皮膚炎を起こすヤモリのしょんべん
2019/06/13
奥さんにヤモリって言うと「水の中の?」と必ず言います。何度説明しても、イモリとヤモリの違いを理解してくれません。イモリは「井守」だから水の中、ヤモリは「家守」だから家の中と説明をしても上の空。気持ち悪いとかで覚える気がないのかも知れません。目がくりくりしてて、可愛いのに。
そんなヤモリですが、しょんべん(尿)が皮膚炎を起こすという言い伝えがあります。本当なのでしょうか?
ヤモリのしょんべんは半固形
爬虫類は全て同じですが、哺乳類のように液体のしょんべん尿は出せません。大便と一緒に出る白い部分が尿に当たります。ヤモリが寝室の天井に止まっておしっこをしたと思われていたみたいですが、逆さまで用を足したりしません。壁に貼りついて用を足します。なので、壁が汚れます。。。(それはそれで困ります)
皮膚炎の正体は何?
「ヤモリのしょんべん」で起こされると信じられてきた皮膚炎ですが、その正体はアオバアリガタハネカクシという昆虫の体液に含まれるペデリンという毒素による炎症になります。7mm前後という小さい虫ですが、その毒素は強く、皮膚の薄い部分に付くと線状皮膚炎という独特のやけどに似た水ぶくれ状の皮膚炎(この炎症の様子から「ヤケド虫」とも呼ばれています)を引き起こします。また、万が一毒が眼球に入ると結膜炎、角膜潰瘍を起こし、最悪の場合は失明する恐れもあります。
そんなアオバアリガタハネカクシですが、その小ささゆえに存在を気付かれることが少なく、首や腿にとまったアオバアリガタハネカクシを蚊でも止まったと思って払いのける際に潰してしまい、その体液が付けてしまいます。線状皮膚炎が発症するまでに時間差があるため、翌朝に気付くことが多いため、寝室で寝ている間にヤモリのしょんべんをかけられたせいだと思われたようです。
もし体にとまっていたら絶対に叩かない
先日もわが家でアオバアリガタハネカクシが出現して、ちょっとした騒動になりました。この虫は咬んだり刺したりしません。
- 屋外:葉や木の枝を近づけて、そちらに移行させるか、潰さないように爪で軽くはじく
- 屋内:ティッシュを近づけて、そちらに移行させた上で丸めて潰す
とにかく毒液が皮膚につかないように注意をして対処しましょう。
アオバアリガタハネカクシはその「ハネカクシ」の名の通り、黒いランドセルのような部分に羽を隠しています。その羽で飛びますので、早く処理をしないと部屋の中で飛んでどこかに行ってしまうと厄介です。羽を広げて飛ばさないよう速やかに、かつ潰さないようにソフトに処理してください。
万が一皮膚に体液を付けてしまった場合
- 直ぐに石鹸と流水で洗い流す
- 湿疹・かぶれ用の塗り薬、またはステロイド軟こうを塗る(あれば)
- 線状皮膚炎が出来てしまった場合は、皮膚科を受診(細菌感染を防ぐため)
万が一目に入ってしまった場合は、すぐに流水で眼をすすいで、至急眼科を受診してください。
ヤモリは害虫を食べる益獣です
残念ながらアオバアリガタハネカクシはその毒のために食べてくれませんが、不快な蛾や蚊などの害虫をヤモリは食べてくれます。見た目が苦手なひともいると思いますが、線状皮膚炎の犯人疑惑も晴れた(でも、そのしょんべんで少々壁や窓は汚します)ことですので、大事にしてやってくださいね。
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