートルの深さのプール
  • 高い位置に掲げたデッキブラシの柄を超えて鋭角に入水させる

という指導は、文部科学省の定める指導要領に即していません。

事故を防ごうと指導要領を改定したところで、教諭がそれに従わずに事故(事件)を起こすのであれば、改定に意味があると思えません。

同じ「先生」繋がりで考えると、医療訴訟が増えていることによって医療過誤へのプレッシャーが大きくなり、現在の医療過誤を無くす努力につながっている部分があると思います。

そうなると、やはり学校でのこどもの安全を守るためには、文部科学省に頑張ってもらうだけではなく、

教育訴訟(学校訴訟)

を増やすしかないのかも知れないと思ったりしています。

今回の事故を受けて、記者が取材したスポーツ庁の担当者は、

  • 「この事故を受けて、特別なにかをすることは考えていない。学習指導要領など現状であるものを周知徹底する。」
  • 「事故が繰り返されるようなら、対策を考えていかないといけない。」

と言ったそうです。

東京都教育委員会もそうですが、文書出したり、指導要領を改定しただけでは事故(事件)はなくなりません。そもそも、この教諭が「指導要領を知らなかった」という事実がなく、知っていながら自己流を「良かれ」と思ってやったのであれば、指導要領も文書も意味がありません。

しかも、事故が繰り返されているにも関わらず、スポーツ庁のお役人が

「事故が繰り返されるようなら、対策を考えていかないといけない。」

などと言っているようでは、ほんと終わってます。

こどもの安全を守るためには、訴訟でプレッシャーを与える他に方法はないと個人的には考えています。

 - 学校等, 安全, 小中高, 生活, 育児

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